孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

韓国  検査態勢の拡充もあって感染者数急増 大邱封鎖には住民反発 日本では・・・

2020-02-27 22:46:57 | 疾病・保健衛生

(車に乗せたまま、乗員の新型コロナウイルス感染検査をする診療所の当局者=26日、韓国・世宗市【2月27日 産経】 “韓国で新型コロナウイルスの感染者が急増した背景には、検査環境の整備で検査総数自体が大幅に増えたことも指摘される”とも。逆に言えば、検査が十分に行われていない日本は・・・)

【韓国 1日で感染者500人超の増加】
昨日ブログでも取り上げたように、新型コロナウイルスの感染は、中国国内の状況が湖北省以外では一定に落ち着く一方で、世界全体に拡散する新たな状況となっています。

****新型肺炎で中国専門家「4月末には押さえ込める」「日本のクルーズ船対応は失敗」****
中国政府の新型コロナウイルス対策に強い影響力を持つ専門家グループトップの鍾南山氏は27日、「4月末には(中国国内の)感染をほぼ押さえ込める」と述べた。同時期に生産活動もおおよそ再開できるとの見通しを示した。
 
広東省広州での記者会見で語った。鍾氏は「現在は情勢が変化した。感染者の増加は国内よりも国外が多い」とし、中国政府による「空前の防疫措置」が国内の感染拡大を抑制したとの見方を示した。
 
また、感染者700人以上を出したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への日本政府の対応について「乗客を下船させず隔離したのは失敗だった」と言及。「船の狭小な閉鎖循環システムを通じて気体が広がり、(ウイルスの)伝染を極めて容易に促進した」と指摘した。
 
中国国家衛生健康委員会は27日、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染者が中国本土で累計7万8497人、うち死者が2744人に上ったと発表した。いずれも27日午前0時(日本時間同1時)時点。感染者は前日から433人、死者は29人それぞれ増加した。【2月27日 産経】
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****新型コロナ、世界の新規感染が中国上回る 南米にも拡大****
世界保健機関は26日、中国国外での新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数が、同国内を初めて上回ったことを明らかにした。同日はブラジルで南米初の感染者が出た他、ギリシャ、ジョージア、ノルウェー、パキスタンでも初の感染者が確認された。
 
WHOによると、25日の新規感染者数は中国国内で411人、中国国外では427人だった。感染者はイタリア、イラン、韓国で急増しており、各国政府は感染拡大の阻止に奔走している。(後略)【2月27日 AFP】
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欧州での拡大の震源地はイタリア北部、イスラム世界の拡大の震源地はイラン・コムですが、もうひとつ爆発的に感染が拡大しているのが日本の隣国・韓国。

****新型肺炎、韓国の感染者500人増 1766人に****
韓国政府は27日、新型コロナウイルスの感染者が計1766人になったと発表した。新たな感染確認者は、この日だけで505人で、死者数も1人増えて13人となった。
 
新たな感染者のうち422人が感染者の多い南東部の大邱(テグ)で確認された。13人目の死亡者も大邱で、病院への搬送中に死亡した。そのほかソウルで56人、ソウルを取り巻く京畿道(キョンギド)で62人に上り、首都圏での感染も増えている。【2月27日 産経】
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韓国政府は、感染が拡大しているイランからら現地韓国人(約200人)を退避させる方策を準備しているとのことですが【2月27日 ソウル聯合ニュースより】、感染リスクではイランと韓国、どちらが大きいかはよくわかりません。

ただ、イランは米国など国際社会からの制裁で医薬品が非常に不足しており、感染した場合、十分な治療を受けられないという事情もありますので、退避措置検討ということでしょう。

【「空前の防疫措置」を誇る中国 封鎖措置がとれない韓国】
新たな感染者が1日で500人超となると、もはや「感染経路を特定して・・・」といった個々のケースに対応した封じ込め策は無理で、とにかく発症者の重篤化防止、医療体制崩壊防止が最優先課題となります。

