Rainy Soul ~イギリス研究留学してました~

研究者がアカデミックなことなどを中心に徒然なるままに書いています。イギリスに研究留学していた際の情報も載せています。

9月入学にしたら留学生が増えるって本当??

2020-05-11 | 徒然に書きたいこと・思いついたこと
コロナウイルスの影響でなぜか9月入学を始めるという議論が始まっていますね。
PCR検査を増やせという意見が出るのもそうだと思いますが、このような危機をパフォーマンス・自己アピールのいい機会だと思っている方が多いようで、少し辟易しています。PCR検査をして陽性を検出できたとして、入院する病床も足りなくなりかけているのにどうしようというのでしょうか。懸命に頑張られている医療関係者にこれ以上の負担を強いる必要性があるのでしょうか?テレビやいろいろな所でPCRを増やせという方には、自分でPCRの技術を習得して自分で検査したらいいのではないかと思ってしまいます。また陰性は感染有無不明という意味なのですが、そこまで理解されているのかなと疑問に思います。科学リテラシーをもう少し高めて欲しいですね。とりあえず政府批判をしたい人が多すぎるし、政府もパフォーマンスしたい人が多すぎて残念です。

さて、9月入学をパフォーマンスとして自分の手柄にしたい方が大勢いるようですが、現場を少しは理解されているのでしょうか。子どものためと連呼する方もいますが、本当に子どものためなのでしょうか。9月にしたら海外留学しやすいとか、海外から有能な人材を獲得しやすいと主張されている方が多いのですが、本当にそうなのでしょうか?この効果が0とは思いませんが、本質はそこではないと思います。

日本という国は日本人が98%を占める先進国の中では少し特殊な国です。日本国内に住んでいる限り日本語が話せれば他の言語を話せなくても普通に生活できます。逆に言えば日本語が話せないと生活するのが大変と言い換えることもできます。だから日本では英語が話せる人が少ないです。ただそれだけの事と思います。英語、特にスピーキングを強化したら海外留学する人が増えるかと思います。
そして、海外に留学した学生があまり日本で就職しないのは報酬を求める人が多いからだと思います。イギリス留学中に知り合った学生の多くが給料がいい会社を志望していました。日本の給与水準では満足できない(数年で1000万クラスを狙う)人が多いので、それが実現できる外資・金融・コンサル系が多いのです。またイギリスの就職活動(ロンキャリ・ボスキャリなど)に参加する企業も外資・金融・コンサルがほとんどでした。留学している学生を募集していないので来ていないだけだと思います。高給取りを目の敵にしないで、稼げるようにしたら優秀な人材は戻ってくると思います。

日本の特徴でもあるのですが、枠(システム)を変えさえすれば何とかなると思っている節があります。そうではなく本質を考えるべきです。本質を理解しようとすべきです。

研究力ランキング、日本勢初のトップ10陥落…中国勢が躍進
<以下記事本文の引用です>
”英科学誌ネイチャーは、主要科学誌に2019年に掲載された論文数などにもとづく研究機関の研究力ランキングをまとめた。日本勢は東京大の11位が最高で、ランク付けを始めた16年以降、初めてトップ10から陥落した。ランキングは、自然科学系の82雑誌で発表された論文への貢献度を、研究機関別に調べた。その結果、50位以内に入った日本勢は11位の東京大(前年8位)、37位の京都大(同29位)だけだった。1位は5年連続で中国科学院だった。中国勢は今回、新たに2機関がトップ10にランク入りするなど、躍進が目立った。また、国別のランキングでは、日本は米国、中国、ドイツ、英国に続く5位。16年以降、上位7か国の順位に変動はないが、論文貢献度は今回、中国が前年比で15・4%増と急上昇した一方、日本は5・1%減だった。”

足元では大学の研究力の低下も顕在化しています。研究者を減らし、研究費を減らせば、研究力が低下します。当たり前のことです。上辺(パフォーマンス)に捉われずに本質を考えて欲しいです。

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