土台のための明日へ その1

2023.中曽根カレンダーに向けて

https://adventar.org/calendars/9346

構想の段階で思ったよりボリュームがあり、頓挫しています。

恋愛小説、長いです。飽きたら切って。

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雨宿りの5月

 

2256年。この国はなんたって、まだまだ先進国を自称していた。だから、古典で見た名作アニメのように、小中高の学生には、もれなくアイドル、または高校球児になる権利があったのだった。

 

昔はオシとか呼ばれていたらしい。私、森山リコも、一応はそのうちの一人なわけなんだけども、なんというか、少なくとも自分が『数ある地方の中では実力のあるクラスに属するけど、雑多なうちの一人』であることは否応なく理解できたし、なんだか気分が乗らない毎日なんだよね、いやあ、参っちゃったな。

 

最近のアイドルは、

 

・古典とは違って『配点制』だ。観客にどのくらいポイントを貢がせたとかではなく、歌・ダンス・時には作詞作曲演奏も兼ねて、全てやばいほど審査ハーディ達の目が行き届く。

 

・とにかく部活動であり教育の一環だ。みんながみんな、将来の内申点の為に、ちょっと仕方なくやる。だから決して誰かに憧れられたり、持て囃されたりする内容ではない。まあ、上手くいくとそれはそれで、まあまあ楽しかったりはするんだけど。

 

・一番重要だけど、内申点を上手く稼がないと、男子は『カミカゼ』に、女子は『タチンボ』になるしかなくなる。前者は派兵で、後者は人形の中身だ。要するに回路内の嫌悪系だけ全部抜いて、人形の中でリアクションする仕事になる。まあ、死なないだけ男子よりマシかもしれないし、最近はこれでも昔より待遇は良いらしい。因みにアイドルとは言え地方の実力者止まりでは、その後の進路次第で将来的にこれらになる可能性もある。いやあ、やばい世界ですなあ。

 

てわけで、私リコは今日もガルウィングをガンガン巻いて練習を繰り返した。『後で痛覚やばいよ』とカナムが言う。『リコはストイックでアレだから』と詩織が笑ってくる。ばかにすんなやい。気にせず私は両手両足に、負荷を巻きに巻いてやる。

 

みんながみんな、将来が不安でたまらなかった。

 

そりゃあそうだ。100年くらい前から?とうとう、行き詰まりに行き詰まったお国が『国民である我々は、例外なく労働力となる為に生を受ける』とかいう、マジでウケる内容を憲法に、包み隠さず盛り込みやがったのである。

 

そんなこんなで、すったもんだがはじまった。良くないことに、未来というのは技術だけは発展していたので、食に困ることも土地に困ることも病に困ることも、昔ではあり得ないことに日々の疲れに困ることも無いのだ。じゃああとはみんなササッと働いてくれ。そういうことになった。

 

みんながみんな、生きることに辟易していた。当たり前でしょ。大昔にはあった、首の皮一枚で守ってくれるポーズはしていたはずの、人権とか尊厳て、無いっていうことが分かってしまった。ここに居るみんながみんな、人間ではあるけど商品でもあって、価値があれば上手に、無ければ雑に扱われますよ。要するにそんな風に『ジダイ』ってのが言うわけである。なんかそんな風に大人たちが嘆いていたんだ。

 

で、良く分かんないけど、その『ジダイ』の言うままに『価値』を高める為に『内申点』を上げて、その目的のためにアイドルとして審査員にバチくそ練習したダンス見せつけちゃう。一周回って私には快感だった。難易度の高い技は私に嫌でも生きてる実感をくれる。なぜって、やると次の日全身痛むから。

 

そんな訳で私は楽しかった。カナムは適度な抜き方でメニューをこなしていた。詩織はたまに、本当に辛そうにするけど、それでも弱音吐いたって、私達はなんだか同じ泥舟に乗らされたトリオだったから、なんだかそんなカナムも詩織も、私は結構好き。でも、いつか大人になって内申点を通知されたとき、それでも笑顔でいられるかは正直分からなかった。

 

そんな5月。雨宿りの季節。みんながみんな湿っぽーく笑顔を絶やさない傘の日に、なんか良いことなんか、これっぽっちも無いだろうなって、皆んなで言ってたあの日。私リコは、意外や意外の体験をしたんだ。いや、昔はそういうの、普通だったかもしれないけどさ

 

※※※

 

5月だから、もう定時制の部活動参入トライアウトは過ぎたはずだった。なのに、男子部のアイドルに急に補欠が入ったとアナウンスがされた。

 

珍しくもない。すごーーく厳しい部活、例えば高校球児とか数理とかから、ちょっと落ちこぼれてダメだったヤツがお試しで入ってくるのは良く聞く。でも、だとしても『準厳しめ』であるアイドルに来るのはなんかちょっぴり変な気がしたんだ。なに?一発逆転狙いだろうか。やめといたほうがいいぞーみたいな、みんなそう言ってる。

 

まあまあ、見てやりましょ。案外拾い物もあるかもしれないわ。詩織が対外的に言った。こいつ、弱音吐く癖にアイドルとしてはこういうキャラなんだ。そこがまた好きだったけど、要するに私たちは『地元では一応トップなので、見たくなくても見なきゃいけない』、要するに準部長職の立場。あーあやんなっちゃう。下手なダンスも歌もそんなに好きじゃないのに。

 

そうしてるうちに、お騒がせの奴らがやってきた。3人ユニット。名前は『あいみ』『えあー』『まりん』。なんだそりゃ。むかーしのキャラネームみたい。性別に合った名前にした方がせめて変な目で見られないし、そもそもコンセプトがわかんないでしょ。

 

なんか3人とも緊張してた。おう頑張れ頑張れ。わかるわかる。そうは言っても。3人ともやたらスキン(注.肌パーツのことだが、アバターとリアルの区別のない2200年代以降からは『容姿』の意味で使われた。それは金銭で売買される)は良さげ。お金持ちの落ちこぼれか。そういうの、見てて1番つらいんだけど。

 

そうする間に、彼らは歌いはじめた。

 

 

 

 

驚いたことに、3人とも全くバラバラのコーラスだった。複雑な構成で不協和音盛り盛りの曲。『あいみ』がバスバス、『えあー』がテナー、そして『まりん』がボーイソプラノだった。

 

 

 

 

はっきり言う。踊りは単純すぎてダメ寄り。

 

