首都機能移転という公共投資

政府は、新型コロナに伴って減速するであろう経済を下支えすべく事業規模108兆円の経済対策を取りまとめました。GDPの2割というとそれなりの規模に聞こえますが、GDPに直接的に効いてくるいわゆる「真水」は20兆円程度と言われており、何とも心許ないと感じます。108兆円という規模の資金を使うなら、困っている人の資金繰り支援に使った残りを是非、東京の一極集中是正という国の形の転換に使ってほしい。

1.東京一極集中は、もはや経済成長を牽引しない

経済学分野の有名な概念に「限界効用逓減の法則」というものがあります。追加的な満足度は、だんだんと小さくなるということを難しく言ったものです。カラカラに喉が渇いた状態で飲む水はとてもおいしく、2杯目以降では、1杯目で得られたような満足感を得られなくなります。

僕自身、20年近くを東京の街中で過ごしました。至るところで再開発が起こり、街がどんどん新しくなって立派なオフィスビルやマンションがたくさん出来る過程を見てきました。職場が近い街中に住居を構えたいという若い方々が流入して、街は多少活性化します。目新しさには事欠きませんでしたが、しかし私自身の生活が便利になったかというと、あまり変わりません。もはや東京の限界効用はゼロにちかく、そのような場所に投資するより、同じ投資額でもっと多くの人が便利さを感じるようになる場所に投資した方が、よほど経済効果が大きいと思います。

2.政府が公共投資としてやらないと、自然発生的には進まない

例えば、僕が一時期住んでいた、東京から1時間ほどの地方都市。住環境はとても良いのですが仕事が十分になく、そこから東京へ出勤する方もたくさんおられました。そういう土地に首都機能の一部、例えば金融機能がごっそり移転すると、投資が投資を呼ぶ好循環が得られます。この循環は、公共投資が先鞭をつけないと絶対に生まれません。民間では資本が小さすぎて、呼び水を起こせるほどの投資を投入できません。首都機能の一部が入る大規模オフィスビルを5棟ほど建設するだけで、周辺住宅やショッピングセンター、娯楽施設など民間投資がこぞって追随すると思います。このような場所を2つ3つ地方都市に作るとして、呼び水として財政からたった10兆円ほど出せば足りるのではないでしょうか。

3.そもそもテレワークに慣れた

幸か不幸か、新型コロナによる混乱は、働き方を大きく変えました。多くの方が毎日通勤せずとも働くことが可能であることに気付かされたと思います。仕事を進めるうえで、オフィスまでの距離、本社までの距離は、重要要素ではなくなりました。毎月2回くらい東京に出て、あとは地方のオフィスか広い田舎の自宅で作業というスタイルでも生産性が落ちることはないと思います。

次の選挙で、このような政策を強力に推進してくれる党か、あるいは超党派が出てくることを期待します。

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