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地球という一つの命-目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われる。意識を変えるのは今! 気象予報士・森田正光さん

2020年05月27日 08時33分09秒 | 温暖化対策
地球という一つの命-目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われる。意識を変えるのは今!-
お天気キャスターとしておなじみの気象予報士・森田正光さん。近年の異常気象や地球温暖化に象徴される気候変動について、私たちはどう捉えて暮らしていけばいいか。今の社会状況を踏まえ、語ってもらいました。

もりた・まさみつ 1950年、愛知県名古屋市生まれ。気象予報士。日本気象協会を経て、92年、日本初のフリーランスのお天気キャスターに。独自の視点とユニークな解説で人気を集め、テレビやラジオに多数出演。自ら設立した民間気象会社ウェザーマップで会長を務める。
聖教新聞5月26日2020年 要点箇条書き抜粋

尾崎 洋二 コメント:全世界で、第二波、第三波もありうるコロナ禍の危機を、なんとかポジティブに捉えなおすことはできないだろうか?私はこの数年、日本における甚大なる台風・豪雨・洪水被害への根本的な解決策は、地球温暖化対策と思っています。この対策はまさにコロナ対策と同じく、世界との連帯においてしか解決できません。私はぜひコロナ禍危機を温暖化防止へと世界連帯へのチャンスにして欲しいと願います。森田さんの「目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われる。意識を変えるのは今!」との言葉はまさに「温暖化、コロナ」対策に言えることかと思いました。

Q1-最近、「気候変動」という言葉をよく耳にします。長年のご経験の上からも、最近の気象は尋常ではないと感じられますか?

A1-近年は特に、これまでとは次元の違う量の雨が降っています。日本全国で観測された全ての雨を集めても、かつては3万ミリや5万ミリが一番多かった。ところが2015年(平成27年)の鬼怒川水害では13万3000ミリ、18年(同30年)の西日本豪雨では観測史上最大となる20万8000ミリ、昨年の台風19号は12万5000ミリでした。
A2-昔は、防波堤や防潮堤が整備されていないことで大勢の人が亡くなりましたが、今はそうしたインフラが整っていても、それを凌駕する大きな災害に見舞われている。想定外のことが起きています。
A3- オーストラリアでは昨年、乾燥状態が続き、山火事が収まらなかった。ところが半年も続いていた火事が、1回の大雨で鎮火しました。つまり人間が対処できないほど、気象が“極端”になっているのです。


Q2-こうした気候変動には人間の活動が影響しているのでしょうか? 
   
A1-本当にその通りです。しかも、その結果、起きている変動の速度が速過ぎる。今回のコロナの感染拡大もそうですが、スピードが速いからついていけない。ゆっくりだったら、その分、対応ができる。ゆえに私たちは、変動を少しでもゆっくりにさせて、その間に準備をしなければならないのです。
A2-自然は本来、バランスを求め、常に“中間”“真ん中”へ向かおうとします。アンバランスを嫌いますから、変動・反動が起こるわけです。
 例えば、太陽が出ると、どんどん地面が熱くなる。すると地面から水蒸気が立ち上り、雷雲が生まれ、その雨が地面を冷やす。そうして均衡が保たれます。
 季節もそうですよね。冬、冷たい空気がどっと入ってきても、だんだん太陽の位置が変わり、南風が吹き、大陸が暖まる。
A3-今、夏が極端に暑くなったり、反対に冷夏になったりするということは、人間の活動によって崩された自然のバランスを、元に戻そうとする働きといえるのです。近代以降、自然が嫌う極端なことをやってきたのは、人間の側です。私たちは、今こそ自然や環境に対して、「正しく恐れる」謙虚さを持つべきだと思います。

Q3-気象解説をする中で、新型コロナウイルスの影響を感じることはありますか?
   
A1-空を見上げてみてください。皮肉なことですが、空気がきれいになっています。
A2-大気中のオゾンやPM2・5などの数値を分析した「大気汚染の少なさを表す指数」(ウェザーニュース)によると、その指数が、昨年と比べて明らかに高くなっています。今年の方が、鮮やかな青空なんです。
 衛星画像を見ても、これまでガスなどで覆われていた都市部の空気が澄んでいるのが分かります。移動や生産活動が制限され、自動車や航空機の排気ガス、工場の排煙などによる有害ガス(二酸化窒素等)の濃度が低下したことが大きな要因でしょう。
A3-経済活動が縮小しているということは、CO2(二酸化炭素)の排出量も減少しているということです。それは、化石燃料である原油の(需要が減り、)価格が下落していることにも端的に表れています。
A4-CO2の増加と地球温暖化の傾向は見事に一致しています。IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が指摘する通り、現在の温暖化は人間によってもたらされた可能性が非常に高い。温暖化に異議を唱える人もいますが、長期的に見れば、温暖化は疑いようのない事実です。人類が今までのような経済活動を続けるならば、CO2は増え、温暖化は続くこととなるでしょう。
A5-新たな社会状況のもと、経済活動と自然環境への配慮のバランスをいかに保っていくか。持続可能な開発をいかに進めていくかが大事だと思います。それが、地球温暖化を防ぐ道になるのです。
 
Q4-持続可能な開発は「平和の文化」の大事な柱です。その上で、現実の自分自身の生活に結び付けるには、どのような視点が必要でしょうか?

A1-この感染拡大への対応が、いみじくも解答を示しています。
 例えば、マスク一つをとってもそうです。私もなかなか手に入らないので、実は、何回か洗って使っていました(笑い)。捨てればなくなってしまうけど、使い回すことができた。近頃は手作りマスクをしている人も増えていますよね。まさに「もったいない精神」です。
 そのように、一人一人が意識を変え、行動に移していくことが、自然環境への負荷の低減につながります。
A2-また例えば、水を見てどう思うか。人が蛇口からバーッと水を出していると、もったいないと感じますよね。水ってエネルギーの塊です。日本の水道水はとても上質で、本当によくできている。水を、自然の恵みであると同時に、人々の英知と努力の結晶だと考えると、感謝が湧きます。
 目の前の現象だけを見るのではなく、ちょっと見方を変えることで、違う世界が見えてくる。ものごとをどう捉えるかが大切です。
A3-意識と行動を変えるのは「今」です。 エネルギーについても同じです。これからは新しい蓄電技術をはじめ、さらに効率のいいものが増えていくでしょう。
私は、温暖化への対処は、コロナという危機をきっかけに、むしろ加速することを願います。今のピンチをピンチのままで終わらせず、“ピンチはチャンス”と発想を変える。そうすれば新しい道が開けてくる。歴史とは、こうして進んでいくのではないでしょうか。
A4-今、ものすごい勢いで世の中が変わっていて、私たち自身がどう変わっていくかが問われています。とにかく変化についていくこと。そして、できるだけ変化に対応しながらも、ぎすぎすした社会はつくらない。咳をしただけで厳しい視線にさらされることのないように、仲良くありたい。
A5-今回の新型コロナウイルスの流行が収まったとしても、また数年後、十数年後には、新しい感染症が現れるわけですよね。目に見えない相手に向き合う中で、人間の真価が問われるのだと思います。
 
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