Friendshipは船と港 ~藤田くらら 小6でTOEIC980点までの軌跡~

小学6年でTOEIC980点を取った女の子のお話。中学1年での、学校体育時の事故が原因で「脳脊髄液減少症」を発症。寝たきりから「復活」の兆しが…

手の隙間から流れ落ちる「希望の高校」~ 学校が決まるまでの葛藤と諦念の忘備録 ⑪

今日から昨年に戻り「学校が決まるまで」の続きです。現在と過去が交錯するようで実に不思議な心境です。

(高校受験に関してはブログでは学校名を出してリアルタイムでは書いていません。葺合高校の時もそうでしたが、当然のことながら「〇〇高校を目指します!」などと全国に公表することになれば娘にものすごいプレッシャーを与えること必至であるので、一貫して水面下で動いていました)

 

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4日がかりの「決死の学校見学」を終え、娘は立命館宇治高校IBコースの温かい外国人の先生方の人柄や整然として乱れの乱れない学校生活や生徒たちに安心感を覚え、「ここに行きたい!」という確固たる希望を事故以来初めて持ちました。 

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この時まで娘は、1年の2月末に他の生徒の危険行為により腰に大きなあざを作るほどの転倒落下をし、それから1年半を、周りから謝罪もなく打ち捨てられ多くの諦めとともに生きてきました。

学校生活、部活、友達関係、初めての学習塾通い、長田高校、葺合高校、ブリスベンへの神戸市中学生代表留学、淡路島への研修旅行、3年の修学旅行、高円宮杯スピーチコンテスト、神戸市学校対抗スピーチコンテストetc.

 

そして、そんな失意の中で訪問学級を受けて間もなく、やっと希望の灯を見つけたのです。

希望は人に生きる力与えます。娘のぼんやりしていた顔つきがはっとするほど変わりました。

そして特別支援学校の先生方にもご協力を頂いて、この娘の心にやっと灯った小さな灯を消さないように皆で娘がなんとかこの学校の受験ができるまで支えていこうという暗黙の了解のようなものがありました。

 

 

さらさらと手の隙間から流れ落ちる希望

しかし、本格的な梅雨の始まりとともに、娘の体調は悪化の一途をたどり、週2回の訪問学級の2時間でさえも受けることが困難な時もありました。 このころの娘の体調は下の記事の中に記述があります。

 

(6月16日の記事から抜粋)

梅雨に入り一週間ほど経った。ブラッドパッチをした脳脊髄液減少症患者にとって、梅雨の季節と台風の来る夏からは秋は鬼門となる・・・・

頭痛の復活、起床できないほどの倦怠感、胃腸症状、霧がかかったような思考、そして娘の場合は「睡魔」がこれに輪をかける。

・・・・・・・・・・・・

一昨日の大荒れの天候で、娘は昨日一日、昏睡のような睡眠状態を続け、起きられたのは午後の6時過ぎであった。
5時半から、ある治療の予約があったため、必死で起こそうとしたがだめであった。
結局その約束を果たすことができず、不義理をしてしまい、周りにも多大な迷惑をかけてしまい、自己嫌悪に陥ることになってしまった。娘本人はしんどすぎて、それどころではなかったので、保護者である「私が」、である。

 

立命館宇治高校IBコースに希望の灯を見て10日ほどでしたが、爆弾低気圧をくらいこの体調となっていました。今と違い、この時は髄液漏れが進行し、意思や希望の力ではどうしようもない程、娘の病状はOUT OF CONTROL(制御不能)で、だめなときは本当にどうしようもありませんでした。

 

とはいっても、 1年まったく活字に触れず、学習というものから完全に離れていた娘です。それまでの誰からも見捨てられた棄民生徒のような日々に比べれば、先生が笑顔で自分の前に座っていてくれるだけで天国にいるような気持ちで、身体に鞭打ちながら訪問授業を受けていたのです。

そして、なんとか少しずつでも志望校の受験の入り口にたどり着こうと必死だったと思います。 

しかし、諦めの時はやってきました。 

 

夏休みが終わるころの悲しみの中で書いた記事です。

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下に記事本文を抜き出しました。色にした部分ですが、ここは娘が立命館宇治高校IBコースに向けて頑張ろうとしてもついてこない身体に絶望感を抱いていたことを書いています。

 

娘の過眠はまだ続いており、特に、梅雨に台風という最悪の気圧配置の中に入ってしまうと、覿面に体調が悪化する。

相変わらず過眠は続き、目覚めても脳が覚醒するためにかかる時間と労力が明らかに普通の人間とは違っている。

 

どう贔屓目に見ても「異常」であるのだ。毎日接している人間が毎日そう感じるのであるから、普通の人が、一日でも子供がこんな状態を見せたら、驚いて医者に駆け込むことだろう。

