仕事から帰ってきた今日の左衛門佐。

桟橋に留めた船で、取締役と部長に贈呈する牡蠣を剥き剥きしていた。

 

先日、後輩の同僚に牡蠣をあげて毒見・・・、いや、

味見させたところ、

 

「めっちゃブリブリで美味しかったですよ!!ご馳走様でした!!」

 

とピンピンしていたので、「これは上役にあげても大丈夫だな。」と判断し、

牡蠣好きな取締役と部長に贈呈することにしたのだ。

もちろん賄賂というヤツである。

左衛門佐のように人に媚びず、自分を突き通す人間は敵を作ることも多い。

しかし、中には何もしなくても左衛門佐の味方になってくれる人もいる。

左衛門佐は敵に回る人間と味方になる人間とがハッキリと別れるタイプなのだ。

何もしないのに味方になってくれる人には、やはりそれなりの礼を尽くしたい。

 

牡蠣を剥き剥きしながら、

どーやったらクロダイ、釣れるかなぁ・・・。と考えていた。

しかし、クロダイについてはあまりにも知識と経験が乏しすぎて、

色んなことを考えても全て推測でしかない。

 

それと同時に、ヒラメ釣りのことも色々と考えていた。

こちらはクロダイと違い、豊富な知識と経験があるので目指している理想は高い。

先日も少し触れたが、

 

”アタリひとつで全ての情報を読み取る。”

 

これが左衛門佐の目指す究極のヒラメ釣りである。

ただ、こう書いても多分ほとんどのヒラメ釣り師がピンとこないだろう。

なんでそんなことが必要なの?

ヒラメなんてしっかり食い込むまで待てばいいじゃん。

そう思うのではないだろうか。

 

まあ確かに、沖でのヒラメ釣りならばそれでもいい・・・というか、

そうせざるを得ないところもあるのかもしれないが、

ここ浜名湖のヒラメ釣りにおいては決してそうではない。

浅い水深、川のように速い潮流、

あっという間にヒラメが食った場所から船が遠くすっ飛んでいく状況の中では、

必ずしも待つことがベストな選択では無いからだ。

 

じゃあ何で待っちゃいけないの?

 

その理由はヒラメ釣りにおいては、せっかく餌を咥えたヒラメが、

咥えた餌を放してしまうリスクが極めて高いからだ。

ならばもしアタリ一つでヒラメが最初のアタックで針のある場所を咥えたことが判別できるなら、

放される前に即アワセでヒラメを掛けてしまった方がいい。

 

では、何故ヒラメはせっかく咥えた餌を放してしまうのだろうか?

 

ヒラメが自分から意識的に咥えた餌を放す理由。

それは二つある。

一つは違和感を感じた場合。

釣り人はやたらとよくこの言葉を使いたがるが、

確かにこれは間違いなくある。

咥えたはいいが、やたらと抵抗を感じた、

ラインや針に噛みつき、違和感を感じた、

食おうと思ったけど餌が大きすぎてやっぱり止めた場合など、

特に活性が低い場合に起こりやすい。

 

もう一つは能力的に無理だった場合。

ヒラメは基本的にアタック成功して餌を咥えると、

海底にまっしぐらしてそこで落ち着いて餌を飲み込もうとする。

青物のように決して泳ぎの得意な魚ではないからである。

しかし送り込みが甘かったりあるいは送り込まずに餌が動いていってしまう場合などは

ヒラメは自分も一生懸命泳ぎながらなんとか餌を食い込もうとする。

しかし、その速度が自分の限界速度や体力の限界を超えると、

「ダメだこりゃ!!速すぎる!!」

と、咥えた餌を放してしまうのである。

 

そして餌を放してしまう、もう一つの大きな理由。

これはヒラメの習性というか、捕食性能に大きく起因するものである。

多分これは実際に釣りから離れてヒラメを飼育・育成したことがある人間でないとわからないだろう。

ただ釣りを通してしかヒラメと接したことが無い人には極めてわかり辛いが、

実際に毎日ヒラメに活き餌を与えて飼育したことがある人には簡単にわかることでもある。

 

それは、単純にヒラメが咥えた餌を飲み込むのが下手な魚だということだ。

これにより、活きの良い餌を使えば使うほど、

ヒラメが咥えた餌を放す確率が高くなるという矛盾が起こったりする。

 

おそらく活き餌でヒラメ釣りをしている人の99%は死んだ餌よりも

活きの良い、ピチピチした餌の方が絶対に食いが良い。

そう信じているだろう。

その気持ちはよく解る。

左衛門佐自身、釣り人としてやっぱり活きの良い餌を使いたいと思うからだ。

しかしあくまでも研究者や飼育者としての立場から見た場合、

(あくまでも釣りという観点において)

本当にヒラメは必ず活きの良い餌を好むのだろうか?

答えはノーである。

これは多分反論というか、納得しない人が多いだろうと思うが

釣り餌として考えた場合、ヒラメは活きの良い餌にも死んだ餌にも食いつく。

この違いは活きが良いか悪いかではなく、あくまでも

 

”ヒラメが餌として認識したかどうか?”

 

の違いにすぎない。

もし活き餌の方が死んだ餌より釣れる!!と言うならば、

その理由は単純に活きた餌の方が死んだ餌よりも綺麗に泳ぐからである。

もし死んだ餌でも活きている餌と同じぐらいに泳がせることができれば、

ヒラメは必ず死んだ餌にでも、活き餌と同じぐらいに食いつく。

これは左衛門佐が過去に行った数々の実験においても証明されている。

もし意地でも死んだ餌では釣れないと主張するなら、

ルアーでは絶対にヒラメは釣れないということになる。

それこそ、ルアーなんてただのプラスチックの塊にすぎない。

でな何故釣れるのか?

