幼児は意志のかたまりです。
そして能動的な意志は子どもの「光」です。
けれども一度「いや」と言い出したら聞かない、このころの子ども。
「ダメ」ばかりいってもかわいそうだし
かといって子どものいいなりになってばかりというわけにもいきません。
思い通りにいかず、こちらの気も滅入ってしまいます。
どう導いていったらいいのでしょう。
この時期の子どもの、「光」を生かしたまま導くのに最も有効な方法に
「生活のリズムを整える」ということがあります。
つまり一日の、そして一週間の予定を決めてそれを毎週繰り返すのです。
起床就寝、食事、遊び、お手伝い、幼稚園・保育園に行く、トイレ、お散歩などの時間をできる限り決めること。
予定表を作って貼っておくのもいいですね。
朝ごはんのメニューやその日に着るもの、お手伝いやお散歩のコースなどを
曜日によって決めておくのもいいことです。
ものを買ってもらえるのも「いつ」を決めておく。
予定がしっかり決まっていると、子どもたちはそれを楽しみに待つことを覚えます。
「食べれないかもしれない。」「もらえないかもしれない。」が子どもの不安を増長します。
いつ何が起こるかわからないから、余計に「今」に固執するようになってしまうのです。
それを防いであげるのが、意志を導く第一歩といえるでしょう。
お日様が毎日私たちに「今日は何時に上って欲しい?」と聞いてきたらどうでしょうか。
私たちが毎日、日の出の時間を考えなければならないとしたら
その責任の重さと頻繁さにノイローゼになっても不思議はありません。
太陽は私たちのこころや体の状態に左右されることなく
登るべき時に登り、沈むべき時に沈んでいく。
自然は揺るぎないリズムをいつも保っています。
それが私たちにとってどんなに安心感を与えてくれることかを、どうか振り返ってみてください。
私は二十年以上前に、当時赤ん坊だった息子を一人亡くしました。
その時は突然やってきた深い悲しみから気持ちの整理がつかず、
暗闇の中に一人取り残されたような絶望感に包まれました。
それでも太陽は、その確固たる自信と権威を持って
地球に朝をもたらし続けました。
眩しい朝日の中に、自分を超えた大いなる力の偉大さと平等さとを、はっきりと感じたものです。
季節が流れるように、太陽や月が昇るように、
子どもの生活全体を「どうしたい?」ではなくて
「こういうもんだ」にしてあげることで、子どもに深い安心感を与えてあげることができます。
世の中はいいところだという、人生に対する信頼感が高まります。
私たちが確固とした自然のリズムの中で、本当の自分を見つけていけるように
子どもたちは安定した生活のリズムの中で、安心して「個」を成長させていくことができます。
同じものばかりでは飽きてしまうのでは?
子どもの感性が育たないのでは?
子どもの個性つぶされてしまうのでは?
自然に湧いてくるそれらの疑問には次の記事で触れていきたいと思います。