あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。 走り、願い、共に居る幸せを――

2024年4月11日

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本間芽衣子の底抜けの明るさと、優しさ

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』というアニメは見たことはないとしても、聞いたことがある人は多いのではないだろうか。

最初このタイトルを聞いたとき、私は少女漫画的なストーリーをイメージしていた。

しかし始まって、主人公は受験に失敗して引きこもりの不登校のぼさぼさ頭の男子、そしてヒロインの幼なじみの女の子は主人公にしか見えない幽霊という形で現れて、その様子をかつての幼なじみたちにさえ蔑まれたり変人扱いを受ける始末だった。

正直見ていて辛かった。
しかしそれを救ったのは、主人公である宿海仁太にしか見えない幼馴染の女の子、本間芽衣子こと、 めんまだった。

この物語の根幹を支えているのは、本間芽衣子の底抜けの明るさと、何もかもを包み込むような優しさだ。

どんな時だって前向きに、みんなの仲を想って、笑顔で、ピースで、そして宿海仁太ことじんたんを支える。

他人のために走る優しさ

そして、みんなに頭がおかしいやつみたいな扱いを受けながらも、そしてめんまを自分の妄想が作り出した夏のけものだと思い込もうとしながらも――それでも生来持ち得る優しさのためその彼女の想いに報いようと、自らの殻を破って、元の自分に戻っていこうとしていく。

私は数多ある作品の中で、ここまで他人のために走るアニメを見たことがない。

もともといつだって一緒にいて、楽しく仲良く過ごしていた超平和バスターズの6人がバラバラになってしまったのは、メンバーである本間芽衣子が不慮の事故で亡くなってしまい、それぞれが自分のせいであると罪悪感にとらわれてしまい、顔向けができなくなってしまったせいだった。

本当は6人でいるのが楽しかったはずなのに、いつからかそれぞれに想い人ができて、独占したいと考えるようになってしまい、そのバランスが取れなくなっていき、元来の自分たちではなくなってしまった。

しかしその中にあって、主人公のじんたんと、ヒロインのめんまは、いつだって5人のことを――自分以外の誰かのことを想って、そのためだけに行動して――そして二人はそれぞれがお互いを、自分のことを考えないことをもどかしく想って、その想いに報いようとしている。

いつだって自分自身になれる愛おしい居場所

この物語、劇的なシーンももちろん胸を打つのだが、なんだかんだ文句を言いながら6人のメンバーが秘密基地に集まって、だらっした空気になるその瞬間が、私はとてつもなく愛おしいものに感じてならない。

大人になっていけば、どうしてもグループと言うものはなくなっていくし、男女の関係と言うものが複雑怪奇化し、結果的に駆け引きなどを生んでしまう。

だけどこの物語で描こうとしているのは、年齢が変わろうと、環境が変わろうとも、それでもみんながいる空間を心地いいと思える、そんな現実にはありえないかもしれない、かけがえのない居場所のような気がする。

互いの違いは本当の意味で認め合っているからこそ、だから普段の日常生活で被っている殻を外して、元来の自分になれる、そんな居場所。

そして、利害関係や競争で溢れているこの社会の中で、心の底から他人の幸せのために全力で色んなものを投げうって走ることができるという、その美しさ、清々しさ、爽やかさ。

まるで、その場にいる、7人目になってしまったかのような錯覚。

メインの1つである花火が打ち上げられた時、私は思わず天を仰いで、その花火を探してしまった。

涙が止まらないめんまの本当の願いと、さいごのてがみ

最終話は怒涛の展開だ。

ずっと物語の焦点となっていた、亡くなったはずのめんまがなぜこうしてじんたの前に現れたのか?

それはきっとめんまには心残りがあって、それを叶えることで成仏するのではないか?

そのために過去の言葉であるゲームのレアキャラをゲットしたり、じんたんの病気で入院するじんたんの母親の快復を神様にお願いするためにロケット花火を作ろうとしたことを思い出してバイトで20万もの大金を捻出して知り合いの業者に打ち上げてもらったりする。

しかし結果的にめんまは成仏せず、しかしその成仏させようとした理由が各々の自分勝手な理屈だったことにめんまとじんたんを除く5人は気づき、めんま本人にその理由を聞こうとじんたんは走る。

しかしその時既にめんまは半分身体が透過した状態であり――めんまの真の願いが自らのものではなく、大切な大切な友達であるじんたの、前述した病におかされて亡くなる直前のお母さんから受け取った、自らの感情を抑えているその殻を破って泣いて欲しいというその願いを叶えることだったのだと。

そのため、そのためだけに、彼の前に現れた事実を知る。

その透き通るような純粋な好意は、それ以外の登場人物が本当に思春期特有の抑えきれない大時化の海のように感情を撒き散らして自己嫌悪するという場面を繰り返すので、そのギャップともいえる美しさと、それに報いようとするじんたんの必死さは、切実なまでに胸を打つ。

それによって6人の想いは1つに纏め上げられ、6人で元の超平和バスターに戻ろうとするが時すでに遅く彼女はもう誰にも知覚出来ないほどに存在は薄くなっていた。

しかし最後の力を振り絞りしたことは――あまりにも拙い、端的で、短い――だけど本当に心からの思いを込めた手紙を残すこと。

それぞれに書かれた言葉。

つるこへ。
やさしいつるこがだいすきです。

ゆきあつへ。
がんばりやさんのゆきあつがだいすきです。

ぽっぽへ。
おもしろいぽっぽがだいすきです。

あなるへ。
しっかりもののあなるがだいすきです。

じんたんだいすきです。
じんたんへのだいすきは、じんたんのおよめさんになりたいなっていうそういうだいすきです。

それを読んだときの感動は何度見ても何度見ても涙を抑えることができない。

それに対して、ポッポが俺も大っ好きだぜ!叫び、つるこが私も大好きよと続き、あなるが私も大好きと悲鳴をあげ、ゆきあつが俺ももちろん大好きだと絶叫して――そうしてめんまの気持ちが報われた、じんたの願いが報われたその瞬間がたまらない。

見終わった後の、切なく、悲しく、だけど胸のすくような感動が、暑くてうっとうしくて辛かったけれど、それが終わろうとする夏の終わりを感じさせて、どうしようもない気持ちになる。

夏になったら、必ずいちどは見てほしい、そんな感動作だ。

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