のと爺の古事記散歩

古希+4歳になってしまった爺さんが勝手気ままに古事記を散歩します。

超入門古事記(21)豊玉毘売の正体~まさかの??

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 ほとんどの方がお気づきと思いますが、ホオリが海の宮殿で歓迎され、長期滞在をしたという話は浦島太郎の原型です。ホオリが浦ちゃんで、トヨタマが乙ちゃんというとこでしょうか。浦島は玉手箱を開けておじいさんになってしまいますが、ホオリはどうなっちゃうんでしょうか?

 

目次

 

1.釣り針の発見

 宮殿で三年を過ごしたホオリは、ある日、大きなため息をつきます。これを見たトヨタマは心配になり、父の海神に相談します。相談を受けた海神がホオリに聞きました。

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カミ「なんやら、ため息ばかりついとるようで、娘が心配しとるで。どうしたん?」
ホオ「実は、かくかくしかじか、釣り針を探しに来たことを思いだしたんや。」
カミ「三年も経って思い出したんか?あんた、そうとうアホやで、はよ、言わんか
  い!」

 こう言うと、海神は大小全ての魚を集め、釣り針をとった魚はおらんか尋ねます。
すると、鯛が喉になんか針のようなものが引っかかっていることが分かりました。

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 こうして、海神は鯛の喉から針を取り出し洗い清め、ホオリに渡しました。そして、塩盈玉(しおみつたま・海を満潮にする珠)と塩乾珠(しおふるたま・海を干潮にする珠)を授け、一尋和邇(ひとひろわに)に乗せて地上に送らせたのです。

 そして、地上に戻ったホオリは、二つの珠を使って兄との戦いを制し、兄はホオリの守護人となったのでした。一件落着、チャンチャン!

 ところが、さらに大きな問題が・・・。

2.トヨタマの出産

 ある日、トヨタマがホオリの所に来て言いました。

トヨ「あんなぁ~、あんたの子供を身籠もってんねん。ほんでな、もう産まれる時期な
  んや。天つ神の子やさかい、海で生むわけにいかんねん。ほんで来たんや。」

 そして、海辺の波打ち際に鵜の羽根を葦に見立てて産屋を作りました。ところが、そ
 の産屋をまだ葺いている途中で産気づいてしまいます。うっ、うっ、生まれる-!!

  トヨタマは産屋に入るときにホオリに言いました。
「うちは、今、本来の姿になって子を生みますわ。そやさかい、絶対うちを見んといて
や、ええな!」

 さぁ、ここで思い出して下さい。
 見るなと言われて見ない男は200%いませんでしたね。イザナギも黄泉の国に行ったイザナミを覗いて、とんでもないことになりましたね。

 そんなことを言われたホオリは案の定、覗いてしまったのです。そして、ホオリが見たものは・・・・。

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 トヨタマが八尋和邇(一尋が大人が両手を広げたときの長さで、約1.5メートルほどの長さなのでその八倍)になり、腹ばいになり身をくねらせていたのです!!
そうなんです、奥様は和邇(サメ)だったのです!!

「マジすか!?」ホオリは驚き恐れて逃げてしまいます。

 覗かれたトヨタマはとても恥ずかしいと言って、生まれた子供を置いて、海への道を塞いで海神の世界へ帰ってしまいました。

 この御子は、鵜の葺(かや)を葺き合える前に生まれたので、天津日高日子波限建鵜
葺草葺不合命(あまつひこひこなぎさたけうかやふきあえずのみこと)と言います。

3.玉依毘売の派遣

 その後、トヨタマは覗かれたことを恨んだものの、恋しい心に耐えきれず、御子を養育するとして妹の玉依毘売(たまよりびめ)を遣わし、御歌を献上しました。

 ホオリもこれに答えて御製を詠んでいます。(御歌、御製は省略)

 そして、ホオリはその後、高千穂宮に580年住まわれました。御陵は高千穂の山の西にあります。高千穂宮はニニギが降臨して建てた御殿ですね。それにしても、580年?

 原文は「坐高千穂宮 伍佰捌拾歳(いほとせあまりやそとせ)」

へぇ~、凄いとしか言いようがありませんね。

4.今回のポイント

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①ホオリはボケ。
 
三年経って釣り針探しを思い出すとは、ボケとしか言いようがないべさ。

②奥様は和邇だった。
 
トヨタマの正体は八尋和邇でした。古代神話にはこのような異類婚の話が出て来ます。これは血筋を高めるという目的があります。ニニギは山の神の娘のコノハナと結婚することにより血筋を高め、さらにその子のホオリが海の神の娘のタマヨリと結婚することでますます血筋が高まったと言えるのです。

③タマヨリは初代神武天皇を生みます。
 詳しくは次回に。

5.まとめ

 さぁ、いかがでしたでしょうか。最後までお読みいただき、有り難うございます。

 トヨタマの正体がサメだったとは驚きですね。

 いよいよ、次回は初代神武天皇誕生の話になります。

 次回をお楽しみに!!

 


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