ドミナリア地理:南西ジャムーラの地図作成その3

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南西ジャムーラ地域の地図作成の第3回目。(→第1回目記事第2回目記事

前回に引き続き小説Johan付属地図をベースに地理情報を書き込んでいく。現在の状態はこれ。

今回はレジェンドサイクル1小説三部作の地理情報の中でも、所在地不明の地名をピックアップして行こう。

フィスマタンとルクレジア

前回記事で先送りにしたフィスマタン(Fysmatan)ルクレジア(Lucrezia)1の2国について語りたい。

Princess Lucrezia

ルクレジアの統治者ルクレジア王女(Princess Lucrezia)
データベースGathererより引用

フィスマタンとルクレジアは対立する国である。位置は不明だが静寂海(Sea of Serenity)に存在することだけは明らかだ。峨々海岸(Craggy Coast)にあるかもしれないし島国の可能性もある(ルクレジア王女のカードイラストを見ると、少なくともルクレジアは島かもしれない)。両国ともヨハンの南部侵略に対して中立を貫いた。

小説1作目Johanの物語において、パルミラ(Palmyra)の指導者アディラ・ストロングハート率いるロバラン傭兵団はより多くの報奨金を提供するフィスマタン側に肩入れする。ルクレジアの船を襲い、秘密の占領地を解放し、奪い取った新造船団をフィスマタンに売り払って多大な利益を収めることに成功した。この資金がヨハンとの戦争の助けとなるのだ。

このようにパルミラは両国の関係に大きく立ち入ってパワーバランスを変化させたにも拘らず、フィスマタンもルクレジアもその後の北部地域と南部の戦争には全く関係を持つことはなかった。フィスマタンはパルミラに味方して南部同盟に加わってもおかしくないし、逆にルクレジアはパルミラに報復するためヨハンと懇意を結ぶこともあり得たはずだ。

なぜだろうか?いくつかの可能性が挙げられる。2

  • 侵略の影響が少ないか直ちに影響が出ない。地理的に安全な位置にある、または、距離がある。
  • フィスマタンとルクレジア間の闘争で手一杯でヨハンの戦争にかかずらうほどの余裕がない。
  • ルクレジアはパルミラが関与した事実を最後まで把握せずフィスマタンに対する憎しみを深めただけで終わった(南部都市同盟に報復を考えるはずもない)。

海外ヴォーソスの中には、大山脈地帯に隔てられた西側の峨々海岸ならヨハンが切迫した脅威とはならないため、そこに位置する可能性が高いのではないか、との説も見かけられる。

フィスマタンとルクレジアの位置はどこか?小説1作目Johanから20年近くが経つ…公式の回答を待ち望む。現代ドミナリア地図を作成したEthan Fleischerには本気で期待している。



アルバトロス小路を越えて

アルバトロス小路(Albatross Alley)は不明瞭な記述が数多いレジェンドサイクル1三部作でも私が頭を抱える名称だ。

「alley」は「路地、小路、裏通り」などの意味だがアルバトロス小路は普通の道のことではなさそうだ。なぜなら作中では海(特に南の海)に関する時に出てくるのだ。「アルバトロス小路より(遥か)南の(海・島)」という言い回しが少なくとも3回出てくる。小説2作目Jeditではある登場人物が「かつて静寂海を、さらにその果てまでも航海した。イシャン湾(Bight of Ishan)を3度越え、アルバトロス小路の南までも…」と語っている。

アルバトロス小路はおそらく陸上の道ではなく航路なのだ。静寂海の海上交通路でも最も南の航路であるとすればつじつまが合う。

スカラベ諸島

スカラベ諸島(Isles of the Scarabs)は火山島群で、珊瑚環礁が見られることが特徴である。静寂海ではこの種の環礁はアルバトロス小路の南方にしか存在しない。

Wood Elemental

Wood Elemental
データベースGathererより引用

諸島のある島にはウナワンナ(Unawanna)の王国民が入植していたが、ルクレジアの海兵隊に征服されて民は奴隷となり、島は造船基地へと変えられていた。ウナワンナの島に生える全樹木の帝王ムムーイル(Mummuir, the Monarch of All Trees)は周囲の生物を養分に変えて生育する恐ろしい植物だ。その正体は「樹木の精霊(Wood Elemenntal)」ではないかとイェーガー・オジャネン(ジェディットの父親)は見当をつけた。つまり、カードセット「レジェンド」収録のMTG史上最弱カード候補に挙がる「Wood Elemental」のことだ(戦場に出る際にアンタップ状態の森を生け贄に捧げた数のサイズとなるクリーチャー)。

追記:スカラベ諸島はルクレジアの主要海上交易路からは離れているため、秘密の造船基地を建設しても露見しにくい利点があった。ロバラン傭兵団によってルクレジアの暗号海図が奪取され解読されたのは不幸である。

ココバー諸島

ココバー諸島(Cocobar Islands)はアルバトロス小路の遥か南にある。

Alchor's Tomb

アルカーの墳墓(Alchor’s Tomb)
データベースGathererより引用

サリクサ(Sarixa)は諸島最大の港である。不気味なコルトス島(Island of Koltos)は20マイルほどの広さで腎臓に似た形をしており、アルカーの墳墓(Alchor’s Tomb)が存在する。

アルバトロス小路の南の島々

小説3作目Hazezonには破れ砂州(Broken Shoals)辛酸岩礁(Bitter Reef)という島の名称も登場している。アルバトロス小路の南のどこかに位置することだけでも判明しているのはありがたい。

所在不明

サイクロプス諸島(Isles of the Cyclops)は小説3作目Hazezonでは南部の都市国家同盟にいつの間にか加わっていたようで、ハゼゾン・タマル(Hazezon Tamar)による演説で他の都市群と並列して名前が上げられる。したがって、峨々海岸近海の島国であると考えられる。そして、おそらくはサイクロプスが住人であろう。

恐怖島(Fear Island)は小説1作目Johanに名前が出てきた。

パース(Perth)はルクレジアの船名「パースの名誉号(Pride of Perth)」として登場し、地の文で「パース、そこがどこだって構わないが」という旨が短く触れられる。このことからパースはおそらく地名であり、アディラ・ストロングハートら登場人物が知らない地名という意味と思われる。登場人物が知らないだけでルクレジアの地名の可能性も十分にある。…あるいは、オーストラリアには同名の街があるので、作者が現実世界の地名を異世界ドミナリアに持ち出した(笑えない)冗談なのかもしれない。



現時点の状況

今回は位置を特定して書き込める地名が無かったので地図には変化はない。次回でレジェンドサイクル1三部作の気候の不可解な描写などを含めたまとめに入るか…、それとも、地図上に少し見えている東ジャムーラの地名を書き加えるかして、終わりにする予定だ。→次回

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  1. イタリア風に「ルクレツィア」とも読めるが、カードセット「ドミナリア」の公式ポッドキャストでの発音に倣った
  2. 物語上で単に忘れられたのでなければ、あるいは、本筋に無関係のサブプロットとしてページの埋め草に挿入されたのでなければ