 

でも、違う。

 

 

 

私たちが、あんまり聴いたことがない音楽。

 

 

 

あいみのバスバスは低い。井戸を掘るかのようなあまりの支え、土台だった。そんな声が出るもんかとビビる。

 

対して、えあーのテナー。これが1番聴けたかも。中音域の太さはバリトン寄りだけど、高音も細らない頭声でイケてる。

 

そして、チームの中で1番荒削りな感じのするまりん。こいつは、

 

分からなかった。この時代は声を買えるという話はまだあんまり聞かない。買えるのはスキンと体の出力。

 

でも、なんていうか、

 

 

とても悲しい曲、何語か分からない合唱にいて、

 

男でも、女でもない、若者でも、老人でもない。何者か分からない、何かを訴えかけようとする、

 

異なる国の、どこかから来たソプラノであることだけは、何となくわかった。

 

 

 

 

 

 

曲が終わる手前、3人のユニゾンが一瞬だけ挟まる。却って合わせるのが難しい筈の同音でも、全く崩れない。それどころか、低、中、高音の大きさの粒がぴったりと合ってる。どれだけ練習したのだろうか。

 

そしてフィナーレだった。悲しい曲は、アイドルらしからぬ、そのままに悲しい曲として、マイナーな和音で締めくくられる。

 

 

 

静寂のち

 

 

 

どこからか歓声が生まれる。

 

 

 

日々を切り裂いて、何処かに連れて行って欲しかったみんなが、

 

 

きっとそれを待ち望んでいた。

 

 

※※※

 

審査抜きにして、新人がこんなレベルで場を盛り上げるなんて、普通あんまり無いことだった。

 

その日は地域アイドル部では新ユニットの話題で持ちきり。観に行く楽しみっていうのは何だかんだ緩い知り合い同士であったし、私たちもまあまあステージを沸かす時もあるけど、にしてもこういうタイプの鮮烈デビューって、中々無かったから、色々みんな刺激を受けたんだと思う。

 

で、1日の終わりを待たず、カナムが『はい提案。"部長職権限"使うべきです。明日から新人くんたちの指導者は私たちってことでどう?』と聞いてきた。

 

は?いきなり何?と素になって私リコが抗議兼質問。ちょっと意味が分からないっていうか。

 

しかし、詩織は郁子もなく『はーい!賛成!さっすがカナム先生。ナイスアイデアだよー』とか言い出す。お前なんだよその口調はよ。さっきのクールキャラどうなってたんだよ。

 

詩織は『もー。だってさあ?考えてみて?折角のスーパーユニットだよ?ピチピチの若い才能。これに釣り合うのは私たちくらいだよねー』と続ける。何が私たちくらいだよねーだ。お前ガルウィングの負荷で踊れなくて泣いてるだろ月3くらいで。

 

そういう抗議を全く意に介さず、カナムは『私はどっちかって言うとバスバスの子(あいみ)が好みかな。ストイックで、ちょっと負けん気強そうで』とか言い出す。なに?君たちなんか裏で話し合わせてたりした?

 

詩織は『やだー、ちょうど私はえあーくんがいいなーって思ってたんだー。眉キリッとしてて、でも細いけど筋肉質な感じ。バリイケメンだよねー!』とかのたまう。大丈夫かお前。そんな余裕あるなら明日からメニュー2倍渡すぞ。

 

そんな訳で私リコは堪らず、『いやあ、お二人さん。そういう古典の歴史にあるような、ボーイミーツガールもいいですけどね?忘れてません?これ部活動だから。内申点足りないと大人のおもちゃの仲間入りだよ。他人の練習見てる暇ないでしょ』と再度抗議をした。

 

『むぅ…なんともまあ』とカナム

『あれえ、あれあれ』と詩織

 

そして、『リコさ、隠してる』とカナム。『長い付き合いだからさ、ね?』と詩織。

 

大体もうこいつらは大丈夫じゃないな、やっぱ2倍のメニューで明日から行こう。そう思って帰り支度を始めた時、2人揃って言った。

 

 

 

『リコはやっぱ、まりんくんが1番イイっしょ』

 

 

 

咄嗟にちょっとスキンを調整しようとした。しかしカナムに羽交締めにされ、耳のスキンまで赤くなるのをもろに見られた。

 

『うひゃあ、可愛いなあ、リコ。リコがリーダーで私たちはメチャクチャ幸せだよ、おお四季の神様、なんという乙女の表情でしょう』最悪で意地悪でニタニタした笑みを浮かべてカナムが言った。

 

『いやー、"鉄のオトメ"とか言われてるリコにも、心惑わされる誰かが現れる時が来るとは…因みにさっきの赤くなる瞬間はバッチリアイカメラに残っていまーす。リコのファンにばら撒いてしまいたいなー、ナハナハ』、却ってうざったいキャラで詩織が煽り始めた。お前やっぱ明日の練習から負荷3倍な?ギャン泣きさせてやる

 

『あーじゃあまあ、3人の分担も決まった所で、既にもうコーチングの申請出しちゃってるから』とカナムが言った。

 

『流石カナム先生!仕事がはやいよー!バッチシバッチシ!』と詩織。

 

私リコは流石に恥ずかしいわ勝手に決められてちょっと腹が立つわで、『いや待って。マジで待って。本当にやるわけ!?私たちもライブの日程も学術テストの日程も結構押してるけど???』と何度目かの声を上げた。しかし、

 

『いいのかリコ?まりんくんの美しいソプラノを聴きならが2人っきりで熱血指導してあげなくて。あの繊細な声でリコの一挙手一投足に返事を返す様は中々耽美じゃあないか。ああ先生、僕のコンコーロの火に手を触れないでください。先生も僕も火傷してしまいます』とカナムがクネクネと寸劇をはじめた。殴ってやりたい。

 

『まりんくん、凄い細身でちっちゃくて、いやー、リコらしいよねえ。リコらしくいやらしい。あの声とあの小ささだからいいんだよねえリコは。うわー犯罪。指導が行きすぎて内申点剥奪にならないようにねー?』と詩織。ごめん、普通に殴った。

 

殴られて泣いている詩織をカナムと私で宥めつつ、最終的に2人は私に聞いてきた。『で?本当にやらないでいいの?』

 

※※※

 

 

 

武士の友達と近代サッカーをした

ぼくは部落の出身だ

 

