2019年09月16日
日本オランダ戦、試合前の点描
埼玉スタジアム2002、通称さいスタ。そこで行われるサファイアカップ決勝トーナメント二回戦、日本対オランダ。決勝トーナメントとあって試合前から人出は多数、売店も長蛇の列。
ごった返す人波の中、小学校に入るかどうか、と見えるその少女は母親に手を引かれ、背番号18のレプリカを着ているーというよりはその身に纏っている、という方が近いだろうか?両の頬には日の丸のフェイスペインティングが入っていたりする。
少女は目にする全てが珍しいようで、目を輝かせて周囲を見渡しながら母親に手を引かれていたのだが、ある女性とすれ違いざま、目を見開いて声を発した。
「それ、みのりちゃんのまねっこ?」
ごった返す人波の中、小学校に入るかどうか、と見えるその少女は母親に手を引かれ、背番号18のレプリカを着ているーというよりはその身に纏っている、という方が近いだろうか?両の頬には日の丸のフェイスペインティングが入っていたりする。
少女は目にする全てが珍しいようで、目を輝かせて周囲を見渡しながら母親に手を引かれていたのだが、ある女性とすれ違いざま、目を見開いて声を発した。
「それ、みのりちゃんのまねっこ?」
言われた女性は足を止めて振り返り、自分を指差して疑問を顔に浮かべたが、少女の指が自分の頭に向けられている事に気付き、微笑んだ。
「ああーこれね。そう、そう。みのりちゃんのまねっこ」
「かなこははなちゃんのまねっこ!」
かなこと名乗ったその少女は胸を張り、くるりと背を向けると「18」の背番号を主張する。 母親が顔を曇らせて女性に頭を下げた。
「すみません、本当に子供で」
「ああ、いえ、結構ですよ。かなこちゃん?」
女性はよく言えば若々しかったが、それは童顔であることと小柄であることがその印象の大部分を占めていたかもしれない。彼女は通路の脇に退いて道を空けると屈みこみ、少女に目線の高さを合わせた。
「なあに、おねえさん」
「はなちゃん好きなんだ?」
「うん!かっこよくてかわいい!」
「だよね、ほんと」
そして次の瞬間、少女は顔を曇らせる。
「でも今日は出られないって…」
「ああ、そうらしいね…」
「せっかく来たのになー」
聞くと親子は今日が初観戦、少女の方はアメリカ戦の翌日からサッカーを始めたい!と言い出し、両親を慌てさせたという(笑)
「本当は家族3人で、のはずだったんですけど夫は仕事が入っちゃって」
「それも残念ですね…」
女性は軽く母親と言葉を交わし、もう一度少女に目を向けた。
「じゃあ、も一回来なきゃ。はなちゃんがいる時に」
「えー、でもきょうでおわり、ってみんないってるよ?まこっちゃんもいないし」
「頑張れって応援してあげてよ。みのりちゃんも」
女性は言いながら軽く吹き出す。
「どしたの?」
「ううん、別に。みのりちゃんだって頑張ってるしさ」
「うーん…」
「みのりちゃんは嫌い?」
「なんか、いつもおこっててこわい」
女性は爆笑した。
「あはは!そうだね、うん、いばりんぼさんだ。今度言っとくから」
言うと女性は立ち上がり、親子に一礼。
「それではこの辺で。いい観戦になる事をお祈りしてます」
そのまま去っていった女性の後ろ姿を見送りながら、母親は娘に問われる。
「…いまのおねえさん、みのりちゃんに言っとくって?」
「そうね…知り合いなのかしらね?」
そう言えば家で見た選手達のプロフィールの中に、藤田みのりとバッテンの髪飾りに関する記述があったような気がしたが、全てを思い出すことはできなかった。
「ああーこれね。そう、そう。みのりちゃんのまねっこ」
「かなこははなちゃんのまねっこ!」
かなこと名乗ったその少女は胸を張り、くるりと背を向けると「18」の背番号を主張する。 母親が顔を曇らせて女性に頭を下げた。
「すみません、本当に子供で」
「ああ、いえ、結構ですよ。かなこちゃん?」
女性はよく言えば若々しかったが、それは童顔であることと小柄であることがその印象の大部分を占めていたかもしれない。彼女は通路の脇に退いて道を空けると屈みこみ、少女に目線の高さを合わせた。
「なあに、おねえさん」
「はなちゃん好きなんだ?」
「うん!かっこよくてかわいい!」
「だよね、ほんと」
そして次の瞬間、少女は顔を曇らせる。
「でも今日は出られないって…」
「ああ、そうらしいね…」
「せっかく来たのになー」
聞くと親子は今日が初観戦、少女の方はアメリカ戦の翌日からサッカーを始めたい!と言い出し、両親を慌てさせたという(笑)
「本当は家族3人で、のはずだったんですけど夫は仕事が入っちゃって」
「それも残念ですね…」
女性は軽く母親と言葉を交わし、もう一度少女に目を向けた。
「じゃあ、も一回来なきゃ。はなちゃんがいる時に」
「えー、でもきょうでおわり、ってみんないってるよ?まこっちゃんもいないし」
「頑張れって応援してあげてよ。みのりちゃんも」
女性は言いながら軽く吹き出す。
「どしたの?」
「ううん、別に。みのりちゃんだって頑張ってるしさ」
「うーん…」
「みのりちゃんは嫌い?」
「なんか、いつもおこっててこわい」
女性は爆笑した。
「あはは!そうだね、うん、いばりんぼさんだ。今度言っとくから」
言うと女性は立ち上がり、親子に一礼。
「それではこの辺で。いい観戦になる事をお祈りしてます」
そのまま去っていった女性の後ろ姿を見送りながら、母親は娘に問われる。
「…いまのおねえさん、みのりちゃんに言っとくって?」
「そうね…知り合いなのかしらね?」
そう言えば家で見た選手達のプロフィールの中に、藤田みのりとバッテンの髪飾りに関する記述があったような気がしたが、全てを思い出すことはできなかった。