手を振る同窓生 ※意味が分かると少し怖い話。
彼女の名前は「小口菜摘」
故郷の同窓生で、憧れのマドンナ。そして幼馴染だった。
僕は久しぶりの帰郷で「コロちゃん」に会えると、胸が高鳴った。
母にはこの日に帰ると連絡してあった。
「新田駅」に着き、ふるさとの地に足をつけた。
道路を挟んだ先に手を振りこちらを見る女性がいる。
「?」
どこか彼女はコロちゃんに見えた。
顔を確かめようとしたら女性の前にトラックが横切る。
次の瞬間、女性は姿を消していた。
駅の人込みの喧騒で、意識は途切れた。
僕は昼食を取り、近くの神社にお祈りをした後、家に帰った。
そして愕然とした。
コロちゃんが、今日亡くなった、と母は言う。
今日?
一瞬目の前に現れた女性はコロちゃんだったのだろうか?
死んだことに気付かずに、僕に会いに来てくれたのだろうか?
コロちゃんは、新田駅より1km先で遺体で発見されたらしい。
事故死だった。