けれど雷に撃たれた手前やらないわけにもいかず、ほんの少しだけ気の利いた、ぶよぶよ大学に行くことになった。

 

19歳のときだ。

 

そこで、ぼくは武士の家系に生まれたヤツと友達になった。ぶひよし(武頼)という名前だ。

 

ぶひよしは、只者ではなかった。明らかに只者ではなかった。なにせ、昼休みには教室の真ん中でみんなに聞こえるように、当時やってたラブライブのことりちゃんの真似をしていたのだ。

 

他にも、1回生次の教養の授業"子どものこころと発達"において、ビデオ視聴時スクリーンに高等学校が移った際、『あっ!俺この高校、行ったことない!』と叫んで立ち上がったことなどがある。みんなで頑張って押さえ込んだものだ。

 

 

そんなぶひよしと、今日は若者の街、下北沢に来ている。

 

 

ぶひよしは手始めに、高性能な仕込みカメラで、流行りのアニメのポップや、人々が歩くさまを、次々と景色として切り取り始めた。ぶひよしはこう見えてもカメラの達人であり、ぼくを撮ってもらったが、水も滴る大怪獣のような仕上がりにしてみせてくれたものだった。

 

そんなぶひよしの隣で、ぼくはいつも、決まって社会の話をする。『聞いてくれぶひよし、"摂理"という大変に大きくて厄介な敵がいる。こいつは人間なんて全てを監視していて、その人間がちょっとつけあがると、途端に試練の壁を与えるのさ。全く参った奴だ』、ぶひよしは『ほうナス』とか『ああナス』とか言いながら気にせずシャッターを押している。こんな風に僕たちの時間は流れていくのだった。

 

暫くして腹も減ったということで、街中の巨大なカレー屋に入ると、入り口にはぶひよしをお迎えするお店の人々が居た。いらっしゃいませ武頼(※ブライ)さま、今日はお供の方もお連れですか。

 

※ぶひよしは、表立っては日本国内では『ブライ』と呼ぶのが正式な名前だが、僕は敢えて字(あざな)であるぶひよしの方で読んでいる

 

暫くカレーが運ばれてくる中で、お供であるはずの僕の社会の話は、いついよヒートアップしてきた。だが、カレー屋のお姉さんが"小難しい意味のない話するなら出てけよ"と粉チーズで書いてくれた特製の焼きカレーを持ってきてくれて、僕は我に返ってぶひよしの近況を尋ね始めたのだった。

 

驚くべきことに、ぶひよしは、何らかの武士の組織の中で際立った活躍を見せていた。矢を弾く動きが特に速かったりしたんだそうだ。将軍さまはぶひよしを気に入って、ご恩をたくさんくれたそうだ。いいなあ。他にも、矢文を誤って斬ってしまった際にセロハンテープで修復して誤魔化して将軍に提出した話や、相手の武士を切り捨てる際にはまず足から狙って動きを止めるのが良いといった話を聞いた。ぼくもなんだか、武士になりたくなったな。

 

ぶひよしの活躍もさながら、私たちは近代スポーツクラブに出かけた。ここでは、肉体の動きのみならず、あらゆる身体の動き、特に心の動きが勝敗を決めるものが多く並んでいた。サッカーにしよう。そう2人で決めた。なぜかって、『ぼっち・ざ・ろっく』の主人公達が、ABCマートとコラボをしていて靴が安かったから。

 

『勝負はおりが貰うぜ。なんたって金の貰いでは負けちまったからな』と私が言う。ぶひよしは『武家の棟梁に勝ってみろ、なすだろ』と持論を展開した。

 

勝負

 

俺のライムとマイムマイムはいつものようにぶひよしのカメラで切り取られてしまう。だから俺は言葉を迅速に、秒速で後ろのワタワタの観客に投げる。ワタに力が伝わりグーっと伸びると、そこからA系とB系のビームが出た。とかく、ぶひよしは回転角速度を上げてますますカメラをふるい、次第にどんなものでも切り取り始めた。会場全部が仮想化されてるとはいえ、このままズタズタにされたら修理費で俺の財布もズタズタだ。俺は今までの仕事を諦めて、賭けに出た。ネットワークの構築を捨てて直にアルゴリズムアタックを仕掛ける。要するに武士との真っ向からの斬り合いだ。ぶひよしにとっては飛び道具を使う以外の俺は意外だっただろう、前に後ろにカメラの乱切りをしたが、俺の姿までは切り取れない。勝負だ。暗号化を兼ねた断口でおもいきりぶひよしのカメラを弾く。俺は勝利を確信した。しかし、思っても見ないことが起きた。弾いたはずのカメラが、なぜかジャイロ回転して俺の姿を捉えた。ぶひよしのヤツ、この速さでなんとまあカメラをバネ式のものに切り替えていたのだ。俺はたまらずに風景の中に閉じ込められてしまう。勝負あった。

 

※※※

 

帰りの電車の中で、暫く話した。武士の仕事は、忙しくても、最初は本音を言えば辞めたかったけど、最近では充実しているそうだ。茄子が実った。彼はそう表現した。

 

何だか面映くて、電車を出た彼にいつまでも手を振った。彼は、得意の茄子踊りで今日の一日を車窓から締めてくれる。

 

限られた、無量の時間の中で、俺たちはどこまで行くだろうか。遠くでなくていい、ただ、明日へ。そんなふうに思えた1日だった。

 

なんだか生きてる

これは「限界感情オタクアドベントカレンダー Advent Calendar 2022」の2日目の記事です。

 

https://adventar.org/calendars/7801

 

灌漑された農道を眺める。

緑の中に川の青だけが存在する景色は、

牛耳られた歓楽街の楽しさにも、

空爆された時代の背景にも、

誘発されたクーロン力にも無縁だった。

 

くねくねがやってきて、『やあ。おつかれですか』と俺に挨拶する。

 

俺ってば、そんな妖怪界一流のスターが今更こんな場所に来るのかとたじろいでしまって、ぎこちなく『どうもね。19の時に涙災を得てから、ずっとこの調子でございやす』と伝えるのがやっとだった。

 

でも、流石に彼は頭が良くって、俺のぎこちない技巧足らずの奇行にも、怯まずに『それは、痛かったでしょう。情動を擲ってしまえば、それはまた厄介な痛みに変わりますゆえ』と俺の不運を労ってくれた。

 

