ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 観た&描いてみた
結構前の話ですが、映画DQを観てきました。
イメージイラストを鳥山明タッチで描くのに時間が掛かり、旬を逃したタイミングに…
そんなこんなで映画ドラゴンクエストユアストーリー 、ネタバレありレビューです。
1992年9月27日(日)
私は小学校の運動会でした。
いつもなら楽しみで仕方ない運動会が
ヒーローになれるリレーが
早く終わってくれ、という思いが胸の中を溢れていました。
そう、この日はドラクエ5の発売日。
帰宅したのは16時を回った頃でしょうか。
リビングではスーファミのコントローラーを握りしめ前のめりにブラウン管を見つめる兄の姿。そこで見つけた紫色のターバンとマントを羽織った幼年期の主人公の姿は、膨らんだ期待を確信に変えるのに十分な瞬間でした。
その日、プレイをする事が出来たのはほんの1時間ぐらいだったと思います。
ですが、私はそれでも何の不満も無かったのです。
翌日は運動会の振替休日で朝からドラクエが一日中出来る…ッ!
鮮明に覚えているドラクエ5の発売日の思い出。
スイッチ版のドラクエ11が5と同じ9月27日に発売するのは感慨深い。
11も5に負けず名作でした。
でも、ドラクエでは5が一番好きです。
SFCは20周ほど、リメイク版のPS2、DSは4周はしていると思います。
そんな私が観てきたドラゴンクエスト ユア・ストーリー。
公開以降巷に溢れる低評価レビューの嵐。
見まい見まいと思っていても、えび通を始めとするゲーム系サイトを閲覧していると嫌でもネタバレが入ってきました。
低評価の理由、
オチがこの映画はドラクエ5をモチーフにしたVRの話だったという事。
このネタバレを見ていなければ、この作品に私も低評価を付けざるを得なかったと思う。
ドラクエが大好きな人、5を何周もプレイした人、結婚前夜のサラボナのセーブデータを消せずにいる人、息子と娘の名前を本気で悩み、いつの間にか1時間以上経っていた人。
そういう人がネタバレを見ずにこの映画を観たとすれば、上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき作品だと判断するのは致し方無い事だと思います。
私はネタバレを見たお陰でダメージがメラ級でした。見てなかったらメラゾーマ級のダメージを負っていたのは間違いない。
ーーー良かった点ーーー
●3DCGが素晴らしい。表情の作り方やモンスターのモーション、国産のCGとしては一級品ではないでしょうか。
●ビアンカとフローラが二人とも違った魅力に溢れる女性として描かれている。
結婚相手はビアンカになるのですが、フローラが原作以上に淑女らしく、清廉な乙女であり、CGの可愛さも相まって大富豪の娘といういやらしさを一切感じさせる事のない女性として描かれています。フローラ派の人もこれだけ魅力的に描いてくれたのなら、ビアンカが選ばれてもまあいいだろう…こんだけフローラ可愛いしな…ってなるんですよ。
ビアンカはビアンカで原作の様な美女設定は作中ありませんでした。正直フローラの方が可愛いんで、ビアンカ派の私としては微妙だったのですが、主人公リュカからプロポーズされた時の表情の変遷と有村架純の見事な演技によりフローラに負けない可愛さを得ました。
ビアンカ派もフローラ派も双方が納得のいくヒロイン描写だったと思います。
●キラーパンサーの名前がゲレゲレだった点。
●ゲマ役の吉田鋼太郎が上手すぎる。
ーーー悪かった点ーーー
●幼年期をかなり端折って進めるのだが、オープニングからラインハットへ出発する所まではSFC版の画面を使ったダイジェストになっている。その為、ドラクエ5を知らない人を置いてけぼりにしてしまっている。
●モンスターが色違いばかり。登場モンスターは覚えている限りだと以下。( )は色違いモンスター。
スライム(メタルスライム)、はぐれメタル、キングスライム、ベビーパンサー、キラーパンサー、キメラ、おばけきのこ、おどるほうせき、オーク(ゴールドオーク、オークキング)、ホークマン(ガーゴイル)、ブラックドラゴン、ゴーレム(ストーンマン)、メタルハンター(キラーマシン)、ギガンテス(ラマダ)、ジャミ(ケンタラウス)、ゴンズ(ソルジャーブル)、ゲマ、ブオーン
雑魚はまあ仕方ないとして、ゲマの側近であるジャミとゴンズの色違いが登場するのは最終決戦の場になります。一瞬ん?ってなるんですよ。色が全然違うとは言えこの二匹は色違いを出すべきではなかった。
肝心のジャミ、ゴンズは物凄いあっさりと一撃でやられます。もう少し尺取ってやれや。
●BGMが何故か6を多用。
5は名曲揃いなので、敢えて他のナンバリング曲を使わなくても良かったのでは。特にエンディングは3のそして伝説へ、が流れます。ここは結婚ワルツでしょうが。
●ヘンリー関連。
大人ヘンリー物凄い棒演技。坂口健太郎とかいう俳優。下手すぎる。
あと10年間の奴隷生活で主人公とヘンリーは何でも言い合える親友になっているのに、ヘンリーに敬語を使う主人公リュカ。これは違うんだよなぁ…
●幼年期にタイムスリップし、ゴールドオーブをすり替えるシーン(劇中ではドラゴンオーブになってますが)
原作ではドラクエ随一の名台詞
「ぼうや どんなツライことがあっても 負けちゃダメだよ」
大人になった主人公から子供の主人公へこれから待ち受ける人生に負けるな、と子供の頃の自分に、そして今の自分に向けて語りかけます。
これが映画だと
「これからツライことが待ち受けていたらどうする?」 と大人主人公が語ります。
「ぼくはあのパパスの息子だよ!そんなのへっちゃらだい」
「そうか、そうだよな…」
ってな感じ。
※台詞はうろ覚えです。
悪くはない。悪くはないが、この台詞は変えちゃあかん。
ドラクエ5を象徴する台詞なのだから。
●ラストのオチ
この映画を観に来るのは9割方ドラクエファンな訳ですよ。
ファンが望んでいたのは最新のCGでリメイクされた、純粋なドラクエ5を映画化した、ただそれだけのもの。
それで良いんです。その結果映画としては平凡な出来になったとしてもいいんです。
監督のエゴやオリジナリティなんて馬の糞と一緒に握りしめてしまえ。
そもそも、実は仮想現実だった…ッ!というオチは手垢にまみれまくってます。
映画や漫画、ゲーム、ありとあらゆる創作物においてメジャーではないかもしれないが、割と良く聞く話です。
ドラクエと同じ販売元のスクウェア・エニックスからだとスターオーシャン3が似たよう内容ですね。
こういった良くあるオチをドラクエという国民的ゲームの映画化で持ってくる辺り、監督の山崎貴という人間は自分以外の創作物を全然見ない人間なんじゃなかろうかと思います。
知識が無いが故にドヤ顔でこんなオチを披露してしまうというオチ。
もしくは所詮ゲームだろ、という感じで適当な良くあるオチでいいや、という考えであれば更に最悪ですが。
オチまではほんと素晴らしいんですよ。
ドラクエファンとしては100点をつけてもいい。
それだけに残念です。