東京オリンピック すべては「アンダーコントロール」から始まった

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深まる秋 ナンテンの紅葉


2013年9月7日ブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会総会の最終プレゼンテーションで、安倍晋三首相は福島第一原発の状況を「アンダー・コントロール」という言葉を使って、全世界にアピールした。

 

このとき、この言葉を信じた日本国民がどれほどいただろうか。

心ある国民なら、この言葉によってオリンピックの誘致が進むことには大きな違和感と同時に不安と疑念が生じたに違いない。

 

もちろん、当時、現在のこのようなコロナの猛威が発生するなど誰一人思いもしない事態であり、安倍首相としては、更なる政権浮揚や景気浮揚、国民の活力と国威発揚などこの機会を逃してはなるものかとの思いに溢れていたに違いない。

しかし、何であれ嘘をつくのはよくない。

 

あの「アンダーコントロール」と聞いた言葉の違和感、不安、疑念こそは、正体不明の新型コロナウイルスの不透明さと共通しているような気がしてならない。

 

 

11月15日国際オリンピック委員会バッハ会長が来日した。

新聞によれば来夏の東京オリンピックの開催について菅首相と会談し、両者の東京五輪開催の思惑が一致したと報道していた。

 

しかし全世界で拡大するコロナ感染者数の爆発的増加や死者の増加、ロックダウンなどの現状を見れば、直接の当事者たちの思惑がどうであれ、開催が大変厳しいものになっていることは素人でもわかることだ。

現実には大会開催に向けた先行投資の資金回収やスポンサーの問題、すでに発売している前売り券、各国選手団や外国人観客のコロナ対策など問題は山積している。

ただ、両者の思惑がどのように一致しようが、世界の国々・地域の感染状況が終息に向かわない限り、開催の、かの字も都合よくいくものではないはずだ。

 

超大国の指導者たちの発言も聞こえてこない中、何をか謂わんやという状況の中でのこうした報道はまったく意味をなさないのではないかと思ってしまう。

 

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夏の花 チエリーセージも咲き続ける

11月17日BS-TBSの報道1930の「東京五輪の是非を問う」では、もともと東京五輪誘致の2013年には世界一安い開催経費総額約7340億円とアピールして支持を得たが、2020年には約1兆3230億円になり、今ではコロナによる延期費用約4225億円とさらに国と東京都のオリンピック関連経費などをトータルすると総額3兆円超の経費が掛かるという。

それにしても、オリンピック誘致のための宣伝文句とはいえ、世界一安いオリンピックの開催が世界一高いオリンピックとなり、アンダーコントロールと言い切った福島第一原発では、溶融燃料の取り出しや高濃度汚染水処理などまったく手つかずの状況である。

 

その上、コロナによりオリンピック中止では全く泣きっ面に蜂だ。

すべては国民の税金である。

 

政治家はやめれば責任を取ったことになるのかもしれないが、国民に残された借金はとっくに1000兆円を超えている。

返済不可能な天文学的数字だと政治家や経済学者は他人事のように言っている。

オリンピックをやめても借金は確実に積みあがる。

 

11月16日TBSの300人アンケート調査では オリンピックの開催について

  • 開催すべき79人
  • 中止すべき153人
  • 延期68人の調査結果が示されていた。

 

現状では常識的な回答結果だけれども、いずれにしても東京五輪は「アンダーコントロール」でルビコン川を渡ってしまったのだ。

 

後の祭りだ。

 

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