それから続けて、『この風景は良いですよ。私が足を運ぶ理由が本当はあなたにも分かるはずです。あなたがそうしたように、私もここを棲家とすることがある。我々に近しい人間は、多かれ少なかれ誰もがそうするのです』と答えたものだから、俺はなんだか泣きそうになった。

 

暫く、妖怪主と2人で経済学の話をした。アメリカの考え出した支配方程式は惜しかったが、リーマンショックを誘発するまで間伸びして使ったのが良くなかったという話や、ちゃんと無駄時間を考慮した制御が、人間界にもあるといいね、などと言った。

 

まあ、妖怪界は木の葉のお札で欲しいものが買えるし、彼らは欲得というものがあるのか怪しかったから、そもそも人間の消費行動を実態としてはよく分かっていないようだったが、それにしてもしかし、珍しい現象の中に生きている奴らも居たものだと理解は示してくれていたようだ。

 

それから、ずっと、ずーっと、俺たちは緑を眺めていた。気の遠くなるような遠い空の中に、俺は何も見つけることができなかった。くねくねは、いつものように飛んでいかずに、スーツとネクタイをしたベレー帽姿で、眉ひとつ動かさず、変わりゆく景色、この時代を眺めていた。

 

 

 

※※※

 

 

 

冬になった。

 

 

俺はもう、降参とばかりに、なけなしの金でビカビカした冬服を買い込み、せめて内部障害の痛みがそうした銀幕のベールに消えてしまうようにと祈った。

 

貯蓄はちょびっとしかないが、なに、構うこともあるまい。暫くは家賃も払える。俺には大した心配はあるまい。あるとしたら、今週の転職のオンライン面談でWi-Fiがぷっつりと切れてしまわないかどうかくらいだ。そもそも落ちて元々のような気がする。そんな気がしていれば、なんだか気が楽だった。自分が大層な奴だなんて考えにいく方が、遥かに努力家じゃないか。そんな風に俺は思った。

 

痛みと引き換えに何かが上手くなりたかった。だが、しかし今、よしんばそれが叶ったとして、叶えた次は何をどうしろと言うのか。得たはした金を以ってハッピーエンドとするのか?それとも更なる大きな成果を求めて野に降るのか?どちらにせよ、ランニングコストが凄まじいようだ。成功と拝金のカタルシスは、やりたい奴が、できる奴が、おのおの気軽に楽しめばいいものじゃあないのか。俺は少なくともできないな。そんな風に考えるのもまた、気楽だった。

 

仮想通貨で34万ほど擦った。いやあ、参ったな。始めた頃は1日に1000円近く利益が出たのに、今じゃもうパーだ。30円にもなりやしない。バカっていうのは俺のことだ。まったく、俺は人間社会にとんと馴染まなかった。一丁前に欲張りだけど、その癖、妖怪と同じようにお金を木の葉のお札と似た感覚で感じることしかできないのだ。要するに、金持ちになる才能は全くなかったんだな。それでいい気がする。

 

 

 

 

 

ゆらゆらと、ぬくぬくと、辺りをぶらつけば、

 

街、街、街のラッシュ。それを過ぎれば田舎道になる。

 

人間型の生き物はすごいな。だって、こんな大建築、きっと群れになって何百年もかけて造ったんだろ。どういう体力してるんだか。俺はその恩恵に預かることに、なんだかでも、欲得をバカにしていた身としてはおもはゆかった。

 

 

 

 

今年の冬は寒いなあ。

でも、不思議と、寒い日の方が、陽のオレンジと街のネオンサインが、寒さの時間能力を受けて、乱雑さのない美しい光になるようで、俺はかじかむ掌に替えて、そんなものをじっくりと楽しむ年齢になっていた。

 

 

 

 

バカも、産まれてきてしまうのだ。

上等じゃあないか。

バカとして、生まれたからには、隅っこで蹲って、不親切な看護婦に看取られて、死んでやろう。

 

長い年月が、過ぎゆく。街も、農村も、変わりゆく。俺も、あいつも、みな死ぬ。だが、なにがしかの系譜は、ただ脈々と続き、今日も巨大建築が少しずつ出来上がりながら崩れゆく。俺たちはバランスしている。いいなあ。なんだかそんな気がしたんだ。

身体が痛えし仕事がつらいめう

開幕から早々、『いや、キミ病気を理由にして定時上がりばっかじゃん、何が辛いの』とか聞かないで欲しいマジで

 

いや、それはそう、ホントにそう。

 

隣の部署では80時間残業とかがマジで横行してて頭が上がらないわけですしはい、僕としてはハイ。

 

大学の友達なんか150時間残業とかを体験してて、思わず『精神と時の部屋はずるくね?』と聞いてしまう程でした、ハイ。

 

いや、でも、なんだか、要するに、俺たちは

 

 

 

 

 

仕事がつらい

 

 

 

日常がつらい

 

 

 

 

 

マジでこう、双極性障害だかなんだか分からないけど、ADHDによるドーパミンの異常分泌なんだから知らないけど、身体がスルスル動いてたと思ったら、いきなり『うひょーい!しんどーい!わっはっは!どわっはっは!』みたいな調子で床に突っ伏してしまう。

 

ここだけの話ですよ?マジでテレワークだからさ、こういう時ね、俺は『射精』してその場を乗り切ってるわけ。

 

 

 

 

 

おいそこ、帰るな。

 

 

 

 

 

マジな話なんだこれは。聞くも涙語るも涙の奴なんだよマジで。

 

 

 

いつから始めたのかももう覚えてないし、でも、確かに感じたんだ

 

 

 

『あっ、"射精"するとなぜか仕事に戻れる』って

 

 

 

それ以来俺はもう、忙しい日とか毎日仕事中シコって、この戦場を駆け抜けてきたんだ。

 

 

 

去年なんか、5日間×2回ずつシコってた覚えがある。最後の方、極めて痛烈な痛みが局部に走っていたけど、逆にその"痛み"を現実に引き戻すための"リアル"として利用してたね。俺が何言ってるかわかる?俺はわかんない。

 

そんでもって仕事終わったら、シンフォギアの立花響ちゃんのキャラソンを聴きながら、『へいき!へっちゃら!"覚悟"したから!』って響ちゃんと一緒に歌ってた。マジで。

 

でね、聞いて欲しいんだけど、いや、マジで自分語りになって悪いんだけど、その間仕事上で以下3つの出来事が起きたんだ。わかる?俺はマジで今自分語りがしたいわけ!聞いてくださいごめんなさいちくしょうめ!

