明けない夜はない、「感染症対人類の世界史」を読んで。

<Photo by 「感染症対人類の世界史」の表紙より>

皆さん、こんにちは!

お元気ですか?筆者は、家族の食料調達と食事作りと、末っ子の面倒でヘトヘトで、久しぶりの投稿となってしまいました。

いつまで続くかわからないCovid-19という感染症との戦いですが、必ず克服できるはず!こんなことでめげたくはない、と思っていた矢先、「感染症対人類の世界史」という池上彰さんと増田ユリアさんの対談形式で読みやすい本がタイムリーに出版されました。



早速、読んでみました。

近い過去では、SARSだって新型インフルエンザだって私たちは乗り越えてきました。エボラ出血熱だって、ヨーロッパに住んでいると一時は相当な心配事の一つでした。でも、いつの間にか落ち着いていました。そういえば、大昔にはペストや天然痘という致死率の高い感染症が世界中で猛威を奮い、次男の歴史授業のレポートの題材になっていたくらいです。

この本を読んで、実際に世の中がどう影響を受けたのか、人類はどのようにそれらを乗り越えて発展してきたのかを知ることで、是非もうしばらく続きそうな自粛生活を乗り切って行けたらと思いました。

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⚫︎ 目次
⚫︎ 筆者の参考になったところ
⚫︎ お勧めポイント
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⚫︎ 目次

  • はじめに
  • 第1章 シルクロードが運んだ病原菌
  • 第2章 世界史をつくった感染症ー天然痘
  • 第3章 世界中を震え上がらせた感染症ーペスト
  • 第4章 感染症が世界中を変えたー日本編
  • 第5章 世界大戦の終戦を早めたスペイン風邪
  • 第6章 人類の反撃始まる
  • 第7章 今も続く感染症の戦い
  • おわりに
目次を読むだけでも、面白そうですよね。筆者はKindleで読んだので、最初にサンプルをダウンロードしました。「はじめに」、の部分だけでも面白かったですよ。さすが、読んでみたい、今、読者が知りたいと思っていることがきちんと「はじめに」書かれていました。

⚫︎ 筆者の参考になったところ

今回のCovid-19、発祥は本当はどこなのか、今でも議論になっていますよね。ペストに関しては、DNA鑑定の結果、ヨーロッパで流行したペストは実はシルクロードの発展に伴い、中国から拡散したらしい、とのこと。一方で、梅毒はアメリカ大陸からヨーロッパに持ち込まれたようです。結局のところ、感染症の発祥の特定は難しいものの、人の行き来によって感染症が広がっていくのは、昔も今も変わらないようです。

ただ、現在と昔(SARS含む)が決定的に違うのは、海外を行き来している中国人留学生や移民の数の多さと、手軽になった海外旅行です。これにより、Covid-19の拡散のスピードがこれまでのどの感染症よりも速くなってしまったというわけです。

感染症の普及により、宗教や権力が弱まることは面白いと思いました。例えば、信仰していても感染症にはかかります。信仰していても、神は救ってくれないじゃないか、ということになりますよね。さらに、食べていくことだけで精一杯な国民の、政府に対する不満が高まることも今の時代ととてもよく似ています。そして、感染症を元々仲の悪い国のせいにするところも、今と全く変わらないな、と思いました。

また、昔は感染症により大量に人が亡くなったので、労働人口が減り、感染症がおさまった後の数年は労働賃金が上場する傾向があったそうです。Covid-19でも多くの方が亡くなっているとはいえ、人口比率ではそこまで大きくはないので、おさまった後の労働人口減少というよりも不況による失業率が気になることろではあります。

感染症が流行る度に、権力は脅かされ、新しい政策が導入されるきっかけとなってきたそうです。Covid-19に関しても、例えば、世界中で急速に普及または検討されているリモートワークやオンライン授業の導入などは、既に、とても大きな社会変化をもたらしていますよね。感染症の流行は、Covina-19がおさまっても数年おきにやってくると思いますから、次回はもっと上手く対応できるように体制を整えておきたいものです。

また、規模は異なれど、各政府が個人や企業などに経済救済措置として給付金や助成金を支給したり、富豪が寄付をしたりする行動は、富の再配布に当たり、少し貧富の差が縮まることになります。逆に、安定期には貧富の差は開いていくのだそうです。本当にその通りですね。

ペストでは、ヨーロッパの人口がなんと1/3も亡くなってしまったのに、めげずにこんなに発展してきたのってすごいな、と思いました。それだけ多くの人たちが亡くなってきたにも関わらず、果敢に感染症と向き合い、ペニシリンや治療薬を発見、開発されてきた方々には感銘を受けました。今でも最前線でCovid-19と戦っている医療従事者の方々には、心より感謝しています。くれぐれも安全第一で、ワクチンや特効薬の開発をお願いしたいと思います。

話はそれますが、日本ではテレビドラマの「仁 -JIn-」が再放送されているらしいですが、感染症に苦しむ人々を救うために必死でペニシリンを開発する主人公の姿は、まさに今医療現場で治療や薬の開発に携わる方々の姿を現しているのではないでしょうか。

⚫︎ お勧めポイント

なんと言っても、読みやすいです。池上さんは、子どもニュース解説のご経験もありますし、増田ユリアさんは中高で世界史の先生を長年されて、「世界一受けたい授業」というTV番組にもご出演したことがあるそうです。

人類が感染症を克服するためには、国際協力が不可欠で、個々人がデマに流されないこと、という点を強調されていましたが、本当にそうだな、と思います。

過去に私たちが天然痘を撲滅できた背景には、米国とソ連の国際協力がありました。ポリオ撲滅があと一歩で止まっているのは、米国の過ちがあるからです。また現在も、米国の大統領は米国の被害は、他国のせいだと主張しています。Covid-19の起源は明らかにされるべきだと筆者も思っていますが、それと米国の対策の失敗は別問題です。米国の失敗は、米国大統領の責任ですよね。

話をもとに戻すと、古代エジプトの天然痘から、中世のペスト、マラリア、スペイン風邪、SARS/MERS(新型インフルエンザ)、そして、現在のCovid-19まで、どのような感染症と人類が戦ってきたのか、大枠を捉えるにはうってつけの書籍です。わかりやすく書かれていますので、ロックダウン中でも前向きになれるのではないかな、と思いました。

ご興味あれば、是非読んでみてください。


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