石油と中東

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石油・ガスの生産と消費で米国が四冠:BPエネルギー統計2019年版石油+天然ガス篇 (8)

2019-09-22 | BP統計

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

mylibrary.maeda1.jp/0479BpOilGas2019.pdf

 

(再度増産に勢いがついた米国!)

(4)ロシア、米国等主要国の生産量の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-2-G03.pdf 参照)

 ここでは2018年の生産量上位4カ国(米国、ロシア、サウジアラビア、イラン)に中国、カタール及びブラジルを加えた7か国について2000年以降の生産量の推移を見ることとする。

 

 2000年における石油・天然ガス合計生産量は米国が1,667万B/D(内訳:石油773万B/D、天然ガス5,186億㎥、石油換算894万B/D。以下同じ)でトップであり、ロシアは1,584万B/D(658万B/D、5,371億㎥、926万B/D)であった。その後、米国は生産が低迷、一方のロシアは増加したため2002年には両国の順位が逆転した。その後両国の差は大きくなり2005年の生産量はロシアが1,976万B/D、米国は1,533万B/Dと両国の差は400万B/D強にまで拡大した。しかし米国の生産が2005年を底に上向きに転じる一方、ロシアはその後横這いにとどまっている。この結果2014年には両国の順位が逆転、米国が290万B/Dの差でトップになった。そして2015年の生産量はロシアの2,108万B/Dに対し米国は2,553万B/Dで両国の差は445万B/Dまで広がった。2016年は米国の生産量が2005年以来10年ぶりに減少したが、2017年は2,599万B/Dと過去最高を更新、2018年はさらに大きく伸びて2,965万B/Dに達した。ロシアの生産量も増加したが、米国との格差は拡がっており、2018年は米国の2,965万B/Dに対し、ロシアは2,298万B/Dであり、両国の差は700万B/D近くになっている。

 

サウジアラビアの場合は従来から石油の比率が圧倒的に高く、2000年の生産は石油が912万B/D、天然ガスは82万B/D(石油換算)で石油はガスの10倍以上であった。その後同国の石油生産は2010年までは1千万B/D前後で推移し、現在は1,200万B/D台を維持している。この間天然ガスの生産は毎年前年を上回る増加を続けており、この結果2018年の生産量は石油1,229万B/D、天然ガス193万B/Dの合計1,422万B/Dに達し、両者の構成比は石油86%、天然ガス14%となり天然ガスの比率が上がっている。

 

カタールは2000年時点では石油と天然ガスの生産量はそれぞれ85万B/D、44万B/D(合計130万B/D)であり、石油が天然ガスを上回っていたが、その後天然ガスの生産が急速に拡大し、2006年には倍増、さらに2018年には石油換算で302万B/Dに達している。この結果、2018年の石油・天然ガスの合計生産量は2000年の4倍の490万B/Dを記録するとともに、石油と天然ガスの比率は石油38%に対し天然ガスは62%と逆転している。

 

中国は2000年以降着実に生産量が増加しており、2000年の373万B/Dから2018年には1.8倍の658万B/Dと過去最高の生産量であった。但し2012年に600万B/Dを超えて以降、生産は停滞している。イランも中国同様2011年までは着実に増加し、2000年の合計生産量482万B/Dが2011年には1.5倍の705万B/Dに増加した。しかし核開発疑惑をめぐる欧米諸国の禁輸制裁の結果、石油の生産は370万B/D前後に低迷、核合意による制裁解除を受けて2017年の石油生産量は500万B/Dにアップしたが、2018年は米国トランプ政権による石油の禁輸措置により石油の生産量は472万B/Dに減少した。天然ガスは国内需要の拡大に合わせ大幅に増産されており、石油・天然ガスの合計生産量過去3年間800万B/D台を維持している。天然ガスは全量国内消費のため生産量は今後も増加すると見込まれるが、原油の生産は米国が経済制裁を強化、同盟各国にも制裁効果が及ぶため今後の生産量は予断を許さない状況である。

 

ブラジルの生産量は上記の国々に比べて必ずしも多くないが、2018年の生産量は2000年に比べて2.2倍である。これは6カ国の中ではカタールの3.8倍に次ぐ高い伸び率であり、米国の1.8倍よりも高い。

 

(石油+天然ガス篇 生産量完)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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