感染拡大防止の方は大きく網をかけるような対応が求められる事態にも。
中国が「空前の防疫措置」と胸を張るような、1100万人都市・武漢封鎖のようなかなり強硬な対策も検討課題となります。

韓国の場合、感染拡大の中心地は周知のように南東部の大邱(テグ)です。
1日で500人超の新規感染者が出る状況では、1日前の数字は全く使えないませんが、昨日報道では感染者の9割を大邱が占めているとか。

****新型コロナ感染者1000人超 9割以上が大邱・慶尚北道=韓国****
(中略)感染者は、新興宗教団体「新天地イエス教会」の南東部・大邱にある施設での礼拝に参加した信者と慶尚北道・清道の病院の患者を中心に、大邱・慶尚北道地域に集中している。

新たに確認された感染者169人のうち、153人は両地域で発生した。このほかソウルで4人、釜山で8人、仁川で1人、京畿道で1人、慶尚南道で2名の感染が確認された。(後略)【2月26日 ソウル聯合ニュース】
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武漢の事例に倣えば、大邱の封鎖・・・という方策が浮かびますが、韓国国内(特に、地元大邱)では反発が強いようです。

****与党報道官がコロナ失言で辞任 「大邱など封鎖」で市民激怒=韓国****
新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、韓国与党「共に民主党」の洪翼杓(ホン・イクピョ)首席報道官は26日、感染者が急増している南東部の大邱市と慶尚北道に対し「最大限の封鎖措置を実施」すると発言をしたことを謝罪し、辞任した。

洪氏は記者団にメッセージを送り、「大邱市と慶尚北道の住民を傷つけ、国民の不安も緩和できなかった」として、「責任を取って辞任する」と表明した。

洪氏は25日の記者会見で、同日開催された新型コロナウイルスの対策に関する政府与党協議について「大邱市と慶尚北道を感染症特別管理地域に指定して、通常の遮断措置を超える最大限の封鎖措置を実施し、拡大を早期に遮断することにした」と伝えた。

だが、同地域の住民を中心に不適切な発言との批判が続出。同党は「最大限の封鎖措置を実施するという意味は防疫網を細かくし、新型コロナウイルスの拡大と地域社会への感染を遮断するための措置で、地域への出入り自体を封鎖する意味ではなかった」と釈明した。【2月26日 ソウル聯合ニュース】
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このあたりが強権的手法がまかりとおる中国と、(その合理性・正当性はともかく)住民の意向が尊重される韓国の政治体制の違いではありますが、今回のような危機管理においては、中国のようなシステムの方が有効に機能する面でもあります。

素人考えでは、ホットスポットとなっている大邱とその他地域を遮断しないと、韓国全体がホットスポットと化す危険があるように思えるのですが・・・。特に、1日に数百人の感染者が出る状況では、“大ナタ”をふるう必要があるようにも。

【感染者数急増の背景に検査態勢拡充も】
もちろん韓国も対応に最大限の努力を行っています。
昨日ブログでも紹介した、教会ミサ中止。

****韓国のカトリック教会 全てのミサを中止=新型コロナ対策で****
韓国のカトリック教会が、国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、信者が参加するミサを中止したことが26日、分かった。このようなミサの中止は韓国カトリック教会の236年の歴史で初めて。

韓国天主教(カトリック)主教会議によると、16の教区のうちソウル大教区など14の教区が25日までに一定期間のミサ中止に踏み切った。残る2教区も26日にミサ中止を決定した。【2月26日 ソウル聯合ニュース】
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検査を希望する者でも重篤症状がなければ検査を受けられないことが問題となっている日本に比べて、韓国の検査体制は数歩先を行っているようにも。

