路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【安倍政権】:菅官房長官「すご腕」に見えるほころび

2019-12-03 00:14:20 | 【政策・閣議決定・骨太方針・国の基金・愚策、マイナカード・2025大阪万博他】

【安倍政権】:菅官房長官「すご腕」に見えるほころび

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍政権】:菅官房長官「すご腕」に見えるほころび 

 9月に行われた内閣改造・自民党役員人事を経て、同党内に「ポスト安倍」をにらんだ権力闘争の銅鑼(どら)の音が高らかに響き渡った。2021年9月の自民党総裁選に向け、激しい争いが始まった。【編集編成局編集委員・中川佳昭】

台風第19号について(3)

 
 今回の改造劇では、小泉進次郎氏の環境相就任を強く推し、自らに近い無派閥議員を経済産業相(菅原一秀氏)、法相(河井克行氏)などの要職に押し込んだ菅義偉官房長官の「すご腕」が目を引いた。

 安倍晋三首相が交代を検討していた二階俊博幹事長の続投を強く求め、二階氏に恩を売った。二階氏は80歳、就任3年を迎え、強引な手法による自派閥の拡大には岸田派、麻生派、細田派などの党内各派から強い反発が寄せられていた。

 そんな中で「進次郎氏を事実上自分の派閥のシンボルマークにし、二階氏を用心棒にした」(自民党幹部)菅氏の権力が確立したかのように見える。

 しかし、あまりの満額回答にはどこかほころびが出ようと言うもの。目を凝らしてみると、「権力の促成栽培」の危うさが見える。

 まず次期総裁有力候補の岸田文雄自民党政調会長を「潰そう」とする動きが露骨すぎたことだ。岸田氏は今回の人事で幹事長就任への強い意欲を示していたし、安倍首相も二階交代→岸田新幹事長を検討していた時期がある。

 しかし、菅氏は「岸田幹事長」を強く拒絶した。岸田氏がこの時点で幹事長に就けば、ポスト安倍は事実上、岸田氏で固まると言ってよい。ワンポイントリリーフでの自らの政権担当、あるいは小泉進次郎首相という名のもとの「菅政権」を目指しているとみられる菅氏にとっては、「安倍→岸田」への禅譲の流れだけは何としても阻止したいのだ。

 これは菅氏の岸田氏へのあいくち(短刀)というより、安倍首相に向けられたものと言っていいだろう。

 ◇「つくしの坊や」

 こうした中、菅氏はある人物に援軍を申し出る。本来、岸田氏の後見人であるはずの岸田派(宏池会)名誉会長・古賀誠氏だ。

 古賀氏は後輩の岸田氏のことが好きになれないらしく、8月20日のBSフジの番組で「(岸田氏は)『ポスト安倍』であることは間違いないが、修羅場や政治センスという意味で一苦労、二苦労してもいい。いくら禅譲と言っても『つくしの坊や』じゃないが、ポキッと折れたら何もない」と酷評した。そのうえで菅氏については「私と同じ土の匂いがする。政権を担ってもらいたい」と最大限持ち上げた。

 岸田氏には総裁候補の資格なしと天下に触れ回ったようなもの。古賀氏の「つくしの坊や」発言を聞いた岸田氏は怒りをあらわにしたという。

 派閥会長が天下盗(と)りに臨もうとしている時に、名誉会長が後ろから袈裟懸(けさが)けに切りつける。よく言えばすごみがあるが、悪く言えば覇道である。

 古賀氏という政治家は、故野中広務元自民党幹事長に愛され、野中氏の後任の幹事長にもなった。かつて野中氏と交友のあった公明党の古老がこう言ったことがある。

「京都の『野』の字(野中氏のこと)は古賀誠のことをほんとうに信用して買っているが、私にはどうしても古賀のことをそう思えない。古賀は人の背後に回って柱の陰から狙撃するようなところがある」

 古賀氏の側に立って考えると、自分を政界の実力者に取り立ててくれた野中氏を首相にできなかった悔恨があるのかもしれない。小泉純一郎元首相が地滑り的勝利を収めた01年自民党総裁選には結局出馬できなかったが、この総裁選のもう1人の主役は「土の匂い」のする野中氏だった。あれから20年近くたち、今は亡き野中氏に代わって、菅氏を天下人に押し立てたい――。01年総裁選の勝者であり、野中氏の天敵だった小泉純一郎元首相の息子である進次郎氏は、今や菅氏の軍門に降っている。

