孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

「ウィズ・コロナ」のもとで「タフ」な体制整備を

2020-06-04 22:48:50 | 疾病・保健衛生

(フランス北西部のモンサンミッシェルに架かる橋を走るシャトルバスに乗り込む観光客=20日【6月2日 朝日】)

【「警戒感」が強い日本 「ウィズ・コロナ」で日常生活再開に向かう世界】
日本ではようやく新型コロナに関する制限緩和に踏み出したものの、周知のように「東京アラート」が出され、今も継続中です。

****都内28人感染、若年層大半 「東京アラート」継続中 *****
東京都は4日、新型コロナウイルスの感染者が新たに28人報告されたと発表した。うち23人を10代から30代までの若い世代が占めた。都内の感染者は累計で5323人となった。死者は1人が報告され、累計は307人。

都は感染拡大の兆候を受けて今月2日に「東京アラート」を出して警戒を呼び掛けている。 
 
都によると、直近7日間では1日当たりの新規感染者数の平均は18・3人に増加した。新たに報告された28人のうち、感染経路が不明なのは14人だった。 
 
都内の感染者数は3月下旬から急増、4月中旬にピークに達した。5月下旬にかけ減少傾向にあったが緊急事態宣言解除後は再び増加に。【6月4日 共同】
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一方で、海外に目を転じると、ピークアウトしたとは言え、日本基準からすれば一桁多い感染状況にもある欧州各国はバカンスシーズンに向けて制限緩和を本格化し、往来の自由に向けて動き出しています。

*****【新型コロナウイルス】 欧州の状況****
感染症の欧州の拠点となっているイギリスでは新型コロナウイルスによる死者数が過去24時間に324人増の3万9369人に症例数も1613件増の27万7985件に達した。

イタリアでは新型コロナウイルスによる死者数が過去24時間に55人増の3万3530人に、症例数は318件増の23万3515件に達した。(中略)。他方では、3月10日に課された国内での自由移動規制を正常化の枠組みで今日(6月3日)解除するイタリアは、欧州連合(EU)の国民に国境も開放する。

フランスでは感染症による死者数が過去24時間に107人増の2万8940人に達した。同国の症例数は18万8829件と記録された。

スペイン保健省は、過去48時間に同国で新型コロナウイルスによる死亡が確認されなかったと公表した。声明ではまた、過去24時間に新たな症例数が137件増の23万9932件に達したと伝えられた。(中略)

ポルトガル政府は、新型コロナウイルスにより過去24時間に12人が死亡して感染症による死者数が1432人に達したことを発表した。同じ期間に新たな症例が195件確認され、症例数は3万2895件に達したことが報告された。【6月3日 TRT】
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****欧州、観光客受け入れ再開に本腰 バカンス控え、国境開放へ*****
新型コロナウイルスで甚大な被害が出た欧州各国が観光客受け入れ再開に本腰を入れ始めた。夏のバカンスシーズンを控え国境を開放し、壊滅的打撃を受けた観光業の復興を図る。

一時、世界最多の死者を記録したイタリアは3日、欧州連合(EU)諸国や英国などからの入国制限を解除した。
 
観光業が国内総生産(GDP)の約13%を占めるイタリアでは、首都ローマのコロッセオや中部ピサの斜塔など世界的名所が既に再開。ディマイオ外相は欧州メディアに「われわれの国で休暇を過ごし、海や山で料理を楽しんでください。笑顔で待っています」と呼び掛けた。
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“仏でレストランやカフェなど再開、2か月半ぶり…テーブル1メートル以上離すなど条件”【6月3日 読売】
“独、欧州への渡航警告解除へ=3カ月ぶりに観光解禁―新型コロナ”【6月3日 時事】
“ベルギー、8日からほぼ全業種を再開 15日には国境も=暫定首相”【6月4日 ロイター】
“スペイン、6月22日に仏・ポルトガル国境規制を全面解除”【6月4日 ロイター】

アメリカも新規感染者数は2万人超と「高止まり」状態にありますが、経済再建を急ぐトランプ大統領の方針もあって、すでに5月段階から全国で緩和に向けて動き出しています。
“アメリカ、全50州で経済活動を部分再開”【5月21日 BBC】

