Rainy Soul ~イギリス研究留学してました~

研究者がアカデミックなことなどを中心に徒然なるままに書いています。イギリスに研究留学していた際の情報も載せています。

日本の特殊性・独創性の創出の観点から

2019-04-23 | イギリス。
研究者をしているので、独創性についていつも考えています。他には無いものをどうやって生み出すか、ということなのですが、過去の歴史を振り返ってその要素を抽出してみようと試みることをよくします。そのためによく本を読んだりもするのですが、今日は日本の特殊性について考えてみました。

イギリスにいると日本のアニメ・漫画・ゲームに興味がある人がすごく多くて、僕なんかよりもはるかに詳しい人が多いので驚かされることが多いのですが、逆になぜこれほどまでに人気があるものが日本でしか生み出されなかったのかということを考察してみたくなります。こんなに人気があるのに、同等の作品が欧米でも作られるかと言えばそうでもない。海外のアニメやコミックを見ても日本のような緻密な描写やストーリー仕立てがあまりなくて、日本の作画は独特なものだと思います。スタジオジブリや新海誠監督のアニメーション映画などもそうですが、日本のアニメーションのクオリティは現状では世界一といっても過言ではないでしょう。では、どうして日本でのみアニメや漫画が生まれることができたのか?こういうことをいろいろと考えているとやはり日本の特殊性にたどり着いてしまうのですよね。アニメや漫画に限らず、音楽や他の物も全てそうだと思います。

日本の特徴を考えてみると、

・島国で、他の国の文化の影響を受けにくい。→独自の文化・慣習が発達している。
・英語が世界各国と比べるとマイナーな外国語の1つに過ぎない。→他の国からの文化の輸入があまり行われない。
・人口が多く、経済規模は非常に大きい。→日本国内だけでもビジネスとして成立しえる。

この状態の国って他にないのですよね。経済規模を除けばいくつもあると思うのですが、経済規模が小さいと他国に輸出するなりしないとビジネスとしての成功度合いが小さくなってしまいます。あるいは自国で発展させるコストが捻出できずに、他国のものを輸入することになるんですよね。インドネシア出身の友人は韓国ドラマに詳しかったりしたのですが、それは自国では同じようなクオリティのものが生産されないからだと思いました(もちろん検閲など宗教・法律的な問題も絡んでいるでしょうが)。すべて自分の国で生産し、自分の国だけで消費が完結して、それでもビジネスとして成立するという国は日本以外に無いと思います。

もちろんここには言語も大きく絡んでいて、日本は全体的に英語が話せない(英語スキルが低い)という点が大きなメリットになっていると思うんですよね。例えば映画について考えてみます。ヨーロッパ出身の人と話していると、西洋映画は結構みなさん知っています。アメリカやイギリス、他のヨーロッパ諸国の国で生み出されたものでも英語であれば理解できますから、それをそのまま楽しむことができる。でも日本はそうじゃない。一部は吹き替え・字幕で上映されたりもしますが、全部が全部上映されるわけではありません。日本では日本人用に独自に映画が作られます。これが大事だと思うのです。
海外では英語であれば他の国で作られたものでも楽しむことができるのです。だから独自の言語で作る必要性が低下します。でも、日本はそれを同じように楽しむことができる人はごく少数なので、自分たちの文化・慣習に合わせたものを独自に作る必要がある。そして、独自に作っても経済性を保つことができる。これが日本の特徴であり、独創的なものが生み出される背景なのかなと思っています。この部分は移民政策にもつながってくると思うのですが、それはまた今度筆がのった時にでも書いてみようと思います。

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