日本人が海外で働く理由 | 米国公認会計士のフィリピン税金や法律のあれこれ

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こんにちは、米国会計士の橋本です。

日本では長年不景気で私の周りでも給料が上がらない、契約社員から正社員になれない、会社が倒産して失業してしまったという声をよく耳にするようになりました。日本で条件の良い仕事を見つけられないのなら、海外で仕事をできないかしらというご相談も多くなってきたように思います。

 

 しかし雇う立場になってみれば、いきなりやってきた外国人が雇ってくれと言ってもすぐに働ける可能性は低いと言えるでしょう。例え英語が話せたとしても、その人がどういう人物か、どうして外国にまでやってきて働こうとするのか、どんなスキルを持っているのか皆目見当がつかないからです。それは日本国内の企業が外国人を雇う場合と同じことだと思います。日本人はハイスペックだというのは単なる幻想でしかないでしょう。 厳しいことを言うと日本人だということに何の価値もありません。 日本に置き換えてみればわかることかもしれませんが、外国人が働こうとする場合、日本人が身元保証人になったり、採用時にその方に代わって彼/彼女の今までの経歴や就職希望の理由、技能や経験などを分かりやすく説明して初めて面接担当官が外国人を雇用するための心理的ハードルを下げてくれるはずです。

 

 また運よく企業に雇用されたとしても仕事を継続する上で重要なのはその人に対する信用と能力だと思います。 海外で日本人ができる仕事はほとんど実力主義の職場だと言っても過言ではないかもしれません。実力を認められない人はたとえ雇ってもらえたとしても長くはそこにいられません。 たとえ東南アジアであっても、日本という国に親近感を持っていたとしてもビジネスは別物だと思ったほうが良いかもしれません。

 

  以下は私が今までお聞きした日本人が海外で働きたい理由とそれに対する意見を記載します。

 

 1.海外は実力主義で頑張り次第で給料が増える

  

  確かに実力主義の会社は多いかもしれません。しかし頑張り次第で給料が増えるとは一概に言えない場合があります。それは経済のグローバル化が進んでいるためでもあります。すなわち日本でやっていた時と同じような仕事をしていたとしても、世界的にみてその業務に対する金銭的な価値や評価は思っているほど高くないと思っていただいていいと思います。今まで日本で20万円しかもらっていなくて、より高い給与を求めて海外に出たとしても、もともとあなたが日本でやっていた仕事には20万円の価値もないのかもしれません。そんなスキルと経験をもって海外に行ったとしても、日本以上に稼げることはないかもしれません。 もし海外で働きたいのなら付加価値の高いスキルを身につけてからのほうが良いかもしれませんね。

 

 2.日本の職場環境になじめなかったから

 

 日本にいると確かにいろいろな職場の悩みをお持ちだと思います。 特に職場内での人間関係やいじめ、パワハラ、セクハラなどもそうですが、職場独特の不可思議な規則があったりで、居心地の良い職場とは言えないケースもあるでしょう。 日本だけで生活をしていると日本での常識が全ての世界で通用をすると思い込んでしまっているケースもあるかもしれません。

しかし、海外で実際に生活をしていると、日本では失礼と感じられたり常識外れと思われてしまうような考え方や行為に関しても、それが当然というケースもけして少なくはないでしょう。 日本にいると日本のルールが世界標準だと勘違いしてしまいがちですが、世界は日本人が考える以上に深く広いものです。若いうちなら海外に出て日本以外の世界を見てみるのもいいかもしれません。

 

 3.恋人や配偶者が外国人だから

 

 これも海外に目を向ける良いきっかけの一つだと思います。海外に対して特に憧れやこだわりがなかったと言う人でも、気が付けば今は日本を離れて海外で仕事をしているという方は多いですね。

ではなぜそうなったのかと言うと、とても多い答えが「付き合っている恋人が外国の方だったから」「配偶者が外国人なので」と言う事です。

自分のパートナーが外国人の場合、その方の生まれ育った環境や暮らしを見てみたいと思うのは自然なことだと思います。そうして気が付いたら2人の育ってきた環境の違いや文化の違いについて少しずつ理解を深めていったというケースもあるえるでしょう。

恋人同士であったとしても彼氏や彼女が自分の国に帰らなければいけない事情がある場合、恋人関係を続けたいのであれば自分も一緒に海外まで着いていくという選択肢も選ぶ方もいるかもしれません。

そうなると必然的にその地で仕事を探さなくてはいけなくなるわけですが、配偶者がその国の人だと面接官に話すとフィリピンの場合は、優しく接してくれるケースが時々あります。私も、会社でフィリピン人のスタッフを雇っているということをタクシーの運転手が「フィリピン人に雇用の機会を与えてくれてありがとう」と感謝されることもあったりします。なにかその国とつながりがあれば、周りは単なる外国人じゃなくて特別な外国人だなという気持ちで接してくれたりします。

 

 

 海外で働くということはその国の良いところを享受できますが、その国の悪いところも受け入れなければいけません。

生活や言葉、文化、考え方、規則や法律、宗教などすべてが自分に合うわけではありません。外国なので日本で生活する以上の厳しい現実に直面する可能性だってあります。 それらを受け入れる覚悟がまず最初に必要で、それがあって実際に海外生活してみて無理だと思えば日本に帰るという選択肢を最後までもって海外に出るべきでしょう。自分の退路を断って海外に出ていくというのはかっこよくみえるかもしれませんが、自分がその国でうまくやっていけるかどうかは将来の結果でしかわからないでしょう。

 

 ビジネスにしても人生にしても失敗しない方法というのは存在しません。失敗したときに帰る場所や住むところさえないということだけは避けていただきたいものです。 せめて日本に帰るという選択肢を残しつつ海外にチャレンジするのがいいかと思います。

 

 それでは今日はこの辺で失礼します。