人生激辛ソムタム

風呂なしアパート20年の日々とタイ・インド

独居日乗 2.13(木)

「斬進快楽写真家」にこんな一文があった。

「16歳からずうっと強烈なものばかり会ったり、見たりしていたから、今さら自分はもう元の世界には戻れない」

同じだと思った。サラリーマン8年目の夏休みに偶然が重なり急遽バンコクに行った。そのときの体験がまさに「強烈なもの」だった。

目と鼻の先のステージで性を誇示して踊るおおぜいのダンサーたち。迷い込んだ真っ暗なゴーゴーで女たちに囲まれながらした小便。女をおぶって上がったアパートの階段。行き先もわからず乗ったバス。体にまといつくような湿気と暑さと騒音と匂いと暗闇。探し続けていた場所を見つけたように思った。

10日にも充たない滞在だったのに、帰国後はすべてが色彩をなくしたように映った。書類を処理するだけで一日が終わる人生には戻れなくなっていた。4か月後に会社を辞めた。

あれから22年。嫌な思いもずいぶんしたが、いまもタイに通っている。