2回めの流産のあとに「不育症」との診断が下りたとき、夫がわたしをどう思うのかは正直気になりました。
世の中には妊娠出産に問題のない健康な女性が多数派で、不育症リスクがある妻なんてレアケースなくらい。
だから夫がわたしではなく、もっと若くて健康な女性と結婚していたら、そうしたら2回も流産したり、会社を休んで不育症の検査に行ったり、そんな苦労や悲しみを味わう必要なかったかもしれない。
うちの夫は顔も性格も良いし、勉強も仕事もできるし、そんな非の打ち所のない夫(以上、妻の贔屓目)の唯一で最大の欠点が世間的には「妻選びに失敗した男」になっているんじゃ……なんてことも考えて、自分の不育症が夫に申し訳なく感じて謝りました。
しかし夫に言わせると、
「ふだんから妻のワガママを聞いて虐げられているのに不育症くらいで何を今更。他に気にすることあるでしょ」らしい。
悪妻世にはばかるのか……。
夫とは2013年から交際を始めて、それなりに長い付き合いになりました。
出会ってから今まで、言い合うようなケンカらしいケンカをしたこともなく、わりと平和な関係を築いてきたと思います。
それは夫の穏やかな性格によるもので、わたしが夫に対して最大に怒って叫んだのは、結婚式で両親たちに渡すお花が届かなくて(なんと花屋さんが忘れていた)花屋さんに電話をしたとき、夫があまりにも丁寧な対応だったのでイライラしたわたしが「夫、怒りを見せてみろ!」と叫んだときくらい……笑。
▼なつかしい……
逆に夫に声を荒げられたことは、洗面所で顔を洗っている夫に無言で浣腸したところ驚いた夫が蛇口に頭をぶつけて「あっち行ってよ!」と叫ばれた1回です。
このように夫はあまり感情的にならない&ならないように気をつけている人なので、夫はわたしに対して文句や不満があっても我慢して言わないだけなのか、物事に対しての閾値が低くて本当に「気にしてない」だけなのか、そのあたりが謎のままです。
だからわたしが不育症をコンプレックスに感じていることを打ち明けたときの「別にあなたの命に関わる病気が見つかったわけじゃないんだから気にしなくていいじゃん、赤ちゃんができたら適切な治療を受ければいいってだけでしょ。あなたのせいじゃないんだからぼくに謝ったり申し訳なく思う必要は全くない」と言う夫の言葉を額面通りに信じるしかないのかなとは思います。
ただ、ここまで振り返ると夫は「何も気にしない」スタンスなのですが、 夫は3回めの妊娠である今回も8ヶ月になるまで夫母と妹さん以外には誰にもわたしのおめでたのことを言っていませんでした。
夫がわたしの看病疲れでたまに遅刻しそうになったりしていたので、職場のせめて直属の上司くらいには伝えておいたほうが良いんじゃないかなと心配していたのですが、夫は「今回もダメだったとき、気を遣われるのが面倒くさいし〜」と話していました。
さらに中期に突然腹痛を起こして切迫早産になったときも、「切迫で安静になった」と報告したわたしに対しての夫の一言めは「赤ちゃんは大丈夫?」ではなく「ぼくはあなたと2人の生活でも充分幸せだから」でした。
これらの夫の言動から、夫は夫で過去の流産の経験やわたしの不育症リスクから妊娠については楽観視できず、わりとシビアに考えて過ごしているのかもしれなくて、口には出しませんがたくさんの不安やプレッシャーを彼なりに抱えているのだろうなということを切実に感じました。
夫は長男気質なので「女性のほうが何か起きたときに心身つらいのだから、男性は毅然として支えねばならない」と思っているのかもしれません。
でもわたしは意外と夫がいれば全然何もつらくなかったり。
現在臨月に入りましたが、わたし自身もいろいろシビアに考えている部分があって、最悪の事態のときにどう行動するか、どう気持ちを持っていくかも全て想定しています。
(もちろん無事なときにどう喜びまくるかも想定済ですよ!)
だから夫は自分の感情を妻を支えるために抑えたり堪える必要はないし、わたしは夫の顔を見るだけでなんでも乗り越えられるということを、出産の前に「わたしは何があっても大丈夫、それは空元気とかではなく本当に大丈夫」とうまく伝えておかなきゃなあと考えています。
不育症と診断されているなかで赤ちゃんができて、初めての出産を前に大きな期待と同じくらいの不安で心がざわついているのは妻だけではなく夫も同じ。
貧乏くじのような妻だけど、夫を支える余裕だけはいつでも持っていたいと思います。
夫婦はチームなので!
夫は「そんなことより靴下片付けてよ」と言うかもしれない。
▼温和な夫も相当怒っているようなので、気をつけたい
▼綱渡りおめでた生活はつづく。