忍者ブログ

短歌のリズムで

言の葉が群れをなすかな鰯雲 暮れゆく空で歌になるらむ

「自分らしい」は自分だけの基準

もう「心の視力」とでも言った方が解りやすいでしょうか。

心が描く景色を見て言葉にできる能力には、明らかに断層のように能力差があると思われます。そして、より高く、深く見て読んで志向できる人の描く世界を、その高さ、その深さまで到達できない人があれやこれやと評してしまっているような現実がそこかしこに見られます。未だに理解不能なマイルールを押しつけて、よく読み込もうともしないで選歌や歌評をする人が後を絶ちません。

一体、どのような基準で人様の歌を読み解き、その歌意に近付こうとしているのでしょうか。せめて選歌ポリシーとも言うべき明確な基準を示して欲しいものです。
そのようなものを示した歌会や大会などがあったのでしょうか。おそらく今の馴れ合いの短歌界では難しいのでしょう。なにせ歌意についてのポジションも曖昧な歌人ばかりで、本当に結社などに在籍するプロかと呆れてしまうような人達ばかりです。
そのくせ一家言のようにマイルールを振りかざします。

誰かの何かに優劣を決めなければならないのであれば、一定の判断基準があってしかりです。
誰も現状に何の意義も唱えないまま、玉石混交のルールの中で曲がったヒエラルキーに従っているだけの短歌界には、もう自浄能力は無いのかもしれません。

私のような素人でも、他の方に短歌に対する意見を求められた時には、きちんと自分のスタンスを含めてお話するようにしています。それは最低限度のマナーでありルールであり、礼儀だと思っています。そもそも良いのか悪いのかの基準がない世界なのですから、何かの線引きがなければただフラフラと漂ってしまうだけの意見や歌評になってしまいます。

成長がありません。短歌の腕前のことではなく、心の成長のことです。

プロの野球選手ならば、ヒットやホームランを打つこと、剛速球を投げ込むことが目標かもしれませんが、短歌を詠むプロ歌人にとって、何が目標なのでしょうか。
明確に目標と言えるものがあるのでしょうか。
もしかして、こんな所でも「自分らしい歌」を読むことができればなどと言うのでしょうか。

「自分らしく・・・」ここ最近では私の最も嫌いな言葉です。

特にプロフェッショナルな職業の人が使うことについては、軽蔑しています。
プロは結果を出していくらの世界です。いくら自分らしく出来たとしても、結果が伴わなければ意味はありません。自分だけの基準で世界は動いてはくれません。

「あの人らしい」と他人がいうのならまだしも、自分自身で言うことは恥ずかしいことだと思います。

短歌というものに触れて少しずつ学んでゆくうちに、これは31文字の歌を作るという作業ではなく、心と向き合い、対話し、その中に秘められた想いを言葉や文字に置き換える作業だと痛感しております。

決して何年も難しい猛勉強をしなければならないことではなくて、目の前の事を真っ直ぐに、素直に心が受け取れるようにするだけで、小学生でも作れるのが短歌だと思います。

短歌とは「事象というカステラの断面」だから、切るのは自分自身の判断です。
自分らしい(作者らしい)断面かどうかは他人が判断するかもしれませんが、事象のどこをどう切るかは決して他人に委ねることではありません。(歌意は作者のものです)

私がこのように考えることと同じように、それぞれの歌人にも自身の向き合い方、取り組み方があることでしょう。それがあるなら、たとえ素人であってもはっきりと宣言すべきだと思っています。
それは読み解きの基準となる大切な要素です。読者にとっては唯一の歌の道標となります。
より深い心の景色に辿り着くために欠かせないものとなるはずです。

このブログにわざわざ来られるような方は、きっと短歌の海に足首くらいは浸かったことがある人でしょう。

私は、「短歌」そのものが歌意の居所が曖昧なことを許さない時がやって来ていると思っています。もう雰囲気だけでは伝わらない、すべての人がマクロからミクロまでアクセスできるような時代に、文化を気取ってうやむやにし続けることを、言葉が嫌がっているような気がしてなりません。

研ぎ澄まされた道具は、それを使う人を選びます。
人が言葉を選んでいるというのは幻で、実は人は常に言葉に選ばれているのだと思います。

そんな危機感が短歌を取り巻く人達の間で圧倒的に欠落したまま、時代は変わっています。

2020年4月5日
短歌 ミルク
PR

コメント

プロフィール

HN:
ミルク
性別:
非公開
趣味:
頭の体操
自己紹介:
気づく人だけが手に入れられる
輝きを求めて、日々の宝探しを
楽しむように短歌のリズムで進む
足あとのようなものです。

カレンダー

03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

リンク

にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村

当サイト内のすべての絵と文、短歌の転載はご遠慮ください。
無許可の転載、複製、転用等は法律により罰せられます。
All rights reserved.Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
本站內所有图文请勿转载.
未经许可不得转载使用,违者必究.
にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