第374回「35歳を超えてカッコつけなくなってから生きやすくなった。草なぎ剛さんから学ぶ。」
「35歳限界説」という言葉が存在するように、転職も、結婚も、35歳以上になると一気に需要が少なくなり、可能性が閉ざされてしまうという風潮が一時期話題になっていたことがありました。
令和元年2019年現在、日に日に市場構造に変化が生じてきて、35歳が限界とは言えなくなって来てはいますが、加齢によって自身の選択肢が狭まれてしまうように感じられる方は多いのではないでしょうか。
今回紹介する方は、タレントの草なぎ剛さんです。
草なぎ剛さんは、35歳から自分らしさを認めて、生きやすくなったと振り返っています。
草彅剛さんインタビュー「ダメなところがあるほうが、人間は面白い」より
「素の自分を出すことに抵抗はないし、それを怖いと感じることもないですね。この年齢になると、そういう部分を出さないとつまらないなぁって思う自分もいます。結局、人間ってダメなところが面白かったり、魅力的に輝いたりするわけで。そこをカッコつけてうまくやろうとか、もう考えなくてもいいのかなって。そのほうが僕自身もラクだしね(笑)」
草彅さんが憧れるのは「年齢を重ねるたびチャーミングになる大人」。そこに近づくためにもどんどん素を出していきたい、と笑う。
「でもね、そんな風に考えられるようになったのも最近の話。それこそ20代のころは他人にどう思われているのかすごく気になって。すべてをスマートにカッコ良くやりたいと思っていたしね。でもそれがしだいに苦しくなり・・・。そんな僕が変わり始めたのが、“うまくいかない”出来事が続いた35歳のころなんですよ」
カッコつけなくなったら生きるのが楽になった。
草なぎ剛さんにとってその分岐点は35歳だったようです。
草なぎ剛さんにとってうまくいかなくなった出来事とは何だったのでしょうか。
インタビュー中では触れられていませんでしたが、私が予想するには、ちょうど10年前に発生した「全裸事件」が人生のターニングポイントだったのではないかと推測しました。
参照:裸だったら何が悪い
35歳の誕生日を迎える3ヶ月ほど前に、草なぎ剛さんが東京都の某公園で全裸かつ泥酔状態で公然わいせつ罪として現行犯逮捕されるという事件でした。
真面目なイメージが強かった草なぎ剛さんですが、薬物乱用の疑いがかかり、家宅捜索される始末でした。
結果的に無罪が証明されて、事件発生から役一ヶ月後には芸能界に復帰されましたが、世間では大きな反響が広がりました。
当時、地上デジタル放送推進のCMキャラクターに起用された草なぎ剛さんに対して、故鳩山邦夫さんは、「最低の人間としか思えない」「めちゃくちゃな怒りを感じる」「絶対許さない」と厳しく罵っていましたが、一夜明けた記者会見で「“最低の人間”と言ったのは、言い過ぎだった。率直に反省する。人間は人間を評価できない」などと撤回するような反動がありました。
窮地の草なぎ剛さんを救ったのは、他でもないファンの力でした。
鳩山さんの批判的な発言に対して、事務所には抗議電話や苦情が殺到していたようです。
事件後の草なぎ剛さんは、まさに裸一貫の覚悟で奮闘されたのではないかと想像します。
その苦しみや葛藤は他人には話せない部分も多々あったことでしょう。
この逆境によって活動の幅が広がったのは事実です。
それまでは「真面目で良い人」という役柄が多かったのですが、正義の中に「銭の戦争」「嘘の戦争」「任侠ヘルパー」のような悪役等の要素を加えたようなキャラも演じるようになりました。
本人にとってはアイドルのイメージに泥を塗ったような不祥事とも言える黒歴史だったとは想像しますが、失敗を失敗に終わらせずに、弱い自分を認めることで人間として深みが増したように感じられます。
かくいう私が草なぎ剛さんを好きになったのもあの事件がきっかけというのもなりました。
全裸になって「裸になって何が悪い」と主張するだなんて、愛すべく人間らしさを感じられたのが最も大きな理由でした。
もちろん、この事件がきっかけで草なぎさんに嫌悪感を覚えた方も少なくはないでしょう。
でも、カッコよくない草なぎ剛さんを知ったことで、遠い存在だと思っていた世界の住民だった人間でしたが一気に親近感を感じられたのでした。
私たちは、なりたい自分や期待される自分に向かって努力している。それ自体は素晴らしいことだけれど、そこに固執しすぎると、どこに本当の自分がいるかわからなくなってしまう。うまくいかないことが重なれば、身も心も縮こまってしまうものだ。だが、草なぎはその失敗続きの時期を、失敗のまま終わらせないためにも、人生の浮き沈みに身を任せることを覚えた。さらに、遠回りをしながら学んでいくことで味わえる人生の楽しみも知ったという。
草なぎ剛のシンプルな生き方 雑誌『GINGER』インタビューから感じたこと
あの事件からずっと草なぎ剛さんに会いたいと願い続けてきた私でしたが(事件直後には現場の檜町公園にも足を運んだ程です)、昨年度公開された映画『ムタフカズ』の舞台挨拶上映に参加した際に、初めて草なぎさんにお目にかかることができました。
草なぎ剛さんの言動を見ていると、「自然体」という言葉が最も適合しているような振る舞いのように感じられました。
無理がない、カッコつけていない、まさに草なぎ剛さんのインタビュー記事のような生き方を実践されているようでした。
新しい地図での活動を始めてからユーチューバーとしての新しい道も開拓されていますが、最近では、料理の失敗動画が反響を呼ぶ等して話題になっています。
草なぎ剛の料理失敗動画が話題 YouTubeが発掘する新たな魅力
35歳を超えてからも人は成長できる。
失敗も、逆境も、プラスに変えて生きやすくなることもできるということを草なぎ剛さんの背中から教えてもらえます。
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