インドは未だピークが見えない状況です。

****インドの新型コロナ感染者、20万人突破 ピークはかなり先に****
インド保健当局は3日、新型コロナウイルスの感染者が前日から8909人増えて20万7615人になったと発表した。1日の増加数は過去最大級だが、ピークは数週間先になるとみられている。

インド医学研究評議会のニベディタ・グプタ博士は「(感染の)ピークはまだかなり先だ」と述べた。インド政府当局者は感染者数の増加が減少に向かうのは6月後半か7月になる可能性があるとの見方を示している。

累計の死者数は5815人となった。

感染者の数は米国、英国、ブラジルなどに次いで7位。だがインド保健当局者によると、同国の死亡率は2.82%と世界の平均(6.13%)よりもかなり低い水準にとどまっている。【6月3日 ロイター】
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そのインドも段階的解除に動き出しています。

*****インド、全土封鎖を段階的解除へ 新型コロナ、感染拡大続く懸念も****
インド政府は30日、新型コロナウイルス対策として3月から続けている全土封鎖を、6月1日から段階的に解除すると発表した。
 
13億人超の人口を抱えるインドでは感染者が増え続け、30日に計17万人を超えた。封鎖が解除されることで感染拡大が続くことが懸念される。
 
新たな指針によると、夜間外出禁止は時間を短縮して継続。感染者が多く住民の外出を特に厳しく制限している「封じ込め地区」では、6月30日まで封鎖を続ける。
 
一方、封じ込め地区以外では、州が制限しない限り州境を越える移動の制限を解除。飲食店やショッピングモールの営業は6月8日から許可する。【5月31日 共同】
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インドがこの段階で緩和に踏み出すのは、これ以上の制限状態は経済的に耐えられないからです。
特に、貧困層では、「コロナ予防ために飢えで死ぬ」ような状況が現実のものとなりかねません。

制限緩和を急ぐ多くの国の事情はインドと似たり寄ったりでしょう。

今後、感染の中心地基となると予想される南米やアフリカの感染拡大は「これから」の状況です。

総じて、諸外国が相当の感染状況のなかで日常生活に戻ろうとしているのに対し、日本は極力「感染ゼロ」に向けて総力を挙げているようにも。何事につけ、完璧を目指す国民性でしょうか。

【鎖国状態を続ける訳にいかないなかで、一定の感染を「受容」した「タフ」な体制づくりを】
日本と同レベルの低い感染状況を達成しているのは、アジアでは中国、台湾、香港、韓国、ベトナム、タイなど。
あとオーストラリアにニュージーランドでしょうか。

こうした国々のなかのベトナム・タイ・オーストラリア・ニュージーランドとは往来の再開も予定されているようです。

****入国、一部緩和の方針 政府、豪など4カ国対象 ビジネス客ら****
新型コロナウイルスの感染拡大防止のための水際対策について、政府はタイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国と緩和に向けた交渉に入る方針を固めた。条件面で折りあえば、相互にビジネス関係者などを受け入れる。早ければ夏前にも、国際的な人の往来が一部再開される可能性が出てきた。
 
複数の政府関係者が明らかにした。政府は「第2波」を警戒して水際対策緩和に慎重な姿勢を守りつつ、国家安全保障局(NSS)を中心に検討した結果、4カ国は感染状況が日本と同程度に収束していると判断。第1弾の対象国とすることが固まった。
 
政府は2月から水際対策を順次強化し、入国拒否の対象は計111カ国・地域に及ぶ。外国人の入国を原則拒否するとともに、帰国する日本人にもPCR検査を受けてもらい、結果が陰性でも自宅などで2週間待機するよう求めている。近く交渉に入る4カ国も現在、入国拒否の対象だ。
 
政府が入国を認めるケースとして想定するのは、自国で受けたPCR検査で陰性が証明されているなど、一定の条件をクリアしたビジネス関係者ら。

入国時のPCR検査でも陰性なら、ホテルなどの滞在先に加え、取引先の企業や工場など限定された拠点での活動を認める方向で検討している。移動には公共交通機関を使わないよう求める。
 
