乱鳥の書きなぐり

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『役者手鑑 全』9 夕くれを おしむ乳母有り いかのほり 路志う 東京書舗 本石町十軒店 伏見屋善蔵 稀書複製版 米山堂

2019-11-24 | 俳諧、連句(『役者手鑑』などを含む)

 

 

 『役者手鑑 全』9 夕くれ(夕ぐれ)を おしむ乳母有り いかのほり  路志う(ろしゅう) 東京書舗 本石町十軒店 伏見屋善蔵 稀書複製版 米山堂

 

     三升
 万歳の
 来つつ
 なれ
  にし
    鶴太夫
 の鶴を受けて

 
 市江
  かな
 田面
  あゆむ
 長閑に
 鶴つがひ

 
  かな
 田面
  あゆむ
 長閑に
 鶴つがひ

  ↓
 鶴つがひ
 長閑に
  あゆむ
 田面(たのも)
 かな
   市江 

 

  夕くれを 
    おしむ
      乳母有り 
        いかのほり  
           路志う

  夕暮れを
    惜しむ乳母(うば)有り
       烏賊登り
           路しゅう


 


 写真は鶴のつがいであるが、田に長い足を浸けあるく長閑な時間は、「秋の三夕」の 「鴫立沢の秋の夕暮れ」と情景が重なり、さらに、空に登る凧に通じる。

 凧は烏賊と称されるは、空に飛び立ちとりとかけたのであろうかと、又しても主婦の妄想の世界は広がる。


「心なき身にもあはれ知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ」(新古今和歌集 362 西行)
 

 さらに同歌の「心なき身にもあはれ知られけり」と「乳母」を情景として重ねているようにも感じる。

 乳母と子守とは立場上違いはあるものの、民俗学の書物によれば、子守は村の外で応対しなければいけなかったという。

 さすがに乳母の立場はそれほどまでには待遇が悪かったわけではないであろうが、時間になれば、あや仕事別れを告げなければならない、寂しい夕暮れである。

  夕くれを 
    おしむ
      乳母有り 
        いかのほり  


 乳母の切なさが、見に染み入る。

 そして連句の趣を、主婦とてしんみりと味わえることになるのである。



 ところが、


「心なき身にもあはれ知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ」(新古今和歌集 362 西行)
 

 上を引いた、狂歌を頭のから積みにでももたげると、とんでもない方向に話は進む。

 なのでつぎぼ絵お考え次の国は凧をつなげているのだと、単純に想像しておきたい。


 救われるのが、上にも書いた凧(蛸)を烏賊(鳥)に見立てたところ。


       俳諧ぞ! だまらっ洒落(しゃい)!の 阿呆鳥


 
 路志う
   ↓
 
 源村四郎五郎路舟

 源村 = 源村(みなもとむら・みなもとそん)
      源村 (千葉県) - 千葉県 山辺郡(のちに山武郡) 源村 (分割編入され、西部は現東金市、東部は山武郡日向村→山武町を経て現山武市)。
      源村 (新潟県) - 新潟県 中頸城郡 源村 (同郡吉川町を経て現上越市)。
      源村 (山梨県) - 山梨県 中巨摩郡 源村 (同郡白根町を経て現南アルプス市)。
      源村 (鳥取県) - 鳥取県 河村郡(のちに東伯郡) 源村 (東伯郡竹田村を経て現三朝町)。
 上にような地名があるが、いずれも源氏に関係した土地でありうか?

 間違っているかもしれないが、四郎五郎で蘇我五郎十郎を思い浮かべ、曾我兄弟の仇討ちを思い出す。

 連盟句順では源村四郎五郎路舟と記されており、少し話は重々しい方向に入るのか、狂歌を引くのかが楽しみである。

 今回、『役者手鑑 全』を手に取り、字数は少ないが、想像する部分が多く、楽しい多くの時間を過ごすことができている。

 俳諧、そして連句とは素晴らしい文芸であることを知った。  

 素人主婦のお遊びですので、間違いはお許しくださいませませ。


 
 



   『役者手鑑 全』1 表紙・表紙裏 安永八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画

 https://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/8004913231b9f7916a7e5586e667ca07『役者手鑑 全』2 最終頁 安永八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画

 https://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/3781ea7dbbe73aa9b0e6a110bf6c85ea『役者手鑑 全』3 序文一オ・ウ 八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画

  『役者手鑑 全』4 連名句順 二オ 安永八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画

    『役者手鑑 全』5 立役者之名家 安永八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画

  『役者手鑑 全』6  三升 万歳の 来つつなれにし 鶴太夫 三オ 安永八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画

    『役者手鑑 全』7 「連名句順」の「吾妻富士仰蓮花」(右下)と「三升」から始まる「万歳の 来つつなれにし 鶴太夫」を再考したい。
 
  『役者手鑑 全』8  鶴つがひ 長閑にあゆむ 田面かな  市江  東京書舗 本石町十軒店 伏見屋善蔵 稀書複製版 米山堂

  『役者手鑑 全』9  夕くれを おしむ乳母有り いかのほり 路志う 東京書舗 本石町十軒店 伏見屋善蔵 稀書複製版 米山堂





https://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/84897d834ccc38046bd10d9662f35b1c

  東京大学所蔵 役者手鑑 / 花吸菴編 全22頁  安永八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画

 

 
 『役者手鑑 全』 表紙裏
 
 
 安永八年巳亥正月 花吸庵蔵 花吸庵編 磯田湖竜斎画   東京書舗 本石町十軒店 伏見屋善蔵  最終頁
  
 
 
 序文 一オ
 

 
 
 序文 一ウ
 

 
 
 連名句順  二オ
 
 
 立役之名家 市川團十郎 三升

 
 『役者手鑑 全』5  三升 万歳の 来つつなれにし 鶴太夫

 
 『役者手鑑 全』8  鶴つがひ 長閑にあゆむ 田面(たのも)かな  市江

 
 『役者手鑑 全』9  夕くれを おしむ乳母(うば)有り いかのほり 路志う
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