一般コラム

行政書士の源泉徴収!報酬から源泉徴収を差し引かれない理由は?!

行政書士と源泉徴収

源泉徴収とは一体何?

サラリーマンやアルバイトの人にとって、源泉徴収とは馴染みの深い言葉です。

源泉徴収についてあまり詳しく知らなくても、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

源泉徴収とは簡単に説明すると、1年間の所得にかかる税金を自分で支払うのではなく、事業者が給料から天引きすることを指します。

法人でも個人事業主でも、従業員や社員に給料を支払っている事業者は必ず源泉徴収を行わないといけません。

源泉徴収の制度は、下記のように従業員にも国にもメリットがあります。

  • 従業員は毎月の給料から少しずつ所得が差し引かれる形となり、確定申告が不要になる
  • 国は安定的な税収を得ることが可能で、確実に所得税を徴収できる

毎月の源泉徴収税額の相違は、年末調整(12月の最終支払日に所得税を再計算して過不足を精算する制度)で調整する形になります。

行政書士が業務に対する報酬で源泉徴収を引かれない理由は?

企業が申請書の作成などの業務を専門家に依頼した場合、一定額の報酬を支払う形になります。

報酬が発生する行政書士の業務は、大きくわけると次の3種類です。

  • 事業者を対象とした業務:会社設立のサポートや許可申請の書類の作成など
  • 個人を対象とした業務:相続手続きや遺言書作成のサポートや手続きの代理など
  • 事業者・個人を問わずに共通する業務:メール相談や郵送による相談など

行政書士の報酬額は厳密に決まっているわけではないものの、その金額は事務所の見えやすい場所に掲示しないといけません。

※行政書士の報酬額の統計結果についてはこちら!

参考:https://www.gyosei.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/12ad4f65cba6f63c3518bf14b58fdd64.pdf

請求書を見てみると社会保険労務士や税理士など他の士業は所得税が差し引かれた額が請求金額になっていますが、行政書士の場合は天引きされていません。

行政書士の報酬の請求書に源泉所得税額の記載がなくて、疑問に思う方もいるかも知れません。

これは間違いではなく、行政書士には源泉徴収を行わなくても良いという法的根拠があるのです。

そのため、企業が行政書士に業務を依頼して報酬を渡す際に、料金や契約金に関する支払調書を発行する必要はありません。

行政書士が業務に対する報酬で源泉徴収を受けない根拠は、下記のように所得税法204条第1項第2号に記載されています。

・居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。

・弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金

士業の源泉徴収の中に、行政書士が記載されていないことがわかります。

「その他これらに類する者」という表記が所得税法204条第1項第2号にはありますので、行政書士が含まれるのかは微妙なところです。

この点に関しては、所得税法施行令第320条第2項を見てみると行政書士が含まれていません。

・法第204条第1項第2号に規定する政令で定める者は、計理士、会計士補、企業診断員(企業経営の改善及び向上のための指導を行う者を含む。)

・測量士補、建築代理士(建築代理士以外の者で建築に関する申請若しくは届出の書類を作成し、又はこれらの手続を代理することを業とするものを含む。)

・不動産鑑定士補、火災損害鑑定人若しくは自動車等損害鑑定人(自動車又は建設機械に係る損害保険契約(保険業法第2条第4項(定義)に規定する損害保険会社若しくは同条第9項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約又は同条第18項に規定する少額短期保険業者の締結したこれに類する保険契約をいう。)

参考:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340CO0000000096#3030

つまり、法律上で行政書士は源泉徴収を行うべき対象者に含まれていないわけです。

報酬を支払う顧客企業側から見れば、報酬支払時に源泉徴収分を差し引く必要はない、ということです。

行政書士だけ所得税の源泉徴収を受けなくても良いのは、次の2つの理由が推測されています。

  • 行政書士が行う1件当たりの業務で発生する報酬額があまりにも低いため、わざわざ税金を徴収しなくても良い
  • 行政書士の報酬は少額で非常に細かく、顧客が不特定多数になって把握するのが大変

少し難しい話になってしまいましたが、「行政書士に報酬を支払った場合は源泉徴収が不要」と覚えておけばOKです。

行政書士でも例外的に源泉徴収が必要な時もあり!

行政書士の業務の中には、例外的に源泉徴収が必要な時もあります。

具体的にどのような業務が該当するのかいくつか挙げてみました。

  • 建築基準法関係の申請や届出の書類の作成や手続きの代理を行う
  • 行政書士本来の業務から外れたセミナーや講演会を開く
  • 行政書士の個人に原稿執筆を依頼する

これらの業務を依頼して報酬を支払った場合は、上記の法律とは別の規定で所得税の源泉徴収が必要です。

まとめ

以上のように、行政書士の業務で報酬を支払った際に源泉徴収が不要な理由についておわかり頂けましたか?

所得税の徴収に関する法律の所得税法204条第1項第2号では、行政書士との記載がありません。

しかし、業務の内容によっては行政書士でも例外的に源泉徴収の必要がありますので、あらかじめしっかりと確認しておいてください。

.

この記事の監修者
氏名 西俊明
保有資格 中小企業診断士 , 宅地建物取引士 , 2級FP技能士
所属 合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション