「亜ヒ酸」って何か分かりますか。
本来、化学式 As(OH)₃ で表されますが、一般的には三酸化二ヒ素 (化学式 As₂O₃) の事を言います。要はヒ素の酸化物です。
ここだけの話 (ヒソヒソ話ですけどね) 、昔から毒物の代名詞ですね。暗殺に使用されたり、主君から死を賜ると、これを飲まされるのです。
ナポレオンの死因であり、和歌山カレー事件もこれです (痛ましい事件でした) 。
だから、使用法を間違えると大変なことになります。御使用の際は、心して使いましょう。とは言っても、素人が勝手に扱えるものではありません。
原料によっては害のあるものもあるのです。本当は扱いたくないのですけどね。
製法は乾式法と湿式法に分かれますが、どちらにしても有用金属を取り出した後の残渣と言われるスクラップなどから抽出されたものです。
環境規制が厳しい日本では製造されなくなり、主に中国で製造されていましたが、一昨年の習近平君による環境規制の下、製造工場が限られてしまい、タイトな状況になりました。
今までが、あまりにもいい加減過ぎたので、全地球的にはいい事なんでしょうが、使用側としては迷惑極まりない政策と言わざるを得ません。価格も高騰しました。
工場周辺は汚染されていますし、人的被害もかなり深刻だったんです(ひそひそ話ですけどね)。日本をはじめ先進国は中国の犠牲のもとに成り立っていたんです。
現在は原料調達は全く心配はありませんが、価格が高すぎるなんて叱られています。当然の流れと思って我慢していただきたいです。どうかお許しを・・・。
私に言わせると、臭いものに蓋をして、世界中が中国に頼り過ぎていたという事です。人的被害があっても目をつぶっていたという事です。だから安かったんです。
正当に製造する為には、正当なコストがかかるという事です。安いという事は、何処か真っ当ではない部分があると認識すべきですね(何を偉そうに・・・)。
半導体業界で、ガリウムヒ素 (ガリヒ素) と言われる、ヒ化ガリウム (GaAs) の原料となります。高速通信用の半導体素子や赤色 LED (ダイオード) に使われます。
皆さんがお使いのスマホの重要な部品として必ず使われている筈です。全世界で日本とドイツの二大メーカーがシェアを分け合っています。
ガリヒ素に使用される金属ヒ素はセブンナイン (99.99999%) 、エイトナイン (99.999999%) と言われています。よって原料の亜ヒ酸もスリーナイン (99.9%) を要求されます。
他の用途としては、亜鉛精錬 (詳しくは口が裂けても言えません) や、ガラス製造時の清澄剤 (消泡剤) として使われます。一時期液晶のカバーグラスなどに使われました。
液晶のカバーグラスは、薄く透明度が要求されますので、気泡を含んでしまったら命取りですよね。しかし、その毒性から現在はほとんど使われていません。
そうそう、液晶が持て囃され始めた約30年前、ある大手ガラス製造会社さんに頼まれて、このガラスのカレットを粉砕してくれと頼まれたのですが・・・。
カレットとは、屑ガラスの事です。屑と言っても溶かせば元のガラスになりますし、原料と混ぜると溶け易くなるので熔融には欠かせません。
以前から別のガラスカレットの粉砕を受託していたのですが、神妙な面持ちで、「作業者にはマスクをさせてください」とか、「作業後はシャワーを浴びさせてください」とか言うんです。
「シャワー設備費用はうちが出します」って、言うじゃない~。でも、それって「何か危険なものが入っているんじゃないか」って、断られますから~、残念~。
結局、粉砕加工会社に正直に事情を話し、粉砕をしてもらう事になりましたが、物がものなだけに内緒で第三者に作業させる訳にはいきませんよね。
お陰で私は、このガラス会社と喧嘩をした形になり、担当を外されました (泣) 。「べらんめ~、大手が怖くて、原料屋なんてやってられるか~」って、負け惜しみですから~、残念~。
昔はね、防虫剤や殺鼠剤 (江戸時代からある「石見銀山」はこれにあたります) にも使用されました。耳かき一杯が致死量と言われてますから「怖い怖い」。
だから取引に関しては細心の注意が必要です。毒劇物の取扱許可が無いと扱えませんし、譲渡証のやり取りが必要です (毒劇物取締法) 。
サンプルが欲しいと言われても・・・、あげないよ (ごめんね) 。もし紛失でもしたら切腹ものです。わたくし、まだ死にたくないですから~、残念~。
そうじゃなくても、「あ~悲惨な事になっちゅうよ」(ダジャレは止めろ) 。さ~せん。
「♬ あ悲惨惨と~ ♬〽」(コラ~)。
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