空華 ー 日はまた昇る

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ハムレット詩

2020-05-30 13:08:06 | ハムレット詩

荒城の月 Koujou no tsuki (倍賞千恵子 Baishou Cheko)ローマ字歌詞付き(With Lyrics in Romaji)

 

ハムレット詩

 

ぞっとするような冬の寒さの深夜
デンマーク城は星と暗闇と静寂で、凍り付いたようだ。
天の川が天の花壇のように
ホレイショ―の瞑想のように流れていた。
そして、彼はハムレットより呼び出しを受けた。
王子は悲しみと苦しみの表情だった。ホレイショ―は友として同じ苦しみを味わい、涙を流した。
ついこの間、亡くなられた先王の亡霊が現れるとは。
ホレイショ―には亡霊を信じる哲学はない、にもかかわらず王子の真剣な眼差しは彼の心を動かした。
しかも、深夜、王は驚くべきことに、かって生きておられた凛々しい武人の姿で、ホレイショ―の前に現れた。
ハムレットを呼びつける声もかって生きておられた父王の迫力のある響きと情愛がこもっていた。

「行きなさるな」ととめたが、ハムレットは剣を抜き、邪魔をするなと言った。
ホレイショ―は退き、茫然としていた。しんしんと冷え行くデンマーク城の深夜、
亡霊が王子に語った言葉「緑の庭で昼寝をしていた、その時に、実の弟の手がしのびより、わが耳に毒をそそいだ。命ばかりか、王位も妃も、奪い去られた」

本当だろうか。亡霊がそんなことを言うのだろうか。ホレイショ―は今だ半信半疑だった、日ごろからのハムレット王子の聡明さは知っている。それに
ホレイショ―も亡霊を見たではないか。

それ以来、王子は狂気を装った。
彼の狂気を装う必死さはホレイショ―に大いなる不安を誘った。

ある時、劇団がやってきて、ハムレットの支持通りに劇をやる、
叔父の王も王妃も大臣もみなこの劇に注目した。
劇中の悪が劇の中の王に毒をのませる。

その時の王の様子を見ておけというハムレットのご指図。
王が動揺すれば、間接証拠を握ったことになり、亡霊の言ったことは確かなこととなる。
そうすれば、あとはハムレットの胸中にまかせるのみだが、復讐という恐ろしいこともありうる。

 

ハムレットの冷たい言葉で、恋人のオフィーリアが狂い川に落ち、花に囲まれてそれは美しい死の姿であったという話を聞いた。
友の悲しみを思うばかり。何という悲劇。
「小川のふちの緑の柳の木が、澄んだ水の鏡に映り、乙女は周囲のいくつもの美しい花で花輪をつくり、それを小枝にかけようとして、よじ登った幹が細かったのか、ぽきりと折れ、花輪もろとも水の流れに落ちて、水の中に美しい衣服で浮かんだオフィリアの夢のような汚れのない聖なる姿。

 

ハムレットはオフィーリアを愛していたのに。
ハムレットは狂気を装うために、わざとオフィーリアに冷たい言葉を浴びせた。
オフィーリアに誤解され、彼女は狂い、事故を招いた。
小川の周囲には緑の柳がいくつも生え、多くの花と燃えるような緑は水に映る

思えば、ハムレットが王になれば、もしや妃になるとホレイショ―が夢見たうるわしき乙女の華やいだ声と笑いが大空に響いてくる。


それにしても、ハムレットは長いこと、狂気を装い、イギリスに遊学させられ、
また運よく戻ってきた。

「To be or not not to be。That is the question。」ああ、このハムレットの言葉。
生きるべきか死ぬべきか
あれかこれか。どちらをとるか。
その悩みは人類の悩みでもある。
ホレイショ―の哲学によれば、友情を愛し、平和を愛し、亡霊の言うことなど信じることはなかった。
だから、この結末の悲劇が予感され、恐れていた。
しかしだ。ハムレットは父王の亡霊の言うことを信じている。


何かが決行される。叔父の王の独白は罪に満ちたものだったと、ハムレットは言った。
今や、異界に行かれた先王が昼寝している折に、弟が次の王位につきたいために、
兄の耳に毒をそそぎこんだという告白を聞いたハムレットは真っ青だった。

そして、ついにやってきた悲劇。
オフィーリアの兄はオフィーリアの死も父の死もハムレットのせいという現国王にだまされ、思い込み、ハムレットに剣の試合を申し込む。
しかも、王の指示により、剣の先に毒をぬったのだ。

ああ、王と王妃と大臣がいる席で
オフィーリアの兄とハムレットの剣の試合。

そのあと、王族がばたばたと死んでいく様子はこの世のものとは思えぬ。
今わの際のハムレット曰く 「あとを継ぐノルウェー王子に告げよ。
国が豊かになっても、礼節を忘れるような国にするな。ハラスメントなんてとんでもない」

城にひそむ病とは何だったのか
長い歴史の中で繰り返された権力闘争か
それともハムレットの狂気が招いたことか
ホレーショは異界へと魂を遊ばせ
ハムレットの元に行き
王子と会う 夢を見た。
これからは言論によって、国民の意思による新しい権力がつくられる
それをシビリアンコントロール
法の支配という
しかし、それでもデータのねつ造をする者が出るという予言めいたお言葉
そう言って、王子は消えた

【久里山不識のコメント】
ハムレット日記という中編小説を日本の小説家、大岡昌平が書いている。
小説で許されるならば、これを詩にする試みも許されるのではないかと無謀な思いを抱き、試みにやってみた。
その動機になったのは 最近、杜甫の楊貴妃の死の悲しみを歌った詩を読んだからだ。唐の玄宗皇帝と楊貴妃の恋愛と、それで玄宗が政治をしなくなり、それが元で国が乱れ、反乱がおき、皇帝は地方に落ち延びて行く途中で、部下の突き上げで、部下が楊貴妃を殺してしまうという悲劇をもとにした白居易の物語詩、長恨歌は、私の場合、高校時代の漢文の時間に習ったものであるが、杜甫も同じようなものを書いていることは知らなかった。
日本では白居易の雄大な筆致で有名だから、こちらの方が色々な観点から軍配が上がるのかなと単純に思っていたら、杜甫の短い詩の方が中国では評価が上と知り、ますます興味を持って読んだ。確かに白居易の半分ほどの詩だから、物語詩というものをこんな風に書けるなら面白いと思い、いつぞや見たハムレットで試みてみようと夢みたいなことを考えてみた。
まあ、へたくそとは思ってみたけれど、書いてみたからにはブログに出してみようという気になった。
読者の広い心を期待しないと、とても出す気にはなれないのだけれども、


{To be or not not to be。That is the question。}というハムレットの有名な言葉はいろいろな方が訳されているがここに一つだけご紹介しておきます。

「このままでいいのか、いけないのか、 それが問題だ。
どちらがりっぱな生き方か、このまま心のうちに
暴虐の運命の矢弾をじっと耐えしのぶことか、
それとも寄せくる怒涛の苦難に敢然と立ちむかい、
闘ってそれに終止符をうつことか。 死ぬ、 眠る、
それだけだ。」 【小田島雄志氏の訳】

 

 

 

 

 

 



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