そばにいるって言わないで | 私も一緒に連れて行って

私も一緒に連れて行って

夫と死別。ふたり家族でした


きっとそばにいるよ、もも夫さん

きっとそばにいるよ、ご主人様

この言葉、私達夫婦と一度も会ったことの無い

ブロともさんが言ったとしたら

「そうだよね。いつもいるよね」

と手を取り合ったみたいに、素直にそう思える。

そばにいるって意味がちゃんと分かっているから。

でもねぇ、この「そばにいるよ」って言葉

この、あんまりな悲しい経験をした事の無い人からは聞きたくない。

例えそれが従姉であっても。


従姉から手紙が来た。

開封するのはなんとなく、気が進まなかった。

この従姉からは

小さい時に可愛がってもらったが

年も離れているし遠方に住んでいるせいもあって

あまり仲良く過ごしたという思い出は無い。

この従姉夫婦は一度だけ夫と会ったことがある。

旅行中にちょっとだけ従姉宅に寄ったその一度だけ。

数時間。

会ったのも会話したのも、その日だけ。

だから、夫と二度目に会ったのは

夫は棺の中だった。


従姉夫婦は常識的な人達だ。

だから葬儀での礼はきちっとわきまえている。

葬儀の参列者らしくその時は伏し目がちだった。

でもね、やっぱり

悲しくないのよ。

私を気の毒とは思うんだろうけど

一度しか会ったことの無い私の夫が死んだって

悲しいはずないわよね。

正直、義理だからって遠くからわざわざ

来なくて良いのにって思った。

夫と全く面識の無い親戚達から香典が届いたし

お互い様ってものだったりするだろうけど

そうだとしても

夫の事は義理の中に入れて欲しくなかった。


火葬中の食事の席で

従姉夫婦は大きな声でなんだかテンションが高く

寂しい悲しい雰囲気は無いし

その場にいた夫の上司に「どうぞどうぞ」と料理を勧めたり

当然の事ながら夫の思い出話も無かった。

そして従姉は私に

「もも夫さん、もしかして旅行によく行ったから
そういう疲れが原因になったんじゃない?」と

地雷を落とした。

夏でも春でも長い休みが取れると

夫は自分の好きな様に旅行を企画した。

日本各地、二人で沢山旅行に行った。

それを従姉は言っている。

は?

何を知っているというの?


それまで年の離れた従姉をどこか尊敬というのか

物事をよく知っている人と見ていたけども

このひと言と、火葬中の夫婦の姿を見て

今までの思いが全く!全く無くなった。


骨壺を抱いた私に従姉は

「もも夫さんは、ももこののそばにいるよーっ」

は?あんたに見えるのか?

 

笑い顔でなに言ってるの。

 

大往生じゃないのよ。


そして今日従姉から来た手紙の最後に

「もも夫さん、そばにいるよ、きっと・・・」

また?またその軽い言葉を言うの?

「きっと・・・」の「・・・」の部分が気に入らない。

「・・・」って、感傷的か。

 

メールやネット系なら分かるけど「・・・」って

 

手紙で読むのは初めてだ。

 

ずっと文通している義母だってそんな事はしない。

 

 

旦那様が健在な従姉が

 

想像も出来ないはずの今の私に

 

一度しか会った事の無い夫の事で私を

 

慰めようと思って欲しくない。

 

どんな優しさを見せても傷口に塩でしかない。

 

喪うことがどんなものか分からないのに

 

そばにいるよ、なんて

 

簡単に言わないで欲しい。

 

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