****韓国で「ドライブスルー検査」 新たに334人感染****
新型コロナウイルスが猛威をふるう中国では、新たにスーパーマーケットの混雑緩和を指示するなど、ウイルス対策の徹底が進められている。

一方、感染が急速に拡大している韓国で始まったのは、屋外で車に乗ったまま検体を採取する「ドライブスルー検査」。

ソウル郊外の診療所では、屋外に設けられたスペースに車が入ってくると、防護服を着た医療スタッフが運転手の問診を行い、発熱やせきなどの症状を確認する。

症状があった場合、車に乗ったまま、ウイルス検査のための検体を採取する。

室内に入らないため、患者の出入りにともなう消毒を行う必要がなく、待合室や診察室での感染を防ぐ効果も期待されている。

韓国では27日、新たに334人の感染が確認され、感染者は1,595人、死者は13人にのぼっている。【2月27日 FNN PRIME】
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一方、日本では加藤勝信厚生労働相は26日、国立感染症研究所や地方衛生研究所、民間への委託を合わせて最大で1日約3800件が可能と説明していたPCR検査について18~24日の実施件数は1日平均約900件と想定を大幅に下回っていることを明らかにしました。

****ウイルス検査依頼も拒否される事例 日本医師会が調査へ****
新型コロナウイルスをめぐり日本医師会は、医師が保健所にウイルス検査を依頼しても、対応を断られるケースが報告されているとして、全国の実態を調査し、政府と連携して改善に取り組む方針を示しました。

日本医師会の横倉会長らは26日の記者会見で、新型コロナウイルスの検査について、医師が感染が疑われるとして保健所に依頼をしても、人手不足などを理由に対応を断られるケースが報告されていることを明らかにしました。

そのうえで、医師会として全国の実態を調査し、政府とも情報を共有するなど連携し、改善に取り組む方針を示しました。(後略)【2月26日 NHK】
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もっと検査件数を増やすと、日本の感染者数は更に膨らむのかも。

こうした事情もあって、日本ではオリンピック開催への影響、医療崩壊防止などの観点から、意図的に感染者の発覚を小さい数字にとどめようとする「工作」が行われているのでは・・・といった疑念も。

限りある医療資源の分配について日本の重篤化防止優先の対応を是としつつも、“筆者は安倍政権と専門家会議がぐるになってPCR検査を怠っているという陰謀論には与しません。それこそパニックを引き起こすインフォデミックに他なりません。 
しかし陰謀論の根っこには森友・加計・桜を見る会問題など安倍政権の隠蔽・忖度体質があります。安倍政権は科学者主導の体制を構築して、もっともっと透明性を高めていかなければ新型コロナウイルスと闘うことはできないでしょう。”【2月27日 木村正人氏 YAHOO!ニュース「新型肺炎「日本は五輪のため感染者を少なく見せようとしている」PCR検査を巡る陰謀論に与するな」】との指摘も。

そうしたなかで、ようやく日本政府が動いたのが、学校の一斉休校措置。

ただ、先ほどのTVニュースを観ていて「なるほどね・・・」と思ったのは、学校を休校にすると子供の世話をしないといけないため、子供を抱えた看護師の多くが医療現場に出られなくなる、結果、医療体制が回らなくなる・・・といった問題もあるようです。

政府も共働き世帯のことを考慮してはいますが、現実を見据えた対応が必要とされます。

****保育所は一斉休園要請せず 働く親に考慮、厚労省****
新型コロナウイルスの感染拡大で政府が全国の小中学校、高校に臨時休校を要請すると表明したことに対し、厚生労働省は27日、保育所は一斉臨時休園の要請対象ではないと明らかにした。保育所は共働き世帯が多く利用しているため、保護者の就労状況を考慮した。(後略)【2月27日 共同】
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【日本 「安倍首相はどこに」との指摘も】
話を韓国に戻すと、感染者の増加に伴って、文在寅大統領の周辺にも・・・。

(25日、韓国・大邱で開かれた新型コロナウイルスの対策会議に出席する文在寅大統領(中央)【2月26日 共同】)

****文大統領も隔離対象に?出席の会議に新型コロナ感染者の接触者****
2020年2月26日、韓国・ニューシスは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席して開かれた大邱市の新型コロナウイルス特別対策会議に、感染者の接触者が出席していたことが分かったと伝えた。 