 「土の匂い」と言えば、言葉はよいが、手段を選ばないどう猛さが通奏低音になっているのも事実だ。一種の派内クーデターに近い古賀氏との提携は菅氏にとってマイナスが多いのではなかろうか。

 古賀氏は9月28日に「憲法九条は世界遺産」と題する自著を出版した。

 一読すると「戦争未亡人を再び生み出さないための平和国家の創造」「少しでも9条改正につながるようなことは針の穴程度でもやってはダメ。憲法9条は一切改正してはダメだ」と強調している。世の中で共感する声は多いと思うが、時節柄、額面通り受け取られず、権力闘争のツールになってしまうのではないか。近ごろ、安倍首相の改憲姿勢に同調している岸田氏との溝はますます深まっていくだろう。

 9月21日、岸田氏は訪問先のシンガポールで記者団に、「党を挙げて憲法改正を動かしていきたい」と語った。9条への自衛権明記など4項目の改憲案の実現を目指す意向を鮮明にしたといえる。

 こうなると岸田派46人は岸田支持30、古賀支持15~16程度に割れるのは必至だ。もはや岸田、古賀両氏の関係修復は無理と見た方がよい。岸田氏の天下盗りの選択肢は、麻生派、谷垣グループとの合流による「大宏池会」構想を実現させ、その代表選手として安倍首相の支持を得ることしかありえない。

 古賀氏が菅氏の陣営に参入した場合、古賀氏が憲法改正にノーの立場を貫けば、菅氏と首相の間もぎくしゃくしかねない。菅氏の権力が意外と脆弱(ぜいじゃく)なのはこのあたりにある。

 ◇二階氏の焦り

 さて、菅氏との二人三脚を強める二階氏はどうか。

 二階氏は9月27日BSテレ東番組で、安倍首相の総裁選連続4選が有力との見方を強調した。「今の展望は『安倍さんの後は安倍さん』という状況だ。おのずとそういう声が出てくる」と語った。

 二階氏は総裁3選の党則改正を主導し、安倍3選の原動力となっただけに、「4選」主張に対し、またさらなる二階マジックかとの声が出て来よう。

 しかし、当の首相は二階氏の4選論に冷淡だと思われる。

 首相の胸中は「11月には在任期間は桂太郎を抜き1位になる。佐藤栄作、吉田茂らも抜いた。東京五輪が終わっても首相の座にいても意味はない。憲法改正に道筋をつけて、余力を持って退陣し、院政を敷きたい。実際憲法改正にあたるのは岸田さんでいい」というところではないだろうか。

 首相の胸中には同じ長州の大先輩宰相である山県有朋らの生き様があるのだろう。首相退任後も長く、現役首相への影響力(寺内正毅、原敬ら)を保持した山県らに対し、安倍氏に抜かれるまで戦後最長の7年8カ月、首相を務めた佐藤栄作は、無理に無理を重ねた結果、首相退任からわずか3年でこの世を去った。政界への影響力も薄れ、「過去の人」になるのは超スピードだった。安倍首相はこの大叔父宰相の轍(てつ)は踏みたくないはずだ。二階氏はこのあたりの透視力が失われていると思われる。

 今年80歳の二階氏は明らかに焦りがある。今回の人事でも幹事長の椅子を絶対手放そうとしなかった。副総裁への横滑りを頑としてはねつけた。二階サイドの本音はこうだ。「幹事長から外れたら権力から取り残されてしまう」

 無理もない面はある。二階氏が若き日に所属した田中派、竹下派から出た副総裁の末路が凄惨(せいさん)なものだったからだ。

 1人は二階堂進氏。田中角栄元首相の名代として田中派会長と自民党幹事長を長く務めた後、副総裁となったが、竹下登元首相、金丸信元副総理のコンビによって権力の中枢から外された。金丸氏は幹事長、副総理を務め、竹下派会長兼副総裁となったが、東京佐川事件で失脚、逮捕・起訴の憂き目にあっている。

 しかし、二階氏ほどの「自民党随一の政治技術を持った政治家」(安倍首相)が故事を気にする必要はない。今回副総裁になり、岸田氏に幹事長を譲っていれば、岸田氏に恩を売り、ポスト安倍政局で二階氏は隠然たる力を発揮できたのだが……。尾羽うち枯らすどころか、門前市を成す状況が生まれただろう。 

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 政治 【政局・安倍政権】  2019年10月14日  16:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 


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