政府は日本人のビジネス関係者の受け入れ条件についても交渉し、相互に往来を再開させたい考えだ。4カ国から帰国する日本人のビジネス関係者も、勤務先で仕事ができるようにする方向で調整している。【6月1日 朝日】
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対象国に中国が含まれていないのは、昨今の米中対立の状況では、日本が中国との往来を再開させることをトランプ大統領が良しとはしないだろう・・・という政治的判断でしょう。

韓国や台湾も、政治的に微妙な問題がつきまといます。

****日本の入国規制緩和リストになぜ中国が含まれないのか―中国メディア****
(中略)
記事は、中韓両国の制限緩和は第2弾以降になる見通しだとし、「5月中旬の日本の報道では、経済活動再開のために日本は中国と韓国のビジネス客に対して入国制限緩和を検討していた。しかし、今回の緩和対象国にこの2カ国が含まれなかったことは、日本の世論から大きく注目されている」と伝えた。 

中韓両国が第1弾に入らなかった理由について、記事は読売新聞の報道として「米中関係の緊張で、新型コロナウイルス問題に関して米国による中国へ批判が高まっていることが関係している」と紹介。

「日本が日中間の往来制限を過度に早く緩和すると、米国の反発を招く可能性があるためで、日本は慎重な態度を取る必要がある」とした。韓国については、外出制限緩和後にクラスターが発生していることが主な理由だとしている。 

記事は、日本の世論からは「日中間の貿易往来は密接であり、中国が感染を抑え込んだことで日本国内のビジネスマンからは両国間の出入国制限を早く緩和してほしいとの声が出ている。

日本政府が米国の態度に配慮していることは残念で、経済再開には悪影響だ」との声が出る一方で、「日中や日韓の往来はベトナムやタイよりも多いため、早すぎる緩和は第2波の発生につながる」との見方もあると伝えた。 

日本政府は、今後の新規感染の状況などを基に、緩和の時期や最初に制限を緩和する国を正式に決定する。【6月1日 レコードチャイナ】
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記事にもあるように、人数の多い中国・韓国との往来再開の前に、今回4か国のようなところで「再開時の様子を確認する」のは現実的な対応かも。

ただ、そうした感染が殆ど抑え込まれている国は少数で、それらの国との往来を再開させたそのあとは?
欧米とは?インドや南米・アフリカ・中東とは?

****1日10人の感染者入国で「再宣言」に 西浦教授ら試算**** 
新型コロナウイルスの感染者が海外から1日10人入国すると、90日後には99%の確率で大規模な流行が起こると、西浦博・北海道大教授(理論疫学)らのグループが試算した。

国外との人の往来再開を目指す動きが出るなか、西浦さんは「第2波」に備え、リスクに応じた入国者の制限など体制整備が必要だと訴えている。
 
日本は現在、計111カ国・地域を入国拒否の対象とし、厚生労働省はこの国・地域から帰国する日本人全員にPCR検査をして、陰性でも自宅などで2週間の待機を求めている。この他の国・地域からの入国者も2週間待機する。
 
西浦さんらは数理モデルを使い、どのくらい感染者が入国すると大規模流行が起きるか確率を計算した。入国者全員にPCR検査を行い、陰性の人も2週間ホテルなどで待機を求める。それでもPCR検査の精度の限界や、待機を守り切らない場合があると想定し、一部の人が入国後に感染を起こす条件とした。
 
その結果、感染者が1日10人入国すると90日後には99%の確率で、緊急事態の再宣言が必要となる規模の流行が起きた。1日2人なら確率は58%、1日1人なら35%に抑えられた。

一方、検査しないと確率が上がり、感染者の入国が1日2人の場合95%、1日1人でも77%だった。【6月4日 朝日】
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「リスクに応じた入国者の制限」というよりは、鎖国状態を続ける訳にもいきませんので、ある程度の感染者の流入、その結果の国内感染の増加を前提にしたうえで、感染爆発や医療崩壊を招かない「タフ」な体制を整備し、一定の感染を受入れる国民の「受容」を醸成していく方向に発想を切り替えていくべきと思うのですが。

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