麻也にもまた涙があふれてくる。
「だって俺はあんなことがあった…それを知ってしまったらいくら諒だって…」
麻也は絶望的な気持ちで続けてしまった。
「俺に指一本だって触れられるわけはないんだ…」
すると恭一は、どうしてか手に持っていたメンバーお揃いの携帯を渡してきた。
ボディーはメンバー共通だが、ストラップはシルバーの羽モチーフ。
それはまぎれもなく諒のものだった。
それを恭一は麻也の手に握らせてきたのだ。
「麻也の部屋に行くから何か貸せって言ったら、慌てて救急車に乗ったからこれか服しかない、っていうから借りてきた」
「諒に返して。絶対本気で渡してないよこれ
それに俺が触ったら汚れちゃうよ」
麻也はとっさに恭一に携帯を返そうとしたが受け取ってもらえなかった。
「いや今日は絶対パニクっただけだって。今頃後悔しているよ」
「そんなことないよ」
「いやそんなことあるよ、恭一…」
そう言ったところで看護師が入ってきて、また麻也の意識は落ちた…