完全な睡眠障害であって、学校に行けないほどおかしいのに、検査や入院もさせてもらえず、1年間放置されてきた。

 

睡眠障害なんて、血液検査に異常がでるわけでもないが、病院では、異常値がないと何の治療も行ってくれない。

もはや、「脳脊髄液減少症の症状の一つなのでどうしようもない」とは言ってはおられず(おそらくそうであるのだろう)、これはもう神経内科の睡眠障害専門の外来の門戸を叩くべき時が来たと感じている。

 

また、摂食障害に近い体重の減少と食欲のなさも、どう考えても普通ではない。きちんとした食事は1日1食しか摂れない日が続く。これも、血液検査で異常がないから対処はしてもらえなかった。

 

こんな時に、どこに行けと言われるのかと言えば「精神科」である。確かに、心が壊れて鬱病まがいになっていた時期もあるので、あながち的外れではないのかもしれないとは思うのだが。

 

最近気になる事があった。

娘は最近、夜中にふと起きることがあるらしく、「起きて何してるの?」と聞いたら、「何か食べるか、泣いている」と返ってきた。

 

普段、横になって音楽を聴いて鼻歌を歌っていたりするので、「高校に行けなくなるかもしれない」なんて、まだ微塵も思ってはいないように見えていた。これだけ学校生活から離れ、起きていられず寝てばかりで、勉強も遅れに遅れている状態でも、自分が高校生になるものだと疑っていないようなのだ。

 

一種の現実逃避により、自分の心を守っているのか?

 

でも、夜中に泣いている時には、ひょっとしたら、確かに自分の両手の中に掴んでいた確固たる未来像が、砂のようにさらさらと手の隙間から流れ落ちて、はっとして手を開いてみたら、そこにはもう何も残っていない、という悲しい予感が、徐々に忍び寄る現実に取って代わられる日が近づいていることをひしひしと感じているのかもしれない。

 

最後まで希望を持つことは、今のやりきれないこの日常から目をそらし、また、未来から苦境を生き抜くためのエネルギーを授けらるということでもあるのは確かである。

 

しかし、いつかは、自分の思うようには機能してくれなくなった「脳と身体」と折り合いをつけて、自分の夢とは違う方向に一歩を踏み出す新しい勇気が必要となることもありえる。

 

この呪わしい身体から解き放たれて、天使のような羽が生えた軽やかな心で時空を超えて、かつて自分の属していた仲間のもとや社会に戻れたらどんなにいいだろう。

 

そんな期待は儚い夢である。

 

人間である限り、置きざりにしては先に進んでゆけぬ肉体を持て余しながらも、それらと折り合いをつけて、少しの幸福感と大きな悲しみの色に染められた中学校生活と、その先にあるはずであった高校生としての当たり前の生活に決別する日が来た時、勇気を持って臨めるための力をどうか我々に与えて欲しい。

 

  

体調が全く改善せず、娘の心は悲鳴を上げてしまいました…

 

この時は、「もうだめかもしれない」という予感が、この時から徐々に現実として諦めの境地に至ることになります。

 

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そして、夏休みは何もしないままに終わってしまった

 更に輪をかけて、特別支援学校が夏休みに入り、それでも7月中はご厚意でなんとか足を運んでいただいたのですが、夏休みに入ってから、引き継ぐはずの原籍校の校長が約束を守ってくれず、勉強のサポートを受けられず放置されてしまうことになりました。 

 

このことを書いた記事、本当は、「嘘つき校長」というタイトルにしたいぐらいでした。 

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こうして、中学3年生の娘にとって大事な大事な夏休みは、原籍校の先生もついに来ることもなく、体調悪化と、それまでなんとかしがみついていた学習の支えをなくした落胆もあり、過眠はますます酷くなって受験に向けての勉強はほとんど何もできず終わりました。

 

8月末からはおばあちゃんの看取りのために京都市のホスピスの家族室に泊まり込み、昏睡のおばあちゃんと同じ空間で同じような深い眠りの中で過ごします。

昼も夜もこんな様子で、昏睡下のおばあちゃんに見守られて眠り続けていました。

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この5日後に母は逝去します。この部屋で約2週間、24時間を一緒に過ごし、 「おばあちゃんの最期を絶対に見届けてお別れをする!」と言っていた娘でしたが、静かだった母の呼吸が激しくなった明け方、いくら大声で呼んでも目が覚めませんでした。

娘の病魔は、こんなに傍にいたのに、自分を可愛がってくれたおばあちゃんに最後のお別れを言う機会を娘に与えてくれなかったのです…

 

この時期だけは、私も娘も「高校進学」の問題から心は離れていたかもしれません。

 

 

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