美味探求
ああ、ほっぺたが落ちてしまうー
先日お伝えしたジャンボイノシシは捕獲後8日間の枝肉熟成を経て無事捌かれて食肉化。夏場なのに脂の乗りまくった個体のお味は如何だったのかをレポート!!!!!
捕獲師匠曰
「之超旨士。之黒毛和牛二勝旨士。最高旨士。究極美味、最最高、最最最高ーーー!」
「超絶体験間違無。之味口入、悶絶超絶怒涛美味。異次元体験脳内麻薬怒涛抽出!!」
「宇宙的旨士。悪魔的旨士。再味無理無理。夏場最高、究極怒涛宇宙戦艦大和ー!!」
と捕獲した師匠が
このイノシシは最高。牛肉より旨いでー
と散々おふれこんでいたので、僕達の期待は最高潮。会社のみんなで試食会を行う事となりついに迎えた前日、ええ。驚異のうまさ、脳内トリップを体験しますとも!
捌いたお肉は総重量で70kg。大量大量。師匠と一番弟子、僕の3分割に分け合います。
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♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
みんなで行う試食会を前に、どうしても味見したい気持ちを抑えきれないあるお肉屋さん猟師、ここは仮にA氏としておきましょう。A氏は仕事終わりにこっそりとモモ肉の一部を削ぎ、フライパンを温めていた。
これはみんなに提供する前の味見だ、抜け駆けでは無い!最高の製品を提供するための学術的な試験なのだーーーーーーーーーー!
恐ろしいほどの言い訳を並べて入念に脂を引いたフライパンを見つめるA氏。薄く立ち上る煙は期待の表れか、それとも・・・
今だ!!
最高のタイミングでフライパンに削ぎ取ったモモ肉を投入するA氏。すると・・・
( ,,`・ω・´)ンンン?ンンん
まさか!
くっせー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
普段嗅ぐことの無い強烈なアンモニア臭に襲われるA氏。
これはいったいどういう事でしょうか。抜け駆けの代償はあまりにも大きすぎたA氏。
プロの肉職人であるA氏にその原因を聞いてみました。
〈解説〉
師匠のおふれこみですっかり忘れていましたが、このイノシシは雄。しかも6~7年以上生きている個体。この臭さの原因は雄独特の臓器からくる匂いなのです。雄独特の臓器とは・・・そうです、睾丸です。モモ肉の付け根にある睾丸は強烈なアンモニア様の匂いの元になる生産地。牛肉でも種雄牛と呼ばれる類の雄牛は、その役割を終えると食肉処理されますが、独特の、本当に独特の強烈な匂いを放つ食肉となります。また筋肉がホルモンの影響などで、およそ普段消費者の方が口にしないレベルのパサパサの口触り。価格のつかない、ミンチするにもためらうほどの、超絶低品質な牛肉となるのですが。
このことをすっかり忘れていましたが、同じことが言えると思います。
強烈な臭さと格闘しながら焼き終えたA氏。味は・・・もしかしたら、もしかすると、いや、きっと!味は良いに違いない・・・!
恐る恐る口に運ぶ私・・・おっとと、A氏。
( ,,`・ω・´)ンンン?
( ,,`・ω・´)ンンン?
( ,,`・ω・´)ンンン?
おえっ
むり・・・
やっぱり。不味い。 ”ぼう” と一緒やん・・・
”ぼう”とは先ほどの解説にある種雄牛の事です(業界用語)。もう筋肉が絶望的な不味さ。では、脂身はどうなのか。脂身を削ぎ取り同じように焼いてみます。
うーん。いまいち。旨さはあるが、旨さはあるが癖が強い。筋肉に比べると随分とましだが、えもしれぬ癖がある。
睾丸の近く、モモ肉だったからこの臭さだったのではと、翌日肩ロース肉を試食会に使う事に。昨夜の事変は口外無用です。
あの臭さに対抗するためにA氏特製調合味噌を準備。臭みを抜きまくる準備は万全です。
2時間漬け込んで、ソテー!
( ,,`・ω・´)ンンン?
( ,,`・ω・´)ンンン?
( ,,`・ω・´)ンンン?
焼いている時の不快感はありません!おお!味噌の焼ける香ばしい香りが食欲をソソリマス。これはもしかすると?
焼き終えた肩ロース肉をそっと口に運ぶA氏。
えも知れぬ美味。極上の時間。やっぱり師匠は本当の事を言っていたんだなー
おえっ
むり・・・
味噌の香ばしい味がF1カー並みの速さで終わるや否や、強烈な刺激がA氏の舌を襲います。
アッカーン!
そっと口に入れた1万倍のスピードで飲み込んだ私。うん。これは無理。
後日、師匠に聞くと
「夏場で最高級の味やったな!」
と笑顔で申しておりました。師匠は鋼鉄の舌をお持ちでした。
ごめんなさい。師匠。
後日、コテコテに味付けしたお肉をみんなで噛みしめて頂きました。
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