例えば「1.25倍」大きな曲線路を使おう!

 

 

 

本日もケンズ鉄道にご乗車いただきまして

ありがとうございます。

 

君はアメリカ型のどんなところが好きなんだい?

 

「うーん、そやなー、車りょうがだいたいおっきい

とこやな、はく力もでるしな d(^_^) 」

 

なるほどね、アメリカ型は客車も貨車も機関

車もサイズが大きなことが多いね (^^

実際の寸法を知ったり、フィギュアをそばに置

いてみたりしたときその大きさに改めて驚くこ

とも多いよね (^^

 

アメリカ型の特徴の一つに、車両の大きさが

日本型よりも大きいことがあります。 特に

車長に関してはビッグボーイなどの大型機関

車に限らず、通常客車や貨物車でも長い

ものが多いですね。

大きいことは見栄えや迫力などメリットとして

作用する反面、デメリットもあります。

例えば、今日お話しする曲線での問題です。

 

「曲線での問題・・・? 」

 

うん、実はね車両の長さが長いと曲線での

見栄えでちょっと損をするんだよ。

 

アメリカ型カーブ 曲線路での折れ曲がり アメリカ型鉄道模型の見栄え

車両が曲線を走行するときの車両間の折れ曲がり具合は見栄えの重要ポイントです。

同じ曲率の曲線を曲がる場合、車両長が

大きくなると車両間でより大きく折れ曲がり、

ときに残念な見栄えとなることがあります。

日本型では問題のないカーブでも、アメリカ

型の長い車両では連結面で車両端同士が

接触したり、曲がり切れず脱線することもある

と思います。

今日は、この「折れ曲がり」具合の対策につ

いて少し掘り下げてみます。

 

「ほな、おれ曲がりぐあいはどないして

しらべたらええの?」

 

一つの注目ポイントは台車の曲がり具合、

つまりは回転具合といってもいいかな。

次の図を見てみよう。

アメリカ型鉄道模型の曲率 折れ曲がり 

図中の緑で表された台車の回転角度に注目します。 同じ曲率のカーブでも車長が大きいほど回転角度は大きくなります(図3)

 

上の図の丸いカーブは曲線路の中心線で、

その上を長い長方形の車両が走っています(図1)

直線では台車は回転していませんが、カーブ

では台車(灰色の長方形)が回転することで

曲がっていきます。

台車の回転の程度を示すものが、緑色で示し

た台車の回転角度です。

この回転角度はカーブの曲率が小さく(きつく)

なるともちろん大きくなりますし(図3)、曲率が

同じでも車両長が小さく(短く)なれば、小さく

なっていく性質をもっています(図2)

台車の回転角度が大きくなればなるほど、連

結面での折れ曲がり具合も大きくなるというわ

けです。

 

「なるほどー、そやから長いアメリカ型

の方がおんなじカーブでも損して見えるんやね」

 

じゃー、損しないようにするにはどうしたらいいと

思う?

 

「もうちょいおっきいカーブをつこたら

ええんちゃう? !(^-^)」

 

それはいい考えだねー!

じゃー、どれくらい大きくしようか?

 

「ええーっとー、んーーー、

そんなんわからへんわ! 笑」

 

よし、じゃーその「どれくらい」を正確な数

字にしてみようね!

「こうしたらこうなる」という性質を数字で

具体的に知ることを科学って言うんだ。

これからアメリカ型車両に適正な曲率を

科学してみよう!