 

【1】マネージャーに『こういう細かい仕事全部なすーんさんに任せてるから、来年も、助けて♡』って言われた

 

どうだこのヤロー。下っ端魂炸裂じゃい。いやどうだじゃないよ。給料上げて。死んじゃうよ俺。いや、こんな僕でもお役に立ててね?嬉しかったけども

 

【2】定常業務とは別にDX化プロジェクトに成功したが、効果が出過ぎて先輩と揉めて解散になった

 

頑張りました。ただ頑張りました。頑張りすぎましたね。先輩が僕の怒鳴り声に怯えてたのは人伝に聞きました。いや怯えてないで成果を喜べよお前!例えプロジェクトとは名ばかりで俺1人の成果物だとしてもよ!くそー!

 

いや、100歩譲ってこれはいいんだ。後々部署転換に繋がったわけだから、これはいい。しかし!最後のがやばい!

 

 

 

【3】ストレスの為か2月から6月末にかけて全身が筋肉痛となり、毎日痛む体で過ごした

 

多分ね。何かのヤバい状態一歩手前でした。わかんない。もう過ぎちゃったし、思い出したくもない。覚えてるのは、週1で通ったスポーツマッサージャーのお姉さんの『コイツは…もう確実に今後の就労はダメだな…』という感じの引き攣った笑顔だけでした。はは

 

 

 

 

俺たちは、自由への奴隷だ

 

 

思えば、俺たちは、生涯をシコり続けてきた。

 

 

寒空の下、金が無さ過ぎて、昼飯に500円かけられないみたいな謎の大学時代を過ごす俺たち。

 

でも、もういいんじゃないか。

 

休もう。

 

休みが大事だ。

 

俺たちは良くシコり、よく働いた。

 

戦士のドシコりだ。

 

こんな誇らしいことが、他にあるか?

 

 

 

 

成果が出た人も、出なかった人も

 

全力を出した人も、出しきれなかった人も

 

 

その実、全員が、沈みゆくこの国を引き上げた、歴史の立役者だ

 

 

 

俺たちは帰ろう

 

 

我が家に

 

テレワークではなく

 

本来あるべき我が家に

 

 

 

 

愚痴が長くなっちゃった

 

 

とにかく

 

 

テレワーク下の集中のしすぎとストレスには、気をつけましょう!

 

ーおわりー

歩くのを辞められない

俺は仕事がもしかして速いのではないか?

 

なんていう、中堅に入った社員には、良くありがちな、実に傍迷惑な妄想を最近している。

 

多分、コレを見た人で、私をある程度知る人なら、みんなこう言うだろう。

 

おいおい君、そりゃあ無いだろ。あれだけ仕事にミスが多いと指摘されてるのに。こないだだって遂に他の部署から『お前はマジで工番の書き間違いを辞めろ!』とメチャクチャ怒られたじゃないか。一体そんな君がどうしてそんな訳のわからない得意調子に浸っているんだ。

 

まあまあ、そんなに怒らないでくれよ。妄想くらい人間だものするさ。それに、俺にはこう言うだけの根拠が、ほんのちょびっとあるんだ。

 

 

 

根拠、

 

それは、僕自身の発達障害だか、双極性障害だか、もしくは、そのハイブリッドから成る、『過集中』という現象にあった。

 

要するに、僕と同じ構造の脳の人は、何らかのことに過度に集中して取り組み、寝食や身体の不調なんかを忘れて、メチャクチャに気が済むまで、一つのことに対して取り組んでしまう。

 

去年から、なんだか仕事が多かった気がする。

 

細々した案件に、偶に中規模〜デカい工事の案件が来ること、なんと90件。ひたすら僕は手を動かし、やっとこさ慣れてきた(前述したようにミスは多くよく怒られるんだが)設計士の仕事に邁進していた、と自分では思いたい。

 

マネージャーにも、あなたはミスが多くて3年目にしてはちょっと…なんて言われながらも、年末のドチャクソ忙しいときに、『いやあ、前はこう言う細かい仕事は私がやってたんだけど、今はあなたに全部任せてる』と確かに言われた。帰りがけに、『来年も助けて』なんで言われたのは、嬉しかったけど、来年また激務かあと思って、少したじろいだよな。

 

 

 

そして

 

 

それと全く並行して、俺はプログラマとしての仕事を、ちっちゃく、少しだけしていた。

 

記事に残るから、あんまり詳しくは書けないんだけど、それはテスト段階まで来て、良く動いていたように、いや、良くできすぎているように、見えたんだ。

 

結論から言えば、それは先輩から、(理由は後述するんだけど)強いstopがかかって、プロジェクトとして影響に凍結された。

 

先輩とは、喧嘩になってしまったし、正確に言えば、喧嘩になったから凍結しちゃったんだけど、

 

でも、後からよく考えて、家族から、『プログラミングをしてる時、トイレ以外席から立ち上がらずに11時間くらい作業をしているから、心配になった』と言われたり、

 

 

のちに、あの時、先輩が、急に狂ったように見えたけれど、

 

 

 

ともすると、先輩は本当に狂ったのではないか??あの一瞬だけ。

 

 

 

 

そんな、なんだか、心霊現象なのか、はたまたタチの悪いホラーなのか、

 

 

分からないような時間が、俺の20代後半を、のったりと包み込んでいた。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

最近、歩くのを辞められない

 

 

 

 

どんなにゲームがしたくても、アニメが観たくても、それを身体が全く受け付けない。ゲームをすれば、アニメを見れば、立ち所に具合が悪くなり、寝込んでしまう。

 

なんでなのか、分からない。

 

たまたま通うことになった、スポーツマッサージの担当の先生に、言われた。

 

 

『歩くのは確かに良いことですが…あなたのように"考えるために"という理由で、日差しが強い中4時間ほど週末は歩く、というのは、歩いた後でストレッチを入念にして頂かないと…その…』

 

 

脛を押してもらうと、正に痺れるような痛みが走って、メチャクチャだった。

 

 

 

 

他にも、俺の身体は全身が凝り固まっていた。例えば左腕。何故右利きなのに左手がここまで固まるのか理解できないと先生に言われた。

 

僕は最初、『ああ〜…中学の頃野球部だったので…バットは左手を軸に振るので、そのせいかもしれませんね…』みたいな、よくわからない受け答えをしていた。

 

しかし、遂に先週の金曜日、俺はその原因に気がつくことになる。

 

俺は、仕事中、右手でマウスを操作して製品情報をスクロールしながら、左手で猛スピードでメールや見積もりを打っていたのだった。

 

思考した通りに、思考した早さと同じくらいの勢いで書くメールは、なんだか、ラットに大麻を注射した時の、カラカラの周り心地のようだった。

 

 

因みに、余談だけど、今1800文字目にして、俺は文章の打ち間違いはあっても、構成を差し戻すことが全く無い。思いつくままにこれを書いて、今右手親指が猛スピードで動いているのにようやく自分で理解をしているところだ。

 

 

俺は、はたと思う。

 

 

 

あれ、

 

 

俺は『狂ったように動いてる』のか?