記事によると、25日に開かれた会議には、文大統領のほか、ユ・ウネ社会副総理兼教育部長官、クォン・ヨンジン大邱市長、イ・スンホ経済副市長などが出席。このうち、イ副市長の秘書がこの日、新型コロナウイルスの感染が確定したという。 

記事は「この秘書は同会議には参加していなかったが、患者の職務が秘書であるため、イ副市長と濃厚な接触があった可能性が高い」と指摘。「万一、会議の参加者を全て隔離しなければならないとなると、大統領はもちろんユ副総理、クォン大邱市長など、防疫責任者および決定権者全員が対象となる」と伝えている。(後略)【2月26日 レコードチャイナ】
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文在寅大統領の指導力への批判も多々ありますが、もともと大統領支持勢力と反大統領勢力が激しくやり合っている韓国社会ですから、批判があるのは、ある意味当然のことでしょう。

一方、日本では安倍首相の存在感が、この問題で薄い・・・という指摘も。

****「安倍首相はどこに」、新型肺炎対策で指導力に批判****
「安倍首相はどこにいる」――。日本が新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めに必死になる中、こうした批判の声が上がっている。

歴代最長の在任期間になった安倍晋三首相が、新型ウイルス対応策の代表者として陣頭指揮を執っておらず、その任務を部下の加藤勝信厚生労働相にほぼ丸投げしているという批判だ。

安倍氏のリーダーシップを巡る疑念は、既に支持率の低下につながっている。新聞報道によると、不支持率は支持率を上回った。これは2018年7月以来のことだ。(中略)

「リーダーシップはどこへ行った」と疑問を投げ掛けるのは、日本政治の専門家であるジェラルド・カーティス・米コロンビア大名誉教授だ。

「この期に及んでもまともに顔を出さず、国民に語り掛けず、人々を動員しようとしていない。この状態が長引けば長引くほど、彼の信頼は傷つくだろう」──。(中略)

12年12月に首相に返り咲いて以来、安倍氏はいくつもの難局を乗り切ってきた。

ツイッターには「国民の不安は日に日に募っているのに、彼(安倍氏)はまともな記者会見も開いていない」といった声。「要するに、頻繁に顔を出せば悪いイメージだけが残るから、そうならないように顔出しを最小限に抑えているわけだ」といった内容も。

<現実逃避>
英国船籍のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での新型ウイルス感染拡大への対処を巡り、日本は厳しい批判にさらされた。

国内感染者が増え、死者も出るにつれ、懸念はさらに高まっている。

政府は25日、国内でのさらなる感染拡大に備えた基本方針を発表した。安倍首相は新型コロナウイルス感染症対策本部会合で「今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期だ」などとする文書をさっさと読み上げると、記者への説明は加藤厚労相に任せた。(中略)

基本方針には、時差出勤やテレワーク、イベント開催の慎重な検討などの措置が盛り込まれた。

「彼(安倍氏)は現実に目をそむけているのだろう」と語るのは、上智大学の政治学の教授、中野晃一氏。「本当には信じていない最も楽観的なシナリオを、彼らは信じようとしている」と指摘した。

<経済に打撃か>
(中略)専門家らは、日本での感染拡大スピードを抑える上で、今後数週間が重要な時期だとしている。抑えられなかった場合、患者の数が急増して医療態勢が追い付かなくなり、経済に打撃が及びかねない。

日本の19年10−12月期の国内総生産(GDP)は昨年10月の消費税増税が響いてマイナス成長となり、年率換算の減少幅は約6年ぶりの大きさだった。新型ウイルスが経済活動に冷水を浴びせることで、景気後退のリスクも持ち上がっている。

中野教授は「経済が急減に悪化し、そこにオリンピックによる追い風も吹かなければ、悲惨なことになる」と述べた。【2月27日 ロイター】
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安倍首相への支持・不支持は別にして、最近TVで観る首相はなんだか覇気がないようにも。
また体調がすぐれないのでしょうか。

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