ポトマック河畔、対岸にワシントンDCを見るホテルに入った。

ここバージニア州は雨だが、空気の清浄さをものがたっているようで、好ましい。

arlington hotel

いやぁここまで長かった(と溜息をつき、番茶をひとすすり)。


バングラデシュでは、「祖国を新型コロナウイルスから解放するための祈祷」が警察の許可なく行われ、1万人(主催者発表は2万5000人)のムスリムが参加した。

★写真を拡大すると気分が悪くなる場合があります
prayer session

全土の学校が閉鎖され、感染拡大を防ぐため10人以上の集会を控えるよう政府が要請するなかでの出来事である。

ここにいたらほんとにヤバイ。

すぐに脱出したかったし、妻の勤務先も多くの職員をアメリカに帰す手はずを整え始めていたが、ことはそう簡単ではなかった。

国際便がどんどんキャンセルされ、飛行機がとりにくい。

私たちは西回り(ドバイ経由のエミレーツ航空)が取れる寸前まで行ったが、わずかなタイミングの遅れでOUT。

どこ回りでもいいし過酷な乗り継ぎも大喜びで我慢するから飛行機たのむー

と思っていたら東回り(シンガポール航空+ユナイテッド航空)がとれた。乗り継ぎがシンガポールとサンフランシスコの2回あり、全行程31時間。

すばらしい!


急いで荷造りを始めたところで不幸な知らせが。

その日の夜に空港が閉鎖されるという。先進国であれば、まず予告ありきで猶予期間がもうけられるところ、抜き打ちにやる乱暴さが途上国のおそろしさ。

閉鎖は到着便が対象だというが、私たちが乗ることになるシンガポール航空機が着陸できなければOUT。

そのあたりの実情は空港へ行ってみなければわからないため、とにかく出発した。

ちなみに空港の閉鎖には例外があり、イギリス・中国・タイなど4か国からの到着便は受け入れるとのことで、現在感染大爆発中と伝えられるタイから入国可というのはいかなる理由によるものかと驚き、そういう空港に足を運ぶのは気が重かった。


ダッカ空港は思ったより閑散としており、ただちに感染を心配するような状況ではなかったが、出国手続がとんでもなく妙ちきりんだった。

私のパスポートを受け取った係官は、しばらく目を通したあとこう言った。

「あなたはMAYUMIさんですか?」

「へ?私はMAYUMIではなくTAROU(仮名)です」

「いいや、あなたはマユミだ」

「いえいえ私はタロウです。T-A-R-O-U、タロウ。パスポートにそう書いてありませんか?」

「うーむ... ゴニョゴニョ」

何を言っているのかわからない。

上記の会話を最初からもう一度繰り返したところで、ふだん官憲の前ではおとなしい私の頭にもだんだん血がのぼってきた。

「あのね、日本には確かにマユミという名前がありますが、それは女の子の名前。私は男の子。で、MAYUMIというその名は私のパスポートのどこに書いてあるのですか?」

あんまり突っ込んでケンカを売っているようなかっこうになるのは避けたかったが、なぜ私がMAYUMIさんなのか、当方に理解できる説明をしない係官へのイライラが募っていた。

あかんあかん、ここでトラブって別室に連れていかれるようなことがあれば、必死の脱出行がおじゃんに...

とビビっていたら、係官のなかでようやく何かの合点がいったらしく「オーケー、よいご旅行を」といいながらパスポートを返してくれた。

なぜマユミだったのか、最後まで疑問は解けないまま、私たちは出発ゲートに向かった。


今回の旅行は、席のアップグレードしまくりになった。

役所が手配してくれたチケットはすべてエコノミー。米国東海岸までの道のりは果てしなく遠いうえ、私たちはそこまでの3~4日間かなり睡眠不足で体調=免疫力の下り坂を意識しており、「寝られる席」は必須だった。

深夜0時出発のダッカ-シンガポール(4時間、シンガポール航空)
 :ビジネスクラス、200米ドル×2名。

シンガポール-サンフランシスコ(14.5時間、ユナイテッド航空)
 :ビジネスクラス、600米ドル×2名。

サンフランシスコ-ワシントンDC(5時間、ユナイテッド航空)
 :プレミアムエコノミー、50ドル×2名。

合計1700ドル。今後アメリカでの暮らしに必要な出費と合わせればかなり痛いが、行く先のアメリカも絶賛感染爆発中で、医療崩壊が懸念されるなか、仮に感染したとしても重症化だけはどうしても避けたい。


ひっさしぶりのビジネスクラスでぐっすり眠った。

singapore air busines class (1)
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メシはシンガポール航空が90点、ユナイテッド航空は30点と、ふだんの評判およびお国柄がよく反映されていた。ユナイテッドでは「これでもエコノミーよりはマシなはず!」と信じて有難く食した。

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 シンガポール航空のチキン焼うどん 野菜が高品質


途中、シンガポール空港では掲示板がキャンセル情報満載で気持ち悪かったが、幸いにして私たちは旅を続けることができた。

ワシントン・ダレス国際空港に着いたとき、さすがに疲労していたが、ようやくシャワーを浴びられる!なによりここはアメリカだ!という安心感でハイな気分になっていた。

チェックインしたホテルは、周辺の同業者が次々とシャットダウンするなか、がんばって営業していた。

深夜のフロントを預かる兄ちゃんは、時節柄プールとジムが閉鎖されていることを詫びながら「なんで閉まってるんだと怒る客がけっこういましてね」と困り顔。

「ニュース見ろと言ってやりたいわよね、そういうアホには」と妻が励ましたら、少しだけ笑顔に。

こういう時だからこそ常識のある人とない人の差がはっきりしてくる。

明日からのアメリカ生活で、私たちは何を見ることになるのだろう。


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