トラム基地攻防戦
※この記事は予約投稿です。
※句読点、改行、スペースなどを直さずに原文のまま文字にしています。
※ダッシュ部分は「ーー」で表現しています。
4月23日
共和国軍の拠点・ニケは、サバンナでも安定して水と食料が手に入る地だ。
ここに続々と集結する共和国ゾイド部隊。
「これだけゾイドが揃うと壮観だな！」
ウィルの一際元気な声が辺りに響く。
「何をのんきなことを言ってんだ…」
「ウィルはゾイドが大好きだからね」
4月30日
内陸部の帝国軍トラム基地攻略を目指し、昼もなお暗い密林地帯を行く共和国軍。
それを察知した帝国のクワーガ シノビ部隊が、共和国軍に襲い掛かる！
強化された大顎と装甲は鈍い光を放つ。迎え撃つのはシャイニングランス隊だ。
4月30日
ジェイのガトリングフォックス シャドーの弾幕を、クワーガ シノビは俊敏にかわし距離を詰めてくる。
「頼んだ！ユア！」
ラプトリア ラフィネがウィルのライガーを踏み台にして飛び上がり、スラッシュクローを浴びせる！しかし、硬い装甲に阻まれ、はじき返される！
「だったら…コイツでどうだ！」
「進化解放ーーエヴォブラスト！
4月30日
グオオオオォーーーッッ！！！
ライガー・ジ・アーサーの咆哮と共に、A-Zアーサーランスが展開する！
「受けてみろ！グングニルーーッ！！」
4月30日
まるで稲妻のように駆け抜けながら、クワーガ達を次々貫いていくライガー・ジ・アーサー！この姿こそが、ウィルが”銀の雷光”と呼ばれるゆえんだ。
シャイニングランス隊の活躍で敵を撃退した共和国軍は、体制を立て直し進軍を再開した。
5月4日
共和国軍の「トラム基地攻略作戦」。ウィル達のシャイニングランス隊も攻略部隊に組み込まれる。
「またアイツに出遭いそうな気がする…”黒の幻影”！」
「ウィルの予感は当たるからね…」
ユアは、胸騒ぎを覚えずにはいられなかった。
5月8日
帝国基地攻略作戦の、サーベルタイガー種やオオカミ種を中心に構成された、高速ゾイド部隊が荒野を駆ける。
「うはーっ！ファングタイガー 白虎形態はやっぱかっけーな！すっげー！！」
「またお前は…」
「ウィルはウィルね」
いつも通りの様子のシャイニングランス隊。しかし、戦場はすぐそこだ。
5月8日
「見えた！あれがトラム基地！」
トラム基地は、大規模なゾイドの発掘ポイントに隣接した帝国の大型基地だ。
「ナックルコングにバズートル！見えるだけでも30体以上いるわ！」
ユアの声も驚きの色を隠せない。この作戦次第で、今後の戦局が大きく変わる。
「ジェイ！手はず通りに頼むぞ！」
「責任重大だな…ま、やってやるさ！」
ガトリングフォックス シャドーの力の見せ所だ。
5月8日
ジェイはがトリングフォックス シャドーの光学迷彩を起動し、音もなく岩陰から出ると、慎重に帝国基地の守備隊の側面に回る。
基地正面に共和国軍のゾイド部隊が現れると、守備隊のバズートル達は一斉に砲門を向けた！
5月8日
基地のゲートを守るバズートル達が共和国軍に狙いを定め、砲撃を始めようとした瞬間ーーガトリングフォックス シャドーが側面からありったけの弾丸を浴びせる！
「なっ？！横から！？マズいーー」
フォックスの攻撃で混乱する帝国守備隊に向かって、共和国軍の主力が突撃をかける。守備隊の陣形は崩壊した。
「作戦成功ね！」「行くぞぉっ！！」
ウィル、ユアも敵をなぎ払いながらゲートを目指す。
5月8日
守備隊のバズートルの大半に損害を与え、一気に攻勢に出る共和国軍！
ユアのラプトリア ラフィネが機動性を活かし体調のナックルコングを翻弄する。その隙にライガー・ジ・アーサーのA-Zサーサーランスがゲートを突き破った。続々とゲートから突入を果たす共和国軍ゾイド達。
一方、ゲートの外でかく乱を続けるジェイのガトリングフォックス シャドーに、3連サイレントガンが命中する。
「なにっ！！」砂塵の中からディースのドライパンサーが姿を現した。
5月8日
帝国基地内を高速で駆けるライガー・ジ・アーサーとラプトリア ラフィネに弾丸が降り注ぐ！
ファントム隊・エリザのスナイプテラ BRUだ！
そして、基地の奥から数隊のキャノンブルを率いたヴァクのファンタイガー シュヴァルツが姿を現す。
「”銀の雷光”がこっちならディースは狐狩りだね。意中の相手じゃなくてキレてなきゃいいけど」
5月8日
「チッ、キツネの方か…ハズレだ」
ドライパンサーを前に身構えるジェイといら立つディース。
「俺はお前などどうでもいいんだがな…！さっさと終わらせてやろう！」
ディースの殺気の高まりに呼応して、ドライパンサーのバイザーが怪しげに光る。
「兵器解放ーーマシンブラストッ！！」
A-Zドライブレードがうなりを上げる！
5月8日
「ユア！突破する！援護頼む！！」
「ちょっ、ちょっと待ってウィル！！」
ライガー・ジ・アーサーはヴァクのファングタイガー シュヴァルツめがけて突進する。
「焦りすぎでしょ…ライオンくん」
ユアの援護を待たずに飛び込むライガーを、ファングタイガーのサンダーテイルが捉える！
「ウィル！！」
「あら、よそ見してちゃダメよ！」
「きゃあぁぁぁぁーーッ！！！」
スナイプテラ BRUの爆撃がラプトリア ラフィネ達を襲う！
5月8日
「ぐっ…大丈夫かユア！みんな！」
「ええ…！部隊もまだ戦えるわ…！」
何とか直撃は避けたが、損傷は大きい。
そこに体勢を崩しながら逃げ込んでくるジェイのガトリングフォックス シャドー！
「ふー危ねぇ！」「ジェイ！無事か！」
「ちょこまかと…！」
ディースのドライパンサーも続いて姿を現した。
ウィル、ユア、そしてジェイ。3人が合流し、陣形を立て直すシャイニングランス隊。
5月8日
「ファントム隊は俺達が抑える！本隊は敵司令部を！」
「頼んだぞ…シャイニングランス隊！」
ウィル達を残し、共和国軍主力は基地の奥を目指す。
「手を出すなよ…ヴァク、エリザ」
「言われなくとも」「お好きにどうぞ」
ディースの眼にはライガー・ジ・アーサーしか見えていない。
「ユア、ジェイ…そっちは任せた！」
ウィルとディース、因縁の二人が再び激突する…！
5月8日
牙を、爪を、刃を交え、激しくぶつかり合う2体のゾイド。
「さっさと散れェ！”銀の雷光”！」
「お前を倒す！”黒の幻影”！」
壊れた隔壁を越え、2体のゾイドの戦いは基地の外へともつれ込む。
「俺の力を思い知れ…！！」
「行くぞ、ライガー…！！」
最強の一撃同士がぶつかり合う…！
5月8日
「兵器解放ーーマシンブラスト！！」
ディースの強さへの執着は、ドライパンサーのA-Zドライブレードの回転を激しく加速させる！
「食らえッ！ーー地獄の三連刃（ドライスラッシュ）！！」
5月8日
「進化解放ーーエヴォブラスト！！」
ウィルの闘気に呼応してA-Zアーサーランスが展開！インパクトリボルバーの爆発が破壊力を上げる！
「貫けッ！ーーグングニル！！！」
5月8日
互いの必殺技のぶつかり合い…勝ったのはウィルとライガー・ジ・アーサー！ドライパンサーの左肩のシャドウシールドが破壊される。ライガーは更なる追撃を繰り出す
「ディースーー！！」
エリザは思わずスナイプテラ BRUの射撃を放った。
（ウィルは気付いてないーー！）
ユアはとっさに、射線上にラプトリア ラフィネを滑り込ませる！
5月8日
スナイプテラ BRUの銃弾はライガーをかばったラプトリア ラフィネの胴体に直撃！衝撃で機体が吹き飛び、激しく地面に叩きつけられるラプトリア。
「ユアーーー！！」
ウィルは冷静さを失い、ドライパンサーに突撃をかけた！
不意を突かれたディースはバランスを崩し、2体のゾイドはもみ合いながら崖下に転がり落ちていった…。
5月8日
「ウィルーーッ！！？」
ジェイは崖のそばに駆けつけるも、下を流れる濁流にのみこまれるウィルのライガー。ディースのドライパンサーはギリギリのところでエリザのスナイプテラに助け出される。
「このーーッ」
ファントム隊に敵意を向けるジェイを止めるユア。と同時に基地内から司令部制圧を意味する共和国軍の信号弾が上がる。
「チッ、撤退するぞ…」
ファントム隊は姿を消した。トラム基地攻略作戦は共和国軍の勝利に終わった。
5月8日
帝国軍がトラム基地攻防戦で敗北し、撤退したファントム隊。ディースは、戦いが不本意な形で終わる原因を作ったエリザに激怒する。
「何故余計なことをした！！！」
「アンタが危ないと思ったんだ！！」
「落ち着け、ディース。エリザもだ」
ヴァクが間に割って入る。
「俺は…強くなければいけないんだ！」
（こんな終わり方は認めんぞ…”銀の雷光”…ウィル・ミラー！！）
5月10日
「ハンターも今は大切な仲間だ。全力を挙げて捜索を続ける」
モリー大佐の指示が飛ぶ。トラム基地制圧後、各種整備と並行してウィルの捜索が行われていた。
「どうすればいいの…？お願い…無事でいて、ウィルーー」
ユアの悲痛な表情。
「ウィルならきっと大丈夫さ」
ジェイは自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