 

 

 

そして、『そのスピードに自分で気づけない』のか?

 

と。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

俺は、歩いている途中に考える。

 

 

 

人間とは何か、生きるとは何か、なぜ人間は人間であり、欲得というものに従い生き、しかしよく特に逆らうと何故逆に利得となるのか、そんなことをずっと。

 

 

 

俺はヘタをするとこんなことを仕事中にも考えているんだ。

 

 

 

 

なぜか、考えることが、止められない。

 

 

 

人の表情と、言葉を口にした際のその言葉の裏側、彼ら彼女らが、何を苦しみ、どう感じたのか、飽きるまで永遠に考えていた。そしてまだ、飽きはやってこない。ともすると永遠にやってこないのか、これは。

 

 

誰かが、俺の、ファッション・ジョークで首に下げている、緑色に乱反射するゴーグルを付けて、こう言った

 

 

『要するにさあ、君が観てるのは、こういう、"危うい世界"なんだね…それを君の魅力だという人も居るから、イタズラには止められないんだけど…』

 

 

ああ

 

 

 

なるほどな、なるほど。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

なんだか、気持ちが悪いくらい、給料が、ちょっとだけ、微妙に良い(完全に良いとは言えない。ここだけはリアルだな)

 

 

同期の中で、或いは会社の中で、俺だけが残業をしていない。『病気だから、量の分担が少ないんですよね?』マネージャーに聞いたら、『ええ、やり易そうなパターンを考えて渡しています(量については言及しない)』だって。

 

 

何かが、変な気がする。

 

 

俺だけ、なんか、仕事をしていて、楽しそうな気が、

 

 

社会人になり、徐々に、死んでいく、友達の顔が、

 

 

克明に、おれの心を、捉え、揺さぶる

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

マルクスという偉い人が言うには、『産業革命による機械の登場により、仕事とは、つまらない、最低なものに成り下がった』

 

 

 

ひょっとして

 

 

 

あなたは、コレを言っていたのか

 

 

 

俺は、

 

 

 

 

僕は、脳に、治療で磁気なんかを浴びているから、

 

 

 

だから、機械とハイブリッドである俺は、

 

 

 

一人だけ、『機械労働』が、得意なのか???

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

人間とは何か。

 

 

 

人々が苦しみ喘ぐ社会を、俺が苦しみ喘いでいた社会と、微妙にズレたその両者が結ぶ姿勢角に、段々と、俺も、理解が及び、しかし、それをどうすることもできないのではないかと、何かが叫び俺に言うのだった。

 

 

 

 

電車の中で、介護士の方が、介護に疲れて、被介護者を間接的に殺害してしまったニュースが報道されていた。

 

 

その人の貰いは、信じられない程だった。普通、こうした、禁制帯の中に居る人の給与というのは、歴史的に観たら弾まないといけない筈だと、俺は直感的に思った。

 

だがしかし、そうではない。介護を必要としていた人は国に沢山居たし、それが問題とすらなっていた。なっていたならどうにかしろと、しかし、現実が、俺を機械として扱うように、俺が彼らに今今何かを施せるほど裕福ではないように、そして、禁制帯というベールすら剥ぎ取り、機械と資本主義の登場が、その仕事を逼迫させたように。

 

 

 

俺は、何もわからなくなり、友人達に目を遣るが、彼らは、日々の仕事に疲れていたか、そうでなければ、この社会で自分が自分であることを否定され、逼迫したのちに、何らかの簒奪者となって、他人に危害を向けようとすらしていた。

 

 

俺は、いよいよ現実が恐ろしくなる。

 

 

 

だが、俺は、考えなくてはならないような、気がする。

 

 

 

何を、なのか、俺のようなちっぽけな、機械の男に、何が出来るのか、わからないが。

 

 

 

俺が歩き続けるのは、そうした、友人達から感じる苦悶からの逃避か、或いは、いつに繋がるか分からない未来への布石か、

 

 

 

俺は、分からないまま、明日にはともすると、すぐさま倒れて、仕事も失うか、分からない身で

 

 

何も分からず、ただ、人間とは何か、考え続けて、いる。

 

 

 

 

 

 

 

機械仕掛けの弱者男性、夕陽を見る

(この記事は

中曽根アドベントカレンダー Advent Calendar 2021 の20日目の記事です)

 

機械と化した俺は遂に夕陽を見た。

 

街が巨大なプラネタリウム状の円弧になって川沿いに広がり、そのバックライトとして、赤い赤い、燃え滾る血脈が、包むように、支配するつもりも無く、干渉すらする気配もなく、ただそこに鎮座していた。

 

俺は、嘗(かつ)て学生時代、数少ない友人のハマっていた、ともすると、一緒にDVD観賞会なんかをやったアニメに出てくる、1人の女の子を思い浮かべた。

 

名前はゆずこ。

 

彼女は赤い目と髪をしていた。特に何かトランザムとかを発動する予定もないのに、設定上そういうパーソナルカラーを持っていたんだった。なんならそのアニメは、昔流行った、所謂『日常系』という奴だ。なんでそんな赤い髪をして赤い目をしているのか理由は不明だ。

 

キャラ付けとして、彼女はとにかく友達の唯(ゆい)と縁(ゆかり)を笑わせる。舌の回る頭の回る、可愛い子だ。とにかくひっきりなしに爆笑をとりに来る。その姿が愛らしい。みんな彼女が好きだろう

 

でも、そんなギャグっていうのは、きっと彼女の処世術で、

 

それを身につけるのに、どんな悲しいことが彼女にあったのか、

 

不意に、そんなことを考えていたのを、思い出した。

 

