2019年10月10日木曜日

ジビエの産業化

ぶっちゃけジビエはお金に変えれるの?

 現役お肉屋さんの職人の感想


 

 ジビエに取り組み始めて数か月の私が、今の時点での産業化について今日は書いてみたいと思います。

 ぶっちゃけ、と一番最初に書きましたがさてどうなることでしょうか?


 まずジビエを産業化する(つまりお金にする)には販売しなければいけません。その販売は勿論法令順守したうえでの販売です。

 ジビエを製品化する方法は大きく分けて以下の2つです。



①お惣菜、飲食物にする

 ①を実現するにあたり必要な許認可は


⑴ 惣菜製造業
⑵  飲食店営業


のいずれかを許可してもらわなければいけません。つまり惣菜として加工して販売するか、飲食店で調理して販売するか、という方法です。



 次の

②精肉化する

 これは少々ハードルが高い方法です。これを実現するには

 食肉処理業

なる許認可を頂戴しなければなりません。これには高額な設備投資が必要になります。食肉に供するための施設を作らなければ、この許可は下りない為、例えば猟師が個人で、なんてことは超絶お金持ちの道楽趣味でなければ出来ないでしょう。

 処理施設を運営する能力も必要になりますし、副産物の処理も行わなければなりません。副産物とは 皮 内蔵 骨 牙 などのお肉以外の部分です。

 家畜だとこれらの副産物は産業として成り立っていますが、ジビエで副産物を含めて安定的産業に育てている事例はほとんど見かけません。

 食料自給率の向上や、鳥獣被害対策などで産出するジビエ肉を有効活用しようという動きは国が見せています。しかしながら現状ではなかなか難しいようです。

 つまり精肉流通はかなり難しいことになります。ぶっちゃげますと冒頭で書きましたが、ぶっちゃげ


 お金に変えることは難しい



と感じています。食肉化する施設は国や県の助成で建設する事は出来ますが、その後の運用が立ち行かなくなる場合が多いようです。つまりペイ出来ない、という事ですね。


 このまま精肉化する事に焦点を当てて、話を進めて行きます。

 【処理施設をペイする事を考える】

 例えば処理施設を建設する費用が2000万円かかったとして、それを20年で償却すると考えると、一年あたり100万円の返済です。(金利は考えないとして)イノシシ1頭を仮に5万円の価値と仮定して(そんなにない場合も多々ありだが)この5万円が仕入れ原価、販売粗利益率20%(手数料・諸経費や実際の家畜屠場の状態から勘案)、従業員1人で運営して年間100頭の搬入が必要です。それを20年続けなければいけません。
 猟期だけの稼働で一日必ず(11月15日~翌年3月15日まで、120日)0.83頭の搬入を行わなければいけません。この搬入されたジビエは必ず毎日現金化されないとキャッシュアウトして施設は破産。設備の更新や人件費の支払い、維持管理が出来なくなります。

 単純な計算で非現実的な捕らぬ狸の皮算用ですが、こんな感じになります。実際は建設場所にもよりますが、排水処理設備などはもっと大掛かりな設備投資金額となるでしょう。



 原因はさまざまだと思いますが、施設の安定活用が難しい事が大きな理由に感じます。ジビエはその性格上、安定的に産出する事は困難である事がこの大きな要因だと思います。それ以外にもまた流通も脆弱です。副産物の活用も進んでおらず、ジビエを食する諸外国のような文化も育っていません。

 つまりまだまだお肉として広げるための基盤が育っていない、という結論に至ります。

 ですが、逆説的に考えてみるとまだまだ青野原、ブルーオーシャンのような気がします。


 可能性は十分ある


 僕はこのように見ています。それは前出で書いたとおりまだまだ発展途上の分野だと思うからです。消費者の理解を得て、産出される全ての部分がうまく回りだせばお金に変える事は可能だと思います。


 例えば施設の安定運用は、今まではジビエ流通の慣習だけで行っていたから安定しなかったのではないか、と考える事も出来ます。狭いマーケットだけで行っていたから安定させる事が出来なかったと言えるかもしれません。

 施設を年間通して活用する方法を考えみる、例えば猟期以外は食育施設として一般の方に広く開放する事で、理解も深まります。勿論夏場の鳥獣被害対策の処理も行います。これらの活動を知ってもらうには動画(youtube配信)は優れた広告となるでしょう。

 理解が深まれば消費も今以上に生まれて、夢のような話ですが、スーパーマーケットに陳列されているなんて事が出来るかもしれません。


 まあ夢物語ですが、何がジビエ流通を妨げているのでしょうか。

 様々な原因があると思いますが、内部、関係者に関わる事にも一因があるように感じます。

 それは僕自身少しずつジビエに関わってきて、一番感じた事


 業界の閉鎖的雰囲気


です。何か後ろめたい感じがする、なんとも言えない雰囲気。この日本で、銃を持っている、しかも使用する。命を奪う行為を自ら選択して行う、皮を剥ぐ、内臓を取り出す。
 
 人が避ける ”禁忌” にもとられる行為を行っている事が、その原因でしょうか?しかし、しかし誰かがその行為を行わなければ、例えば誰かが家畜を殺さなければ食べる事は出来ません。 (日本語は複雑で、この行為の事を屠畜と呼びます。)

 
 必ず必要とされる事です。もし、必要が無いのであれば僕の様なお肉屋さんの職人は存在しません。ただし、家畜と野生の違いはありますが、同じ一つの命を頂く事に違いはないと僕は考えます。

 社会から必要とされている事を行っている訳ですから、もっと広く情報発信を行うべきだと感じました。閉鎖的になるのでは無く、自分達が行っている事に責任を持てるのならば、自信を持って発信するべきだと思います。

 人は触れた事が無いことや、知らない事は避けるように出来ています。ジビエが今より少しでも身近になれば、そうなるように業界として努力し続ければ


ジビエの産業化


は可能だと思う今日この頃でした。

結論!

ジビエはお金に変える事が出来る!かも















































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