大量倒産・大量休廃業時代の到来と今後の方向性 | 米国公認会計士のフィリピン税金や法律のあれこれ

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こんにちは、米国公認会計士の橋本です。

 

日本でも今日から仕事始めの方が多いのではと思います。長期休暇を取った後の出勤開始日の通勤がいつもより数倍辛く感じてしまいます。今年の目標は少しでも職場から近い場所に引越しすることにしました。

 

今日は日本の倒産と休廃業数についてのご紹介をさせていただければと思います。

東京商工リサーチの調べによると日本の倒産件数はここ数年は徐々に下がってきて来ました。 さすがアベノミクス効果と言いたいところではありますが、これには少々の疑問符が付くところです。なぜなら確かに倒産件数は下がってきていますが、自主廃業と休業数が激増しているからです。すなわち倒産件数が減ったとしても、事業を行っている会社の数自体が減少してきていることを意味します。倒産と自主廃業の違いは何でしょうか。倒産とは銀行取引停止になったり、債権者や銀行、株主から破産を申し立てられて強制的に退場させられることを言います。一方で自主廃業や休業というのは自力で会社の債務や支払いを清算して自らの意思で会社を閉鎖することを言います。 どちらがいいかはわかりませんが、取引先への損害や迷惑を最小限にとどめることが出来るのは自主廃業や休業だと思います。

 

以下の表は東京商工リサーチ様がアップロードされているデータです。

 

各年の休廃業及び倒産数です。

 2013年 34,800+10,855=45,655

 2014年 33,475+9,731=43,206

 2015年 37,548+8,812=46,360

 2016年 41,162+8,446=49,608

 2017年 40,909+8,405=49,314

 2018年 46,724+8,235=54,959

 

 

確かに倒産数は減ってはいますが休廃業を含めた総事業停止事業所数が2013年からの5年間で20%も増えていることが分かります。

日本の事業所の総数は明らかに減少しているということですね。

 

休廃業・倒産数を産業別にみると製造業(前年比32.46%増)、卸売業(前年比27.54%増)、農・林・漁・鉱業(前年比18.39%増)と業種によって急激に廃業数が伸びています。製造業は海外移転のため、卸売業は産業構造の変化による業種自体の衰退、農林漁鉱業は後継者不足が主な原因であるといわれいます。小売業やサービス業など参入障壁の低い業種は退出の多い業種である一方で新規参入が活発でもあります。

 

 

 

年齢別にみると、50代以上でのリタイアが90%を占めており非常に多くなっています。これは引退年齢になっても後継者がいなくて事業を閉鎖したことが理由です。

 

 

これらは日本の現在の問題がそのまま表れているデータを反映しているのでしょう。 製造業などの産業の海外移転に伴う空洞化とAmazonなどのネット販売が活況になるにつれて卸売業や小売業の存在意義が年々薄れていく産業構造の変化、そして後継者不足による事業閉鎖が今の日本の状況だろうと思います。

 

 日本はこれから人口減少と高齢化により経済は活力を失っていくでしょうし、今の若い人たちは衰退していく日本の中で今を生きていくために今以上の苦労を強いられるかもしれません。 

 

 しかし、世界の今後の方向性をきちんと見定めて、その流れに乗って生きていくことを選択すれば、自分の将来を切り開ける可能性は十分あると思います。今の自分のスキルや能力をどのように活かしていくか、或いはどういうことをしていきたいという目標をきちんと定めてそれに向かって努力していけばやってやれないことはないんだろうと思います。

 

 今までバックパッカーやいきなり海外に来て働きたいという日本人を何人も見てきましたが、最初は英語もままならず、何をやりたいかもよくわからず、とにかく海外で働きたいという気持ちだけで日本を飛び出してきたという人でも案外何とかなっているもんだと思うことがあります。 中には日本の上場企業の現地法人に採用された強運の持ち主もあります。 人生とはタイミングや人との出会いで助けられたり運命を切り開けることもあります。

 

 日本の将来を悲観するばかりではなく、この機会に是非日本の外の景色や風景を見て、自分の可能性を再確認していただければと思います。 縁もゆかりもない場所であっても運よく自分を助けてくれる人が現れるかもしれません。

 

 人との出会いを大切にすれば困ったときに誰かが助けてくれることがあるものですね。

 

 それでは今日はこの辺で失礼します。