今もし、もしもだ。俺がゆずことデートをしていたなら、(おっ。直球で来たな。キモいぞ)、もしも彼女とこの川沿いに立ちすくんでいたならば、

 

機械の俺は、きっと、彼女のパーソナルカラーと、夕陽との区別がつかなくなって、

 

『どこだ、どこに居るの、行かないで、ゆすこ』

 

そんな風に、夕陽に泣き縋るだろうか。ゆずこは、俺を見て憐むだろうか、怯えるだろうか、それとも、いつもの処世術で、『わっはっは!忍法隠蓑の術じゃい!捕まえてみよ!』なんて、茶目っ気で返してくれるだろうか。

 

 

※※※※※※

 

 

ウィー、カシャ、カシャ、ガコン、パシュッ

 

今日も今日とで、俺の脳の、仕事の疲れにより欠けた部分へのマッサージ治療が始まる。俺は狂おしいほど気持ちがいいその磁気の爆ぜる音に、思わず舌鼓すら打つほどだった。食欲と性欲と疲労抑制の連動を如実に感じてしまう。

 

カシュカシュカシュカシュ、ミ・ミー

 

治療と言っても、それ程大掛かりなものではなく、小さな町の小さな病院で、しかも週1で受けられる程度のものだ。最近は小さな子供でもコレを受けにくるくらいだ。

 

ウィッウィッ、ウィー、シャシャシャ、シャシャシャ

 

それでも、この治療は余りにも効果てきめんで、まるでインスタントラーメンを作るようなノリで、俺のいかれた脳みそを直す。

 

この治療のおかげで、俺は、かつては1日に17時間ほど眠らなくてはならないほど重篤だったうつ病から、立ち直ることができた。最近では、やっとこさ、手に職なんかもある。

 

ピーーーーー。ピーガ、ピーガ、ピーガ

 

機械が動く。俺を直す(≠治す)ために。

俺は、この治療が終わるたびに、なんだか逆に、楽しい気分にさえなるのだった。最近は特にそうだ。町に出掛けるのが楽しみで仕方なくなる

 

※※※

 

『ヂヂリウム』って、聞いたことが無いだろうか。旧いオタクの皆さんなら、おお、と懐かしみを覚えるワードかもしれない。そう、装甲騎兵ボトムズで、敵兵のサイボーグがシャワーみたいに浴びてるのがそれだ。

 

要するに、仕組みはこうだ。ヂヂリウムを浴びなきゃサイボーグは死ぬ。簡単だろう。

 

俺の脳のマッサージも同じで、俺は定期的にコレを受けないと、またうつの生活に逆戻りってわけだ。

 

もっとも、現実って奴は案外上手くできていて、この治療はボトムズに出てくるヂヂリウムほど高価ではなく、単に機械に脳を任せておけばいいだけなのだから、なに、何の心配もあるまい。

 

"心配"---

 

そう、ここまで読んで、近未来って奴はなんとも胡散臭い連中ばかりだと、そう思ったろう。胡乱(うろん)に思えて仕方がなかっただろう。

 

でも、最初に言っておくと、この治療は既に現代に存在する。

 

特に、発達障害なんかにも効果が出るらしく、『頭の良くなる治療』として、注目を浴びることすらあるほどだった。巷では、『この治療を受けて受験を乗り切ろう』なんて本まで出てくるオチだった。まったく、なんて世の中だろうな。

 

"頭が良くなる"---

 

あまり、こう、大っぴらに言うのは、気がひけるんだけど。

 

俺もそのうちの1人だったりするんだ。

 

これを受けた俺が復職した時、自分自身ではなく、周りの人間が驚く始末だった。なにせ、俺は先輩がどうしても組めないから、暇つぶしにと渡された計算書を、俺はたった1日でエクセルに落とした。

 

他の先輩が後日、『君、あれはヤバイ、ヤバイって…』とちょっと色々な感情で伝えてくれたにも関わらず、俺は平然と『ああ。あれは物理IIの回転座標系と、伝熱工学の熱放射の範囲ですから、気になるなら本読んでください』と言ってしまった。

 

先輩の色々な感情が一気に警戒に変わった瞬間だった。いや、俺は、悪気なんて全然無くて、その仕事を渡された瞬間に考えたのだ。『ああ、これは確かに、立場の上の人が作るには時間がかかるな。若手の私がサッと作って、お役に立って見せよう』と。

 

 

 

 

ヂヂリウムは、サイボーグが浴びるものだ。従って、今、事実上、俺も脳を機械化されていることになる。

 

 

 

 

この2年間、やたらと色々なアイデアを思いついては、それを実現したような気がする。勿論失敗もあったけど、成功もあった。

 

それは主に、プログラミングという形で現実に介在して、偶に先輩方に『あいつは勝手なことをやってる』なんて言われながらも、最近ではプロジェクトの一端をそのプログラムが担うほどだ。

 

特に傑作だったのは、2桁の手書き数字を読み上げるAIの前処理だろう。これは、一見地味だし、ぶっちゃけて言えば今はまだなんの利益も出せない。コロナ禍で仕事が無かったから仕方なく自作した。

 

だが、見てくれ、この、『文字がどこにあっても、枠線と被っていても識別する』トリミングを。実に12のモジュールが成すアルゴリズムの行ったり来たりで出来ているんだ。笑っちゃうだろ。病気だな。俺。

 

 

 

 

機械の身体は、最初の6ヶ月くらいは良く動いてくれた。でも、段々と、巻いたゼンマイが次第に動力を失っていくように、脳に、元の病の痛みが生ずるようになり、そして今、俺はひっきりなしに体調不良で仕事を休む。テレ・ワーク下になかったら、とっくにクビだってレベルだ。

 

そうするうちにも俺は、前よりも格段に早いスピードで発表資料を仕上げ、よくわからない思いつきを繰り返してはそれをコーディングしていた。仕事が終わればクタクタになって眠り、また起きて仕事をすれば、クタクタになって眠る。

 

まるで、脳だけじゃなく、本当に、仕事をするための"機械"になったみたいだった。

 

 

※※※

 

 

最近良く、所謂"社会派"的な本を読む。内容は様々だ。太平洋戦争の記載から、韓国への侵略の歴史と反省、今手元にあるのは、チェルノブイリの手記だ。

 

