開運丸福ギセル

ああ、なんということでしょう!
庶民の味方であるリトルシガーにも増税の魔の手が忍び寄ってきました。

まさに四面楚歌、八方塞がりの状態です。
もう、安く煙草を嗜むことはできなくなるのでしょうか……。

――と、夜な夜な枕を濡らしておりましたが、泣いてばかりいては何も解決しません。
道を断たれたのであれば切り開くのみ!
幾ばくか残された活路を利用し、節約に励むしかありません!

そんな思いで買ったのが――。
開運丸福ギセル(大)です!

価格は1000円ほど。
現代煙管と言えば黒船と丸福! と言われているかどうか分かりませんが、それくらい有名な煙管のひとつです。
まあ、その理由は美味しく嗜むことができるからと言うよりも、価格の安さによるものだと思うのですが……。
それでも、初めて買うのに丁度良い煙管なのかもしれません。

わたしもその価格に惹かれて買ってしまったのですが……。
それでも後悔はしておりません! 黒船煙管との違い、とくと堪能したいと思います。

外観

長さは191mm。
羅宇(らう)の部分は竹のように見えますが金属で作られています。
なので、そう簡単に壊れることはありません。
たぶん。

そして、黒船煙管よりも煙管らしい形貌。
花魁というよりは庶民が持っているような感じの煙管ですが、この色あせぬ伝統的な形からは並みならぬ情緒を感じます。

ただ、情緒だけでは解決できない問題も。
この煙管は黒船煙管のように分解することができません。
火皿はもちろん、雁首(がんくび)や吸口(すいくち)も取り外せないのです。
どのように掃除をすればよいのか皆目見当もつかず、あれやこれやと一生懸命考えているのですが未だに答えはでてきません。
困りました。

喫味

煙管と言えば「刻み」と呼ばれる細く刻んだ煙草葉を使うのですが、それなりに高価なので一度も買ったことがありません。
なので、今回はスタンレー・アールグレイティーで嗜んでみたいと思います。

少量のシャグを摘まみ。
豆つぶほどの大きさに丸めて火皿に詰めます。
そして、ライターの火を近づけならが軽く吸い込むと――。
羅宇を通る間に冷えた煙とアールグレイの香り、そして仄かな甘味が口の中を満たします。

これは美味しいです!
若干、金属臭もしますが、それを差し引いたとしても美味しい喫味だと思います。

そして、なによりも感動したのが、いい加減に吸っても美味しく嗜むことができるということ。

黒船煙管を初めて吸ったときは、なかなか美味しく嗜むことができなかったのです。
あーでもないこーでもないと悪戦苦闘の日々を過ごしました。
ですが、この煙管はとくに意識しなくても美味しく嗜むことができるのです。
黒船煙管の修練が実ったとも言えるのですが、それ以前に構造の違い――煙管の長さと火皿の大きさが喫煙の難易度に大きく関わっているような気がしてなりません。

なんにせよ、これでしたら初めて煙管に挑戦する方でも美味しく嗜むことができるような気がします。

結論

とても気に入りました!
価格も安く、喫味も良く、節約もできる。
掃除のことさえ考えなければ文句の付け所はありません。

でも、やはり掃除は必要です。
煙管用のモールは消耗品ですし、100円ショップのストローブラシは短すぎて使えません。また、全て金属でできているので煮込むという方法もあるのですが、とても長い煙管なので、それを入れる使い捨ての鍋となると……。
他にも竹ひごや針金を使うという方法も考えたのですが、どれもしっくりきません。

ここまで掃除に骨が折れるとは思いませんでした。
そのような意味で言えば、黒船煙管の方が掃除をしやすいので良いような気も……。

うーん。

どちらも一長一短ありますので、もし、煙管に興味があるのでしたら掃除の黒船か喫味の丸福か、自分の生活や性格に合わせて熟考した方が良いのかもしれません。