それはルアーがまるで活きた魚のように泳ぐからである。

クルクル回って上手く泳がない死に餌よりもルアーの方が遥かに釣れるのは、

ヒラメがこの、まるで活きた魚のように泳ぐプラスチックの塊を餌として認識するからである。

 

いずれようつべにも動画をアップするのでそうすれば多くの人にも理解してもらえるだろうと思うが、

とりあえずひとまずヒラメの捕食について簡単に説明する。

 

ヒラメは餌を発見すると、まずとりあえず餌のどこかれ構わずまず噛みつく。

この最初のアタックはイワシなど、自分より上層を泳いでいる魚にアタックする場合と、

ハゼのように自分の目線と同じ低層にいる魚にアタックする場合とでは違うのだが、

上層の餌を狙う場合はまるで稲妻のような電光石火、

低層の場合はゆっくりと近づくか、蛇のように体をくの字に曲げて一気にアタックすることが多い。

どちらにせよひとまずヒラメは何も考えず、餌に噛みついてまず動きを止めるというか、

なんとか餌を確保しようとする。

 

問題はここからである。

ヒラメの最初のアタックは超適当なので一体餌のどこに噛みつくか、

ヒラメ自身にすらわからない。

とりあえず噛みついてから考える。

運が良く、一発で餌の急所の噛みつき、動きを止めることができたり

頭を咥えて労も無く飲み込みことができたりすることもあるが、

運悪く尻尾の端に噛みつき、餌の小魚が大暴れして意図せず口から離れてしまうことがある。

(活きの良い餌のデメリットはココ)

また最初のアタックで横咥えすることには成功したが、

飲み込もうと縦咥えしようとした瞬間、失敗して餌を放してしまうこともある。

水槽やイケスの中ならもう一度追いかけて咥え直せばいい話だが、

実際の海の中ではそうはいかない。

ほとんどの場合、そのままサヨナラ~である。

 

要するに、ヒラメ釣りにおいては待ったが故に釣り上げるチャンスを失うケースも、

往々にしてあり得るのだ。

だからこそ左衛門佐はこの最初の初アタリと、

その後の感触からあらゆる情報を読み取れないものだろうかと考えている。

即アワセしても掛かるのか、

縦咥えするまで待たないと掛からないのか。

 

そして実際のところ、

その試みは成功しつつある。

風が強かったり、潮が速すぎたり、

仕掛けが理想通りに流れないときは全くもってダメだが、

船が理想通りに流れ、仕掛けが理想的なテンションで流れるときに限って言えば、

左衛門佐は最初のアタリとその後の感触で、

食ったのがヒラメかマゴチかそれ以外の魚種か、

食った魚のサイズ、

砂の上に出たりホバーリングしながらベイトを探していたヒラメが追いかけてきて食ったか、

(追い食い)

砂の中に潜っていたヒラメがいきなり砂の中から飛び出してきて食いついたか、

(居食い)

親針に掛かったのか、孫針に掛かったのか・・・。

それが大体50~60%ぐらいの確率で判るようになってきた。

釣り上がった魚を見て、

その魚種、サイズ、そして針の掛かった位置まで全てが

アタリがあった瞬間に頭の中でイメージした通りだった時の満足感は何事にも代えがたいものだ。

 

砂の中に身を隠すヒラメ。これがもし海底なら、その習性からまずこの時点で活性は低いと考えた方が良い。

 

左衛門佐の理想は、このイメージを限りなく100%近くまで近づけること。

これが出来るようになれば、アタリがあった瞬間にどれぐらいのサイズのヒラメあるいはマゴチが

どのようにして餌に飛びつき、今どこを咥えているのか判るので

いつアワセを食らわせば掛かるのかも判る。

竿を立てるだけで魚の掛かる沖でのヒラメ釣りと違って、

浅い水深、超速潮・横流しでの釣りを強いられる浜名湖のヒラメ釣りでは強烈なアワセは必須だ。

 

ただ、今一番の問題は竿。

左衛門佐は今、極鋭を除くダイワの船用ヒラメ竿ラインナップのほとんど試したが

残念ながらこれは完璧!というものは一つも無かった。

感度という点については合格点のものもあるのだが

やはり調子が合わない。

左衛門佐に開発させてくれればもっといいもの作るんだけどな。

ってか、こんな速潮の流し用ヒラメ竿なんか作っても需要なんて無いわな。

やっぱ浜名湖の釣りが特殊すぎるのか。

 

ただ、一つ思ったのはいつでも理想的に仕掛け流したいなら

ドテラに拘らず、やっぱエンジン駆使して調整しないとダメだな~ってこと。

例の超凄腕のおっさんはココが違うんだよな。

だから彼はどんな条件でも釣ってくるんだよ。

わかっちゃあいるんだけどな・・・。

 

さて・・・かなり脱線したヒラメの話はここいらで終わり。

明日は休日前だからまた半夜でクロダイ、挑戦してくるかな。

クロダイは浮き吹かせとか団子とか落とし込みとか色々な釣り方はあるけれど、

やっぱ自分が釣りたい釣り方で釣れるようになりたいからね。

あまり期待はしていないけど、明日は1枚だけでも釣れてくれるといいな。。。