前回、しもべのライオン天使に大きな仕事をうばわれたわたしは……。

 

 

テーマパーク跡地に行くときの中継地点としてつくった港町で、貸しボートの整備作業をさせられています。

屈辱です。

 

よそ見してたらボートは海に流れてくし、フナムシは気持ち悪いし、思った以上に過酷です

 

…………。

 

 

順番にボートの整備をしていたら、トリがボートに

 

なにを言ってるのかわかりませんが、どうやら彼もボートを漕いでみたいようです。

可愛すぎるぞ！トリ～。

 

…………

 

……

 

 

 

ねこねこが働かされている港町からテーマパーク跡地へと伸びる橋をながめながら、ひとり考え事をしているライオン天使。

 

アイアンゴーレムから依頼された件は解決したのですが、“村の拡張工事”という大仕事がライオン天使（建設担当）の職人魂に火をつけてしまったようで……

 

…………。

 

 

夕食を終えたわたしとトリが港町のホテルでテレビを見ていると、ライオン天使から電話が

 

江戸っ子職人のような訛りで長々とまくしたてる彼の話をまとめると……、「あの村を観光都市にしたい」らしいです。

 

 

う～ん……

 

もともと村人が３～４人くらいしかいなくて廃村寸前だったあの村を……住宅街にまで発展させただけでも、もう充分だと思うのですが……。

 

 

今回の拡張工事も伊４００の頼みだから引き受けただけで、本来なら村に住んでる人たちで解決しないといけない問題です。

 

 

それに。

 

なにより、わたしは『洋館攻略』という大きな大きな仕事の準備に戻らないといけません。

思いっきり言い返してやろうと、受話器をにぎり直して大きく息を吸い込むと……

 

 

「男の……、男の浪漫なんでさあ……。ご主人様……」

 

「へ……？」

 

「男なら、誰でも一度は“住宅街を観光都市にさせてみたい”って思うものなんでさあ……。たとえそれが勝ち目のない無茶な賭けだと分かっていてもね……」

 

「…………」

 

男っ気のない女ばかりの家庭で育ったわたしには、言い返す言葉が見つかりませんでした……

 

女の子たちが“お姫様になりたい”とか“お城に住みたい”とか夢を見ていたころ、男の子たちはそんな夢を見ていたなんて……。

 

 

「ご主人様ぁ……」

 

「ライオン天使ぃ……」

 

…………。

 

……。

 

 

 

というわけで。

 

わたしは「さらに遅れます」と環状線沿いの別荘で待つブリキ人形に電話で伝え、ライオン天使の夢のお手伝いをすることになりました！

 

 

 

まずは……、村の拡張工事によって増えた土地に『観光案内所』を建てる工事から。

 

 

観光地の施設なので、高級感あるテラコッタ製のおしゃれなＬ字型の建物に

 

建築費？

 

“男のロマン”のお手伝いができるのですから、命がけで採掘したダイヤも貸しボート屋さんで貯めたバイト代も惜しくはありません！

 

※お金は、よく考えて計画的に使いましょう。

 

…………。

 

 

二階部分は、これまでの建物と同じように少子化対策でドアをたくさん設置します

 

※第六十四話の時点でＰＳ４版マインクラフトのシステムも変更されて、ドアの数は村の人口に影響しなくなっているのですが……、説明を読まない大雑把な人間を主（あるじ）に持つライオン天使はシステムが変わったことを知りません。

 

…………。

 

 

高い天井に、高いシャンデリア

 

…………。

 

……。

 

 

 

こうして、湯水のごとく私財を投入し……。

 

（日記の上では）あっという間に『観光案内所』が完成しました！

 

 

ちなみに。

 

このオレンジ色の小さな建物は以前『お店』として建てた物ですが、現在はたくさんの織り機が並ぶ『縫製工場』になっています。

 

…………

 

……

 

 

 

ライオン天使が立て替えていた“完成披露パーティの経費”を清算するため、港町に居たわたしも村に合流することに

 

……。

 

 

跡地とはいえテーマパークを通るので……メイクしたり髪を巻いたり服を選んだりしていたら、到着する頃にはすっかり日が落ちてしまってました

 

 

ワクワクしながら完成したばかりの観光案内所の真新しいドアを開け、高そうな木材で作られた階段を上がって２Ｆへ……

 

「お金もってきたよ～」

 

 

　

 

お出迎えしてくれたのはライオンの天使ではなく、ゾンビのコンビ。

 

「あわわわわ」

 

どうやら、モンスターよけの照明の数が不足していたようです。

高級シャンデリアまで付けたのに……。

 

…………。

 

……。

 

 

 

照明をふやす資金を得るため……。

わたしは、第三十六話でこの村に建てた別荘を手放すこととなりました

 

いっしょうけんめい建てた、小さな“初代別荘”ともお別れです……

 

 

ギィィィィィィ……

 

引っ越し準備のために別荘の中に入ると、あらためてその狭さを実感します。

 

ゲームの世界にいる時くらい広い部屋で暮らせばいいのですが、すっかり染みついてる貧乏性はどうしても抜けきらないようです

 

 

って……。

 

なんかいる、なんかいるっ

 

この別荘には、番犬のオオカミくんしか居ないはず……！

 

…………

 

……

 

 

ネコ～

 

 

どうやら、わたしが留守の間にこっそり寝泊りしていたみたいです。

 

……。

 

 

見たことない模様。とってもカラフルです

 

アップデート（ｖ１.９１）されて、ネコの種類がふえたのかな？ 前からいたのかな？

 

……。

 

 

迷うことなく、ネコちゃんも一緒にお引越しすることに

 

…………

 

……

 

 

 

そんなこんなで。

 

観光案内所のオープニング・スタッフとして、ネコちゃんとオオカミくんにも働いてもらうことになりました

 

彼らの担当業務は、“ディズニーランドで園内をウロウロしている着ぐるみたち キャラクターたち”と同じ接客係です

 

 

 

あとは……、この村に観光客を呼び込むだけです！

 

 

 

 

 

後編につづく