今回は2020年に東証1部昇格を発表した銘柄の値動きを調べてみました。
とはいうものの、今年はみなさんご存じのように2月、3月に暴落がありましたし、その後、4月以降の暴騰もありました。
なので、まともな相場環境ではないですが、逆にまともじゃない相場で東証1部昇格が発表されるとどうなるかを見てみても面白いかもしれません。
この一覧のなかから5月末までに東証2部、マザーズから東証1部へ昇格した銘柄を見てみます。
発表時点で東証1部か東証2部になるかが決まっていない銘柄は除きました。
わかりやすいように、東証1部への変更が発表された翌営業日の株価を赤丸で囲ってあります。
また、翌営業日の終値、またTOPIX買いが期待できる変更日(指定日)の翌月末の株価を昇格発表前と比較しています。
東証1部昇格後の株価の動き
1/20にマザーズから東証一部への変更を発表。変更日は1/27。
1/20の終値は2890円。
翌1/21には、始値2961円、高値は2980円をつけるものの、終値は2874円と前日とほぼ変わらず。
その後は下降トレンド。
翌営業日株価 -0.5%
翌月末株価 -31.3%
2/7にマザーズから東証1部への変更を発表。変更日は2/14。
2/7の終値は2042円。
翌営業日、2/10の始値は2177円だが、それがその日の最高値。
終値は2123円(前日比3.9%高)。
その後、下降トレンド。
2/12日には会長が持ち株を売っていた。
翌営業日株価 3.9%
翌月末株価 -49.5%
2/21金曜日にマザーズから東証一部への変更を発表。変更日は2/28。
2/21の終値は958円。
翌営業日の2/25は956円で始まり、その後、1023円(前日比6.7%高)の高値をつけるも、終値は992円。
長い上ひげをつける。
翌営業日株価 3.5%
翌月末株価 -7%
2/6に東証2部、名証2部から東証1部、名証1部への変更を発表。指定日は2/27。
2/6の終値は1890円。
翌営業日2/7の始値1816円、高値は1914円をつけるものの、終値は1795円と前日比5%安。
地合いもあり、その後は暴落。
翌営業日株価 -5%
翌月末株価 -29.2%
2/14に東証2部から1部への東証1部への変更を発表。変更日は3/5。
それと同時に1株あたり3円の記念配当も発表。
2/14の終値は1361円。
翌営業日の2/17は始値1600円、高値は1661円、終値は1648円(前日比21%高)。
翌営業日株価 21%
翌月末株価(変更日の翌月) 62.3%
2/21に東証2部から東証1部への変更を発表。指定日は3/13。
2/21の終値は1345円。
翌営業日2/25の始値は1300円、高値1588円、安値1269円、終値1417円と乱高下。
長い上ひげをつける。
※この2/25はコロナショックによる暴落が始まった日。
その後は地合いもあってか暴落。
ただし、指定日の3/13に底打ち、その後は上昇トレンド。
翌営業日株価 5.3%
翌月末株価 -5%
3/3に東証2部から東証1部への変更を発表。指定日は3/24。
3/3の終値は466円。
翌営業日は始値498円。そのまま上がり続け546円で引けた。
翌営業日株価 17%
翌月末株価 19%
3/27にマザーズから東証1部への変更を発表。変更日は4/3。
3/27の終値は973円
翌営業日3/30は始値1003円、高値1123円、結局1123円が終値に。
翌営業日株価 15%
翌月末株価 39.7%
4/10にマザーズから東証1部への変更を発表。変更日は4/27。
同時に立会外分売も発表。
4/10の終値は1580円。
翌営業日、4/13の始値は1820円、高値1860円、安値1711円と乱高下し、終値は1808円(前日比14%高)。
その後は4/22まで下降トレンドを続けるものの、翌月末に向けて上昇。
翌営業日株価 14.4%
翌月末株価 13%
4/17に東証2部から東証1部への変更を発表。指定日は4/24。
4/17の終値は820円。
翌営業日4/20の始値は954円と窓を開けて始める。終値は970円。
翌営業日株価 18.2%
翌月末株価 93.6%
4/21にマザーズから東証1部への変更を発表。変更日は4/28。
4/21の終値は3630円。
翌営業日4/22の始値は3700円。終値は3950円。
その後、1か月の株価推移は堅調そのもの。
翌営業日株価 8.8%
翌月末株価 44.3%
東証1部昇格発表翌営業日の株価の統計
※5%の記載は0%から5%以下の株価上昇ということです。
昇格発表の翌営業日の株価がマイナスだったのはシルバーライフと東海ソフトだけでした。
これは当日の相場全体が暴落していたのかと思ったんですが、調べてみるとどちらとも当日の相場は小動きでした。
東海ソフトは昇格発表と同時に増資も発表しているので、株価が下がった理由はおそらくそれです。
シルバーライフはどういう理由だろうと疑問に思ったんですが、昇格発表のIRを読んでみると、今期の通期計画の進捗が遅れていることが触れられていました。
というわけで、1部昇格と同時になんらかの悪材料が発表されていない場合は、翌営業日の株価はすべてプラスでした。
平均で9.2%の株価上昇です。
今年のような荒れた相場でも、昇格発表の翌営業日は株価上昇がほぼ確実に見込めるみたいです。
一つ例をとると、カワニシが昇格発表した翌営業日の2月25日。
この日の日経平均は前日比781円安。この日からコロナショックの暴落が始まります。
一方、カワニシの株価は前日比プラス5.3%。
ただし、おそろしく長い上ひげをつけてはいますが笑。
ここらへんは先行きに不安を感じている市場心理が見て取れます。
また、 全11社のうち10%以上の値上がりを見せたのは5社ありました。
東証1部昇格発表翌月末の株価の統計
50%以上の上昇を見せた銘柄が2つ(日本リーテック、リテパ)ありますが、マイナス49.5%のアンファクもあります。
プラスだったのが6社。マイナスだったのが5社。
翌月末の株価はさすがに相場状況次第ってところでしょうか。
アンファクとか東海ソフトみたいに変更日の翌月末が3月末に当たる会社は下落率が激しいですし。
一方、変更日の翌月が4月や5月にあたる会社はおおむねプラスになっています。
たとえばリテールパートナーズは出遅れスーパー銘柄ということで、上昇トレンドに乗り始めていたときに昇格発表だったので、そのまま勢いが加速した印象でした。
結局、リテールパートナーズは93.6%高ということで全銘柄中トップの上昇。
11銘柄の平均上昇率をとってみると、13.6%のプラスでした。
とはいっても、「変更日の翌月」が暴落真っただ中の2月、3月だったのが、11社中4社しかないので、あまり参考にはならないと思われます。