リハビリテーションの評価で、よく歩行速度の計測をします。その時に私は1.0m/秒を基準にしています。
理由はご存知の方も多いと思いますが、1.0m/秒の歩行速度が横断歩道の青信号点灯時間を決める基準となっているからです。
横断歩道の距離(10mなら10秒)に+αの秒数を足したものが点灯時間になり、αの部分は交通量等で変わるそうです。
成人の歩行速度は約1.33m/秒で1分で80m。これは不動産屋やお店の地図の徒歩1分の距離の基準となっています。
安全に渡りきるためには1.0m/秒の歩行速度が必要となるのですが、東京都長寿医療センターの2012年の調査報告では、
・65-74歳: 1.0m/秒
・75-84歳: 0.84m/秒
と、渡りきるには結構ギリギリの速度です。
歩行速度の低下は歩幅や歩行率の低下からと考えられるので、一緒に歩数をとることで速度低下の一因を考えることができます。
実際に計測していても1.0m超えることの方が少なく、高齢の方やリハビリテーション対象となる方々には結構大変な速度だと思います。
基本的に点滅時間は横断歩道の半分の距離(10mなら5秒)が基準とされており、横断途中で信号が点滅した際に
半分行っていれば渡りきれる、そうでないときは戻れる時間となっているらしいです。しかし、信号が点滅すると焦りもあり、「渡りきるのか? 戻るのか?」瞬時に適確な判断をするのは、難しいのではと思ってしまいます。
歩行速度はリハビリテーションでは、10m歩行をよく計測しますが、訪問リハビリテーションの際、
屋外では、
・横断歩道等の白線:横断歩道は45~50cm間隔・車線間白線は5m間隔
・電信柱間:基本約30mですが、場所で異なるので歩測もする
家屋環境では、
・和室の畳
などを利用して計測していました。
特に訪問している時には、明確な変化を伝えづらい時も多かったので、モチベーションの維持に、分かりやすい変化の目安としてよく利用していました。現在は入院患者さんに対しては、まずはトイレなど、自宅内動線上の移動時間の目安にしたり、屋外歩行含め目標作りに利用しています。
これからさらに高齢化社会になっていきます。
信号渡れないからというのが、外出の妨げにならないように、リハビリテーションを通してお手伝いしていければと思います。
森山リハビリテーションクリニック 理学療法士 大山隆治
2019年2月16日公開
2020年5月28日更新