読書の森

青山文平『剣士』



『オール讀物』掲載の小説、『剣士』に登場する人物は哀しいほど善良な人ばかりです。
人を蹴落として出世しようとか、自分のエゴのために人を不幸にするなどと言う事は絶対に避けます。
基本的に、周りの人に楽をさせたい、家族の幸せを考える人間です。

作者の青山文平の小説を大して読んでいませんが、冷酷な人間が登場したことはないのです。

この作品もいつもの通り優しい雰囲気に満ちてます。
読み易い文章で一気に読めたのですが、今回は思わず背筋がゾクリときました。

江戸時代の「厄介叔父」が主人公のお話ですが、現代の年金のみで食べてる高齢者と通ずるところがあり、これってブラックユーモアかと思ってしまいました。

「厄介叔父」とは、江戸の武士で跡取りにも婿にも士官して職にも在りつけず、年をとっても生家の居候で暮す武士を指します。
つまり、社会の厄介者の訳です。

何ら生産的な事もせず、居食いのように実家のお世話になり、肩身を狭くしている67歳の厄介叔父は鬱々した日々を送っていました。

跡取りの甥もその嫁も彼に良くしてくれます。
それで、彼は尚更辛いのです。

彼には同い年のこれも厄介叔父の友人がいます。
剣道道場でお互いに名の売れた剣士でありました。

律義な二人は年老いた(江戸時代の67歳はかなりの老いぼれとされてました)自分たちの身の処し方を真剣に考えるのでした。

そして、二人が出した結論は?
とても怖~いものであります。
武士ならでは出せた答えなのでしょう。

作者は1948年生まれ、主人公とほぼ同じ年齢です。
彼らを描く事で自らの心境を語っているのではないでしょうか?

社会の荷厄介と自分を捉える事はとても不幸な事です。
そして同時にそのように考える人が集まる社会も不幸だと思えます。


「私って迷惑な存在?」などと考えるより、毎日の食材を考えていた方が楽しいです。

この頃、TVのCMで簡単な料理が覚えられます。
調味料のCMが面白いです。
出盛りのキノコと少々のお肉、マヨネーズをかけて油を引いてないフライパンで炒めるだけです。
すぐ出来てとても美味しいです。
マヨネーズは少量、他に何も入れない方がヘルシーですよ。



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