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DAZN観戦 2019年J1リーグ第28節 サンフレッチェ広島vsヴィッセル神戸

2019-10-08 17:05:57 | サッカー視聴記(2020年以前)

トップダウン型か、ボトムアップ型か。

楽天というバックボーンの下、今夏も大型補強を敢行し続けた神戸。
「守備の強化を」という三木谷浩史氏の大号令(?)とともに、獲得した助っ人2人はトーマス・フェルマーレン、ジョアン・オマリともにDFの選手。
マリノスからGK飯倉を獲得するとともに、海外(ドイツ)から出戻りとなった酒井(渡欧前は新潟)も加入と陣容を強化していきました。
潤沢な資金力を生かした補強策で、トップレベルの選手を次々と獲得するその思想は、完全なトップダウン型と言えるでしょう。

その一方で、大分から藤本を獲得するという具合に、他者の神経を逆撫でさせるような振る舞いも隠しません。
今季の活躍により大分の象徴的存在とも思えた藤本を、わざわざ22節・大分戦の直前に引き抜くという血も涙も無い行為。
藤本自身はJFL出身でステップアップを厭わない性格なのでしょう、条件面で良いクラブを選んだだけだと思いますが、移籍後スタメン出場ゼロという現状をどう感じているでしょうか。

キックオフ直後、いきなり広島に決定機。
GK大迫からのロングボールを1トップのドウグラス・ヴィエイラが収め、左へ展開すると柏→稲垣→森島と繋がり、森島がカットインでエリア内へ。
神戸ディフェンスを深く抉って中央へマイナスのパスを送ると、完全フリーの川辺がシュート。
しかし僅かに左に外れ、先制チャンスを逃した広島。

それでも悲壮感は微塵も無かった(と思われる)広島、前半5分でした。
スローインからの攻撃、佐々木のパスに反応した森島が先程と同様に左からエリア内を抉ります。
そしてリプレイの如く中央へのマイナスのパスを送ると、同サイドから稲垣が走り込みシュート。
今度はGK飯倉の腕を弾き、ゴールに吸い込まれました。

広島のペースは開始10分頃まで続きます。
7分、今度は右サイドでハイネルが野上とワンツーで前進、その後スルーパスを送りエリア内でヴィエイラが受ける好機。
しかし神戸・大﨑のディフェンスに遭い、倒れますが笛は吹かれず。
9分には敵陣での青山のボール奪取から、ヴィエイラがエリア手前からシュートを放ちますがGK飯倉がセーブ。

しかしここから神戸が押し返します。
ビルドアップは3バックとセルジ・サンペールからですが、これにGK飯倉もサポートするとあっては、闇雲なプレスは徒労に終わるのみ。
よって中央を切りつつ、いつもの5-4-1のブロックを形成して守る広島ですが、それでも急所を突いてくるのがアンドレス・イニエスタの一本のパス。
12分・13分と、イニエスタのラストパスでFWダビド・ビジャがエリア内でシュートチャンスのシーンを作るという具合にクオリティ満点の攻めを魅せます。

そして20分、センターバック大﨑の縦パスを降りて受けたビジャ、1トラップからそのまま前方にパスを送るとこれが古橋への絶妙なスルーパスに。
エリア内でトラップした古橋、落ち着いてシュートをゴールに決め同点に追い付いた神戸。

そんな美しいともとれるサッカーを展開せんとする神戸ですが、その雰囲気に似つかわしくない存在なのが、今季開幕前に鹿島から移籍してきた西。
3バックへのシステム変更で、本来のサイドバックからウイングバックへと移行し出場を続けているベテランですが、近年は衰えからかラフプレーが目立ってきたのは気のせいでしょうか。(前年の天皇杯準決勝・浦和戦で、FW興梠をマンマークで徹底的に削って負傷退場に追い込んだのが印象的)
この日もそんな姿は健在で、後ろからのスライディングは元より、パスを出した森島を手で押し倒しただけで無く(当然反則)、その後の広島のフリーキックを至近距離でブロックしてもお咎め無しだったりと悪目立ちしていました。
正直、対面の柏(26節・マリノス戦で負傷)が削られ潰されやしないかと不安でした。

しかし23分の神戸の攻撃、パス回しからサンペールがエリア内右へとロングパスを送ると、これを受けにいったのは右WBの位置から走り込んだ西。
頭で落としにいった西ですが、あろう事か同じく落下地点に居た古橋と激突、古橋はピッチ外で倒れ込む事態に。
この日は敵では無く味方を潰してしまった……という一文が浮かびましたが、幸い古橋はその後(26分)プレーに復帰しました。

試合に話を戻すと、前半30分過ぎから再びペースを掴み始める広島。
そして39分、右サイドで野上がエリア内へスルーパス、ヴィエイラが受けます。
そしてこれまた最初のチャンスand1点目を左右対称にしたかのようなマイナスのパスを送り、再び稲垣がシュートを放ちネットに突き刺しました。
再びリードを奪った広島、さらに40分には相手のミスから青山がエリア手前からミドルシュートを放つと、これをエリア内でブロックに入ったフェルマーレンの腕に当たったとされハンド。
PKを得た広島、キッカーはヴィエイラが務めましたが、ゴール左へのシュートをGK飯倉が反応しセーブ。
3点目は防ぎましたが、そのまま広島ペースは変わらず前半を終えます。

