空き家をアイデアで活用。若者主体のNPO「ひらた空き家再⽣舎」が取り組む出雲の課題。

2020年11月21日古民家暮らし

止まらない空き家の増加の中で

空き家の増加が止まりません。

平成30年の総務省による住宅・土地統計調査によれば、島根県の空き家数は47700件。

5年前の同調査からは3000件近く増加しており、全体からみた空き家率も上昇しています。

出雲市でもこの状況は同様です。

平成30年の出雲市による空き家実態アンケートによれば、推定で空き家は2210件。

この調査によると、住宅数の多い出雲中心地域に次いで空き家の数が多いのが平田地域なのだとか。

ブログ主のわたし自身が在住しているのですが、この地域は入り組んだ地形が多く空き家がたくさんありそうだというのは実感として持っています。

NPO法人ひらた空き家再生舎

そんな平田地域に2018年に生まれたばかりのNPO法人があります。

ひらた空き家再生舎ロゴ
(C)ひらた空き家再生舎

以下は理事長の吉岡さんのお話をもとに構成しました。

NPO法人を立ち上げたきっかけが『実際の物件情報としては微々たる情報しか(ネット上に)掲載されておらず、現実の空き家の件数との乖離があるという状況を解決したいという想い』であったというこちらの団体。

『情報にアクセスしたい方々が一つの場所にアクセスすることで多くの情報が得られる仕組みを出雲の中で作ることができれば、移住候補地として出雲を考えてもらえるのではないか』と言う設立理由には深く納得です。

ひらた空き家再⽣舎は、本業を別に持つ地域の有志の集まりです。平均年齢30代と若く、建築関係や医療職・家具屋の方など幅広い構成。

自分たちの地域をより良くしたいという想いもあり、様々な取組みを行っています。

出雲市で用意している「いずも空き家バンク」という仕組みとの違いとしては、地域に根ざした活動(現段階では平田地域)を通して空き家所有者の方々へ空き家情報の掲載を働きかけ、空き家情報の掲載を促していく点。

母体としての行動が能動的である点が挙げられるとの事でした。

ひらた空き家再生舎のサービス

法人事業として掲げているのは、空き家の管理サービス。

外観確認・清掃・通⾵・通⽔・郵便物の郵送・草刈り・修繕といった、空き家を維持管理する日常作業を請け負ってくれ、報告書を提出してくれるそうです。

具体的な価格等についてはひらた空き家再生舎のホームページを確認してみてください。

以前、島根県の空き家担当の方へお話を伺った際に「近隣住民との関係が難しい」と聞いたことがあります。土地の境界や樹木の侵入などが困りごとなのだとか。

そういった問題に対して「遠方に住んでいて対応できない」というのが空き家のよくある課題かと思いますので、地域に根ざしたNPOがこういった対応をしてくれるのはとても安心できますね。

入居希望者への物件案内も

(C)ひらた空き家再生舎

居住希望で空き家物件を探している人にとっても助けになります。

不動産にもかからないような所有者の方がお困りの老朽化した物件(法人として不動産業は営んでいませんが)を安価な賃料、売値で入居希望者へ紹介することで、空き家を次世代に繋ぐ取組みも行っているそうです。

ホームページに掲載されている内容の物件はひらた空き家再⽣舎のみで把握している物件で、連絡をすると直接物件情報の詳細と現地への案内をしてくれるそうです。

今後も地域に根ざした活動を通して空き家所有者の方々へ働きかけ、空き家情報の掲載を促していくということです。能動的でアクティブな活動は地域NPO団体ならではですね。

若者らしくユニークな楽しい活動

ひらた空き家再生舎のフレッシュなNPOらしさはここから。

空き家の管理代行や空き家の利活用として、老朽化した空き家の壁を会員で取り払い地域イベントの出店スペースにするという取り組み。

空き家への入居希望者と一緒に入居までに必要な清掃活動や交流会の開催、空き店舗の利活用についての大学生との検討会などを行うという取り組み。

看護短大の学生さんのシェアハウスを空き家を使って作る取組みなども進めておられるそうです。

その他にもユニークな取り組みをいろいろ行われています。

空き家Bar画像
(C)ひらた空き家再生舎
空き家Bar画像
(C)ひらた空き家再生舎

この写真は「空き家って興味あるけど、実際に住むとしたらどれくらい手をかけたら良いんだろう?そんな事をテーマに物件をみんなでお掃除しながら語らいます」という、空き家をみんなで掃除する「空き家bar」というイベント。

若者が主体となっているだけあって、活動内容が自由で現代的ですね。

利用料金についても、『必要経費分の費用を頂戴しますが、その他、情報提供や所有者の方への連絡等に費用は頂いておりません。』とのことなので、まずは気軽に相談できるのも特徴です。

問い合わせに丁寧なお返事を迅速にくれたのも好印象ですし、ブログ主のわたしも同じ地域に在住していることから、個人的にはぜひ応援したい団体です。

→ ひらた空き家再生舎のホームページはこちら

終わりに

空き家には個性があります。中心市街地の中古住宅と里山の古民家では対策方法はまったく異なったものとなるでしょう。

すべてを一つの窓口でカバーするのはもはや難しいのかもしれません。

そして、行政に任せっきりでこの問題を解決することはできないのだとも思います。

自分ごととして空き家問題をとらえて活動するNPOや個人がこれから重要となるのは間違いありません。

出雲においても心意気をもつ空き家関連NPOが生まれたことはとても嬉しい事です。当ブログでも今後も空き家についてフォローしていきたいと思います。