木綿街道は古き良き出雲に出会う町。出雲大社への参拝前に悪縁切りの宇美神社へ。

出雲のスポット

妻入造の町屋が軒を連ねる風情ある界隈

宍道湖と日本海に挟まれた雲州平田の地で出合う、ほのぼのとした町並み。

「木綿街道」は、かつてこの地で盛んだった木綿栽培の市が立ったところです。

白壁の土蔵、切妻造の家屋、素朴な店構えなど、気持ちが和みます。

ゆっくりと時間を掛けるほど、味わいが深く濃くなる一帯です。

街道の巡り方を知る早道!まずは「木綿街道交流館」へ

この地に「木綿街道」の名が与えられたのは平成13年のこと。

観光地としてはまだメジャーではありませんが、徐々に訪れる人が増えてきています。

それほど広い地域ではないのですが、見るべきもの、味わうものの多いところです。

木綿街道の見どころは、一帯に保全されている出雲地方の伝統の数々。

その見どころと街道の巡り方を知るには「木綿街道交流館」を訪れるのが早道です。

江戸時代建築の旧長崎家を当時のままに復元した情緒溢れる建物です。

ここでイラストを多用したガイドパンフレットを手に入れましょう。

内部の見学は無料、和室喫茶も併設されています。

旅の疲れを癒やす木綿街道に連なるいにしえの建築美

街道に軒を連ねる町屋の建築様式は、旅行者の疲れた足を癒し、心を和ませてくれます。

本石橋邸

代表的な切妻妻入塗壁造・本石橋邸
代表的な切妻妻入塗壁造・本石橋邸

1750年ころ(江戸・宝暦年代)の建築といわれ、国の登録有形文化財に指定されています。

木綿街道でもっとも古く、また格式の高い建物で、切妻妻入塗壁造(きりづまつまいりぬりかべづくり)です。

市松模様のなまこ壁に出雲格子が特徴で、かつての松江藩主の御成座敷として造られた奥座敷も残されています。

座敷、お茶室、庭園の見学ができます。(見学料200円)

加藤醤油店

明治8年創業の自家醸造の醤油店で、典型的な切妻妻入塗壁造の町屋です。

保存状態が良好で、七宝模様のなまこ壁や出雲瓦が、状態良く見ることができます。

來間屋生姜糖本舗

創業は1715年ということですから、正徳5年のこと。

翌年が享保元年となり、徳川吉宗が享保の改革を始めた年ということになります。

建物は明治9年に建てられた、築140年余という切妻妻入塗壁造の町屋です。

当時の看板がそのまま使われているところも見どころです。

歴史的な店構えどおりの伝統の味

木綿街道には、昔ながらの伝統の味を守り続けている老舗がたくさん残っています。

懐かしい味が、きっと見つかります。

岡 茂一郎商店

昔ながらの醤油造りの岡 茂一郎商店
昔ながらの醤油造りの岡 茂一郎商店

木桶で仕込み、1年以上寝かせた熟成もろ味を絞って造られた醤油を販売しています。

店独自の商品「しょうゆアイスクリーム」も人気です。

無料で醤油の味比べが楽しめます。

岡茂一郎商店の醤油味比べ
岡茂一郎商店の醤油味比べ

酒持田本店

銘酒「ヤマサン正宗」の蔵元です。

出雲の名水、島根の酒米を使って、出雲杜氏が腕を振るった酒が揃っています。

建物は木綿街道最大の規模で、美しい出雲格子が特長の登録有形文化財です。

來間屋生姜糖本舗

生姜糖の元祖です。

出雲地方名産の出西(しゅっさい)生姜を使い、生姜の辛みと上白糖の甘みを調和させた和菓子を作って300年。

当時からの製法を守り、いまも炭火、手作業で作っています。

【店名看板も風情ある來間屋生姜糖本舗】

悪病退散を祈願した平田一式飾

オリンピックの聖火ランナーの一式飾り
平田一式飾り

木綿街道を歩くと、気が付けばあちらこちらに不思議な飾り物が飾られています。

なんだろう、なにかしら、と旅行者の足を釘づけにします。

人物や動物、ときに、どこか見たことのある光景だったり。

見つけたらじっくり観察してみましょう。

これが「平田一式飾(ひらたいっしきかざり)」です。

ぎこちなさも魅力の平田一式飾

暮らしの道具一式で作る民俗芸術

カチカチ山のたぬきとウサギの一式飾り。慌てるたぬきの舌は可愛いイチゴのお皿。
カチカチ山のたぬきとウサギの一式飾り。慌てるたぬきの舌は可愛いイチゴのお皿。

平田一式飾に使われている材料は、陶器、仏具、金物、茶器など、道具類一式です。

これらを使い分けて映画の主役、歌舞伎やおとぎ話の一場面、動物などを作ります。

その技術、趣向を競い合う出雲市独特の民俗芸術です。

毎年7月に、作品を持ち寄って宇美神社の平田天満宮祭で披露されます。

起源は悪病退散の祈願

ユーモラスな雰囲気の平田一式飾
ユーモラスな雰囲気の平田一式飾

1793年(寛政5年)に原因不明の悪病が一帯に大流行しました。

その退散を願って奉納されたのが、平田一式飾の始まりといわれています。

どのような道具が、どのように使われ、組み合わされているか、ご覧ください。

作者の創意、工夫、さらに茶目っ気が楽しめます。

宇美神社は縁切りの神様

平田天満宮のある宇美神社は、めずらしい縁切りの神様として知られています。

配祀神のおひとり、事解男神(ことさかのおのみこと)は悪縁を断つ神様です。

また、ご本殿右手には、摂社の「縁結神社」があります。

まず宇美神社で縁切りをします。

そのあと縁結神社を詣で、こちらで良縁祈願をするのが習わしです。

また、念を入れて縁結びを祈願する人は、縁結びで有名な出雲大社を詣でる前に宇美神社を訪れるようです。

宇美神社は、木綿街道の宮の町エリアにあります。

木綿街道へのアクセス・駐車場情報

出雲大社駅から一畑電車に乗って行く場合、木綿街道へは、出雲大社から一畑電車に乗りましょう。

川跡(かわと)駅で松江行に乗り換え「雲州平田」で下車します。

ここまでの所要時間約25分です。

松江から向かうのなら、一畑電車の始発駅「松江しんじ湖温泉」から約40分。

季節を問わず、車窓にのどかな風景が広がり、旅心がはじけます。

雲州平田駅から木綿街道へは、歩いて10分ほどです。

   木綿街道公式サイト

   しまね観光ナビ(島根県観光連盟)

お車の場合、駐車場は温泉ゆらりの正面です。

すこし分かりづらい場所に駐車場がありますので、注意してくださいね。