こんばんは。

さて、投資信託3級の計算問題対策その5です。

今回は「外貨建投資信託の投資収益率」の計算です。

まずは実際の問題を見て行きましょう。

2017年の問45を引用します。


次の事例にもとづいて、答えてください。

テラーのAさんが、外国投資信託Xファンド(当初元本1口=100米ドル)について、お客様に説明をしているところである。

Aさん:このファンドは、世界のREITに投資する米ドル建ての外国投資信託です。基準価額自体は為替レートの変動の影響は受けませんが、買付けや換金、収益分配金の受取り時に為替レートの影響を受けます。
手数料や税金などを考慮しないで考えますと、このファンドを1口120米ドルで100口、1米ドル105円の為替レートで購入していただき、その後に収益分配金が円ベースで12万円支払われ、1年後に基準価額が1口130米ドル、為替レートが1米ドル102円になっていた場合、投資収益率は(ア)になります。
お客様:円高になっても、儲かっているということだね。
Aさん:そうですね。このケースでは、1年後の為替レートが最大で1米ドル約(イ)まで円高になったとしても、円ベースでの投資収益はマイナスにはなりません。もちろん、実際に購入なさる場合は、手数料や税金などを考慮して計算する必要はあります。

事例中の会話(ア)に入る数値として、正しいものは次のうちどれですか(答えは小数点以下第三位を四捨五入)

(1)5.24%
(2)9.52%
(3)14.76%
(4)17.86%


前半部分は問46「損益分岐点円転レート」と共通しており、問45でのみ使う情報と問46でのみ使う情報が混在しているので、必要な情報を取捨選択することが必要となります。

そのためには、前回も書いていて繰り返しになりますが、計算式を暗記しておくことが大事です。



さて、外貨建投資信託の投資収益率の計算式は以下の通りです。


・1年間の投資収益率(単利)=(1年後の円貨ベースの評価額と分配金の合計額-投資元本)÷投資元本×100

1年後の円貨ベースの評価額と分配金の合計額=1年後の米ドル基準価額×口数×1年後の為替レート1米ドル当り円額+分配金

投資元本=購入時の米ドル基準価額×口数×購入時の購入時の1米ドル当り円額


というわけで、具体的に当てはめていくと…。


投資元本=購入時の米ドル基準価額120米ドル×口数100口×購入時の購入時の1米ドル当り円額105円=1,260,000円

1年後の円貨ベースの評価額と分配金の合計額=1年後の米ドル基準価額130米ドル×口数100口×1年後の為替レート1米ドル当り円額102円+分配金120,000円=1,446,000円

・1年間の投資収益率(単利)=(1年後の円貨ベースの評価額と分配金の合計額1,446,000円-投資元本1,260,000円)÷投資元本1,260,000×100=14.7619...≒14.76%


となり、(3)が本問の正解です。



計算のためのポイントは以下の通りです。


・評価額と投資元本の計算で各々のタイミングでの為替レートを加味する。

・分配金は受取金額ベースで加味する。


他の計算問題と比較すると、一般常識的な類推で答えが出せそうですが、尚このポイントを押さえておけば、計算自体に複雑なものはありません。


なお、外貨建投資信託の投資収益率は2017年、2015年に出題されています。

頻出問題であり、「損益分岐点円転レートとセットで出題されることが多いです。

併せて覚えておくことを推奨します。


ではまた。


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