明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1744)洪水からみんなの命を守ろう!(千曲川決壊地点を取材して)

2019年10月25日 17時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20191025 17:30)

千葉などに再び豪雨が降っています。命を守る行動を

再び東日本に大雨が降っています。千葉県で市原市の高滝ダムと君津市の亀山ダムが緊急放流を行おうとしています。それぞれ3時半からと4時半からとされていましたが、ついさきほど「現時点では行わない見込み」との報道も流れました。
しかし依然、養老川と小櫃川流域が危険です。いや千葉県全体で半日で一か月分の雨が降り、すでに各地で川があふれ、家の1階まで浸水しているところがたくさんあります。千葉のみなさま、どうか命を守られてください。
この雨はさらに今夜から明日にかけて関東から東北にかけて広域に降ることが予測されています。各地で避難勧告や指示も出ています!どうかみなさま。命を守られてください。


NHKニュース 10月25日午後5時39分

台風19号では非常に広範囲に雨が降ったため、降雨からかなりの時間が経ち、晴れ間も見えることに各地で洪水が発生しました。
このため大雨特別警報が解除され、避難所から自宅に帰ったあとに洪水に襲われた人々もたくさん出ました。
NHKなどがこれをい「流域型洪水」と呼び始めていますが、今後、広域に雨が降った時は、安全が十分に確認されてから家などに帰るようにしてください。

台風19号の被害者数もまだまだ拡大しています。まだ多くの地域で調査中のためと思われますが、ともあれ25日現在で亡くなられた方の数が86人に達しました。8人が依然行方不明です。
河川決壊報告も71河川135カ所に増えました。氾濫が起こったのはなんと271河川です。
これらの河川の全体がダメージを受けていますから、この週末の大雨で再び決壊が起こる可能性があります。各地で十分に警戒されてください。


千曲川の決壊から見えること(現場を取材してきました)

昨日、24日に千曲川の決壊地点=長野市穂保地区を取材してきました。
長野駅から「しなの鉄道北しなの線」に乗り、二つ目の三才駅で降りてそこから現場まで歩きました。約3.5キロでした。
近づいていくと川から二キロ弱ぐらいの辺りから洪水が押し寄せた跡が見えるようになりました。


千曲川取材から 守田講演スライドより

国道117号の穂保交差点を渡ってからはあちこちに泥が残っており、ところどころに使えなくなった様々な家財道具がゴミとして積み上げられていました。
多くの方がボランティアの方々を交えて家の片づけを去れている中を川まで歩き、決壊地点の長沼体育館の手前側につきました。
ちなみにここにはまだ大きな水たまりができており、長沼体育館には俄かに近づけません。その体育館、そして周りの言えはほとんどが一階が水でえぐられてほとんど往年の姿を残していませんでした。水流のすさまじさが現れていました。


千曲川取材から 守田講演スライドより


千曲川取材から 守田講演スライドより


堤防に上がると、決壊地点が応急処置で盛り土されており、石を詰めた黒い袋が詰められていました。その先、河川敷にあたるところに極めて大きな鉄の矢板が建てられていました。たくさんのクレーンが動いていました。
決壊した堤防はまだ仮に直された状態で、まずは矢板を立てて仕切り、この地点を増水から守る。その後に堤防をしっかり直して、最終的には矢板を抜くのだそうです。
現場で作業している方に話を聞くと、青森や神奈川など各地から人が集められてきているとのこと。大成建設が仕切っていましたが、各地の作業場から仕事をしているチームの腕利きが引き抜かれてきているのだとか。


千曲川取材から 守田講演スライドより

千曲川は1キロにわたって越水していた

取材から戻って今回の千曲川決壊についてさらに調べました。NHKの千曲川決壊に関する検証報道、および「NBSみんなの信州 報道番組 検証”千曲川氾濫”」が参考になりましたのでご紹介します。

千曲川氾濫 南北に1キロ余 支流の氾濫も被害拡大 専門家調査 2019年10月23日 22時50分台風19号 検証
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191023/k10012145831000.html

NBSみんなの信州 報道番組 検証”千曲川氾濫” 2019年10月22日7時~7時57分 https://www.youtube.com/embed/OjXLMMwP9Vg?rel=0

これらから分かったことは、この決壊地点の周りの1キロ以上にわたって越水が起こっていたこと、かつてない越水規模だったことです。原因は主に二つありました。一つは最大1キロの川幅が200メートルに狭まる地点の手前だったこと。
さらに「まさかこれ以上の雨、水位になることはないだろう」と堤防を作る際に予測した「計画高水」が11メートル弱だったことに対し実際は12.46メートルになってしまったこと。
これではとても堤防が持たずに決壊したわけですが、問題なのはそのときのメカニズムです。


千曲川取材から 守田講演スライドより


千曲川取材から 守田講演スライドより

越水すると濁流となった水が徐々に堤防を削っていきます。その結果、激しい決壊が起こりましたが、堤防が削られたのはここばかりではありません。1キロ以上に渡って堤防が痛み続けていたのです。
ということは決壊した地点を鉄の矢板で守り、堤防を直しても他の弱くなっている地点が危ない。
いやそもそもその矢板もまだ閉じているわけではなくて、そこに今回の大雨が降っています。千曲川が再度の決壊を起こさないことを祈るばかりですが、現地では再び三度のことが起こることに備えて命を守っていただきたいです。


千曲川取材から 守田講演スライドより

河川行政の全面的な見直しを。洪水対策の強化を!

千曲川決壊地点を実際に取材し、その上で検証報道などを見ていると分かるのは、千曲川だけでなく今回決壊した全国の多くの河川がいまなお大変、危険な状態にあるということです。
いやそればかりか国は、千曲川決壊の要因になっている川幅が流れの中で急速に狭まるところが、他にも無数に存在していると伝えています。その上、「計画降雨」が突破され、「計画高水」も各地で上回っているのだからどこでも洪水が送りえる。
だとするならばそれに備えるしかない。

一つには緊急時の避難を徹底すること。もっと早くから広域に避難して命を守ることです。
そして次に大事なのは、政府が被災者の生活再建の予算を圧倒的に増やすことです。洪水を堤防で防ぐというこれまでの方策が破たんしたのですからその責任は政府にある。
だから災害対策を法を変えて、被災者への支援金を大幅に増やすべきです。財源はF35の購入を取りやめれば潤沢にあります。

今後の、ほとんどありもしない「敵国」の来襲に備えるより、いま現に起こっている国土の危機、人々の苦しみに予算を向けるのは当然のことです。
家の再建、町の再建、避難所改革、そして河川整備、さらには洪水を散らしていく知恵の復活等々、やるべきことはあまりにたくさんある。これに潤沢に予算を振り向けずしてなんの「国防」か!
みなさん。声を上げましょう!河川行政と避難所のあり方を変え、被災者の生活再建費を何倍にもしなくちゃいけない。頑張りましょう!


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