後半は一転して神戸が主導権を握り、パスを回しつつ同点のチャンスを伺いますが決定機は作れず。
すると6分に広島のカウンター、ハイネル縦パス→ヴィエイラポストプレイで川辺がボールを持つと、そのまま右サイドをドリブルで疾走。
追走していた大﨑は、エリアすぐ脇で切り返した川辺を引き倒し、当然反則。
この時はカードは出ませんでしたが、これがその後の伏線だったでしょう。

12分には左ハーフレーンをドリブルで魅せ、14分にはGK大迫のパンチングしたボールを拾ってミドルシュート(ゴール上に外れる)という具合に、この日も観衆を魅了するイニエスタ。
それに呼応するように酒井やビジャもシュートを放ち、神戸ペースで進んでいた最中、試合を大きく動かすシーンが生まれる事に。

神戸とは対照的に、バックボーンは非常に小さく(といってもJ2並では無いが)限られた資源で上位を目指す戦いを強いられている広島。
今季はACLも並行するシーズン、苦戦は必至と思われましたが、終盤まで上位に食らいついています。

助っ人に目を向けても、当然華やかな神戸と違い、地味な路線に終始。
この日の前半に(28分)ハイネルがビジャにスライディングを敢行した後、両者が激高し選手が入り乱れるシーンがありましたが、スターと雑草という両者の絵図は趣深かったです。

それはともかく、特にFWには近年はドウグラス(現清水)にピーター・ウタカ(現甲府)、パトリック(現ガンバ)と、Jの他クラブで結果を出した選手の獲得が目立つ広島。
そんな路線で今季獲得したのがヴィエイラで、前年までJ2・ヴェルディに所属。
ヴェルディの3年間で37得点を残し、前年のJ1昇格プレーオフでは、入れ替え戦に導く決勝ゴールを挙げました。といってもあれは9割方GK上福元のゴールな気がしますが
そして晴れての(?)J1への個人昇格、3-4-2-1の1トップ・ボールの収め役として、前年大活躍したパトリックをサブに回してまで起用した城福浩監督。
その役割は十二分に果たしながら、故障欠場も多く得点は伸びず(6得点)。
8月末に故障し全治6週間と診断されながら、驚異の回復力を見せスタメン復帰を果たしました。(この辺は名フィジカルコーチ・池田誠剛氏の賜物でしょうか)

後半20分、そのヴィエイラに後方から森島のロングパスが飛んでくると、これが神戸ディフェンスラインの裏を取る決定機に。
ボールを収めようとするヴィエイラに対し、エリア手前で大﨑がバックチャージ、ヴィエイラは倒れ笛が吹かれます。
大﨑に赤色のカードが突き出される、決定機阻止で退場というジャッジ。
反則で止めるシーンが目立っていた大﨑(前半のは反則では無かったけど)、ついに神戸守備に大穴を開けてしまう事となりました。

これで得たフリーキック、キッカー森島が右足で直接狙うと、シュートは綺麗にゴール左隅へ。
苦しい時間を耐え2点差とした広島、ついに至福の時間がやって来ました。

1人少ない神戸に対しパスワークも冴え渡り、遅行を駆使しながら追加点を狙う戦いにシフトする広島。
32分に神戸に1点を返され(イニエスタのパス→交代出場・田中がエリア内からシュート)暗雲が過るものの、その後は冷静に試合を運びます。
38分に柏→清水へと交代すると、直後の39分。
スローインを受けたヴィエイラ、逆方向を向いたままアバウトに蹴り込むと、落下地点でハイネルが神戸・フェルマーレンを制してヘディングで落とします。
これを森島が受けてドリブル、エリア手前で中央の川辺にパスを出し、ダイレクトで放たれた川辺のシュートはゴール右へと突き刺さり貴重な4点目。

その後(40分)神戸はイニエスタ→小川へと交代しますが、これが事実上の投了宣言となったのか、アディショナルタイムにさらに加点する広島。
ハイネルのスルーパスからヴィエイラが抜け出してシュート、これはGK飯倉が股を締めて止めたものの、クリアボールを拾った広島が波状攻撃。
エリア内中央で川辺のパスを受けた森島、2度の切り返しから放たれたシュートも飯倉が止め、そのこぼれ球を清水がシュートするもゴール前にいたフェルマーレンがブロック。
しかし跳ね返ったボールは飯倉を直撃してヴィエイラの足元に転がり万事休す、ヴィエイラがゴールに蹴り込み5点目。
その直後、神戸陣内でのビルドアップでGK飯倉が処理を誤り、奪われて森島が無人のゴールにロングシュートを入れ6点目。
集中力の欠如を思わせるシーンが映し出された末の試合終了となりました。

対照的な両クラブの対決はこうして幕を閉じましたが、知名度は少ないながらもそこから成長していく、ボトムアップ型の方に心を打たれるものがある。
あくまで個人の考えですが、この日の広島の大勝ぶりで、改めてそんな事を思い直しました。


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