 

「科学て、めちゃ大げさやなー、

おじちゃん 笑」

 

そっか /(^_^;;

 

「長い車両でもカーブでの折れ曲がり具合=

台車回転角度を同じにするには、いったい

どのくらい曲率をおおきくすればいいのか?」

これがここからの命題です。

わかりやすいように、短い車両と長い車両の

カーブでの様子を下図に書いてみました。

アメリカ型車両のカーブを調べる

長い車両がカーブを走行中の様子(図4)と、短い車両が走行中の様子(図5)を幾何学的に調べてみます

車両の長さとしてここでは台車中心(センター

ピン位置)同士の距離を示しています。

車長が長い場合のそれを「L」(図4)、短い場

合を「ℓ」(図5)とします。

台車の回転角度はそれぞれ「Θ」(図4)、「θ」

(図5)、カーブの曲率を「R」(図4)、「r」(図5)

とします。 「O」はカーブが描く円の中心点に

なります。

図4で、三角形ABCと三角形OACは相似の

関係にあることから、台車の回転角度∠BAC

とカーブの中心角∠AOCはどちらもΘで等しく

なります。

今、直角三角形ABOを考え、「Θ」と、車長の

半分の長さを示す「L/2」、それに曲率半径

「R」の関係を式に表すと三角関数を使用して

SinΘ=(L/2)/R  -(2)

と表すことができます。

車長が短い場合の図5(記号が全て小文字)に

ついてもまったく同様に、

Sinθ=(ℓ/2)/r   -(3)

の関係が得られます。

車両が長い場合と短い場合で折れ曲がり具合を

同じにしたいわけですので、台車の回転角度の

「Θ」と「θ」を同じ値にしてみます。 すると、

SinΘ=Sinθ

となり、(2)式と(3)式から

(L/2)/R=(ℓ/2)/r

となります。

これを整理すると図中の式(1)

R=r(L/ℓ)

が最終的に導き出されます。

・・・どう、わかった? (^^

 

「ぐー、ぐー、(-_-)

ぜんぜんわからへんから、

寝てたわー 笑」

 

ははは(^-^)、じゃー、最後の(1)式だけ覚

えておいてくれたらいいよ (^o^)

 

「はーい。」

 

R=r(L/ℓ)が示すところは、変形すると

R/r=L/ℓ となってわかるように車長(台

車中心間距離)の比率と曲率半径の比率

は同じになるということです。

 

「つまりは、車長が2倍やったら、

曲率も2倍にしたらえー

ゆうことやね! (^^」

 

そうそう、君が言うように、例えばアメリカ型

客車の長さが日本型客車の2倍大きいなら、

カーブの曲率も2倍にしてやれば、カーブ走

行中の台車の回転角度が等しくなって車両

間の折れ曲がり具合も同じになるってことだよ。

 

「なんや、ふつーな結論やねー 笑」

 

 

けれど、今それが証明されたわけだよ (^0^)/

 

それでは、ここで実際の数値を使ってみましょ

う。

アメリカ型対日本型 鉄道模型

日本型客車とアメリカ型客車の台車中心間距離を測ってみます。

(1)式、R=r(L/ℓ)のLが114mm、ℓ が

91.5mmということになり、車長の比率

(L/ℓ)は、約「1.25」となります。

あとは、日本型で使用していたカーブの曲

率「r」をかければアメリカ型での適正曲率が

計算できます。

例えば日本型でR348mmをしているなら

アメリカ型での推奨は1.25をかけてR435

mmになりますし、R381mmならR476mm

程度となるわけです。

 

最初の命題はなんだっけ?

 

「はーい、

”長い車両でもカーブでの折れ曲がり具合=

台車回転角度を同じにするには、いったい

どのくらい曲率をおおきくすればいいのか?”

でしたー (^o^)/ 」

 

はい、その答えが「1.25倍」であることが

結論付けられましたとさ \(^o^)/

(※客車の場合の参考値です)

 

今回は車両として日本型とアメリカ型の客

車を使ってみましたが、皆さんはご自身で

お使いの車両で是非この倍率(L/ℓ )を調

べてみてください。

「こんな長さの車両を主に走らせる新しい

レイアウトをフレックス線路で作ろう・・・」

という場合などにも、カーブの曲率を決める

ときの参考にしていただければ幸いです。

 

今日は、車両の長さとカーブの曲率について

のお話でした。

 

「みなさん、

おじちゃんの長いななしに

つきおうてくれてありがとー (^o^)」

 

それではみなさま、

また次回まで、さようなら (^0^)/