最近「読んだ論文の批評でも載せてみたら?」とご助言いただき、そんなこともやってみようかと思います。基本脊椎関連を読みますが、臨床研究系のお役立ち論文なども紹介してまいりましょう。今回は5月にSpineに載ったカナダのヘルスリサーチ系の教室からの質的研究です。

Discrepancies Between Patient and Surgeon Expectations of Surgery for Sciatica: A Challenge for Informed Decision Making?

腰椎手術をしても約4割近い人が残存症状に悩まされ、治療に満足しない人が少なくない。たぶんそれは術者と患者の認識に違いがあるせいだ、という重要なテーマを質的に検証しています。具体的には術者6人とその患者12人を簡易サンプリング(適当に連れてくる?)し、帰納的内容分析と半構造化インタビューを行っている。質的研究の手法はバチっと分類・定義されていないためそもそも難解なのですが、ナナメ読みした感じは

集団面接
4テーマ(期待、不安、知りたいこと、疾患/手術の理解)について自由に発言
録音したものを研究者たちで整理分析(コード化)
術者と患者それぞれ各テーマにおける認識の違いを記述

というもの。簡易サンプリングでいいのか?やったのは本当に帰納的内容分析なのか?など気になる点はありますが、得られた結果の要旨

「術者と患者の認識には差がある」
「その差を埋めようと患者は別の情報源を探す」
「口頭の説明だけでは理解できないので文章が欲しい」


などの背筋が伸びる結果が示されています。感想はぶっちゃけ「Spineに質的研究載るんだ」「十数人に集団面接したデータで、頑張ってそれっぽい手順を踏めば何とかできるんだ(やろうとは思わないけど)」でした。