笑っちゃうだろ。機械になる前までは、俺は俺の抱える問題(それは強いて言えば俺の障害故に起きた過去の陰惨な話だ。具体的には大学のサークルを追い出されたりした)で頭の中がグルグルだったのに、機械になった今ときたら、自分自身じゃなく社会の仕組みと差別について、気がかりで仕方ないんだ。

 

まるで、俺は"人間"で居たよりも、"機械"で居た方が幸せだったと告げられるような、そんな気持ちだ。

 

チェルノブイリの本が俺に言う。

 

『おお、哀れなお人よ。私の説く悲しみが、より一層貴方の機械の心を鋭化し、燃やすのか。なんと難儀だろうか。貴方は怒りに任せて私を手に取り、機械しか感じない気の触れた苛立ちで自らを研ぐのだ』

 

そうだ、そうに違いない。俺は、自分のペシミスティックの消費のためにこれを買った。きっと反原発運動だとかをするつもりが無いはずだ。いや、わからないな。機械だもの。そうする方が場の関数が高くなると感じたら、或いは本当にやるかもしれない。

 

※※※

 

ゆずこが夕陽の中で、くるりと踊る。

 

本当はそう、

 

哀れんで欲しいわけでも、怯えて欲しいわけでも、茶化してほしいわけでもなかった。

 

ただ、ただ一言、

 

『大丈夫だよ。機械さん。私はここに居るよ』って、俺の手を握って欲しかった。

 

分かるように。機械化された脳にも、ゆずこを認識できるように。

 

 

 

 

 

機械化された身体をもとに、俺はどこに行くのだろう。壊れて終わりなのか、元の障害持ちとして生きるのか。或いは、もっとわけのわからない事態になるのか。

 

機械化された俺に、買えないものはなかった。貧困さえ自由になった。後はこの痛みさえ消えれば全てが解決する。だが、痛みこそが機械化の親和性それ自体であると気づいた時、おれははたと、考えるのをやめた。街では、若者の貧困を嘆くニュースがやっていた。それを聞いた俺は、更に鋭化する。だが、機械の体になってまでその日を生きるしかなかった俺と、たとえ貧しくとも眩しい生を謳歌する彼等とで、一体どちらが幸せだっただろうか。

 

夕陽に、一体の機械が佇んでいた。そのアイカメラからは涙が流れていたが、夕陽に感動したからではなく、機械労働による内部制御異常のショック反応なのだろう。

 

ゆずこに背をもたれる。疲弊した機械は、なけなしの金で買った衣装が汚れるのも気にせず、そのまま地に伏せるようにゆずこにもたれかかった。

 

夕陽が泣いている。機械と一緒に泣いている。せめてものたむけにと、一枚の毛布代わりに、彼女は着ていたコート私にかけた。夕陽にもたれたまま、私は暫く眠った。

 

双極性障害による、疲労のためだった。

 

起きた時、ゆずこはすでに居なかった。誰も居なかった。一体の機械を残して、後は大いなる宵闇だけがあった。彼女自身が夕陽であった。

 

俺は街中のマクドナルドで、ごまだれのついていないバーガーを注文して、電車で帰宅した。

リボ完済への年表記 across the tears(涙のその向こうへ)

**これは、Fediverse Advent Calendar 2021の5日目の記事です。**

 

『今年のなすーんさんの賞与評価ですが、残念ながら、B+(5段回中2段回目。つまり平均以下)となってしまいました。』

 

マネージャーが務めて冷徹に、しかし、心の奥底では、『この若人(わこうど)も可哀想にな…守ってはやれなかったか…』という、1人の将としての慈愛を持った声音で、俺にそう告げた。

 

俺は衝撃を受ける。

 

だが、瞬時に理性で納得する。『この結果は仕方がない』と。折しもコロナ禍の真っ只中、本来なら与えられる筈のJOBの受注は完全にSTOPし、俺に至っては3ヶ月に一度しかJOBが無いなどという時期すらあった。

 

しかし、それは、理性でいくら理解しようとしたところで、現状の『カード払いが110万ある』という現実とあからさまなバッティングをして、

 

俺の受け答えはマネージャと同じく冷静でも、画面の向こうの俺の身体は、まるで細かい紙屑が風に飛ばされる時のように、不安定で不確かな物へと変貌していった。

 

『何か、質問はありますか』

 

マネージャーが、せめてもの異議申し立てを促すかのごとく、若兵をねぎらおうとする。

 

しかし、紙屑になった俺は、それでも分かっていた。『この評価は妥当であり、マネージャにも評定の最終決定権は無く、従って異議を唱えても覆らない』と

 

だから、紙屑のぱらぱらした声帯で、しかしなけなしのプライドの中で、利口な新人のフリをし、取り繕ってこう答える。

 

『いえ、特に質問などはありません』

 

会議は、その後私の体調の話を2、3してから、ものの5分で終了した。

 

 

※※※この記事は、私が高額なリボ払いを背負い、そして返すまでの、聴くも嘲笑、語るも自嘲の、涙涙のストーリーであります※※※

 

 

ー21年、6月の雨が人々を濡らす折、弊社の評価面談は在宅勤務によりTeamsのテレビ会議で執り行われた。

 

会議と言っても、それは単に『今年のお前の評定はこれだったぞ』とつきつけるだけのもので、特にこの様な不況の折になんか、それをする方もされる方も気分が良くないに決まっているわけで、

 

例えば月に60時間残業をしていた同僚がやっとA評価を取るというような、散々な様相を呈していたのであった。

 

 

 

 

 

いやいやいや

 

 

 

 

 

 

 

まてまてまて

 

 

 

 

 

 

いや、良いんだよ。良いんだ。分かってる。不況だもんね。いま。会社も苦しいでしょ。問題はそこじゃないよね?

 

 

 

 

 

なんで俺のカード払い110万もあるの???

 

 

 

これについて考察した結果は以下

 

①気が狂っていたので、『30万くらいリボ払いしても大丈夫でしょ』とか思って、20年12月になんかよく分からない服とか小物とかを沢山買った。

 

 

 

 

 

 

まずこの時点でダメだろう。『借金をしても大丈夫』という思考が何かおかしい。最も俺は精神(正確には脳)に病を抱えていたから、思考がおかしいのは、まあ、仕方がないにしても。

 

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図1.買ってしまったよく分からない物達の例。本当によく分からない。

 

 

 

 

いやいやいや

 

 

 

 

ダメだろこれ

 

 

まずなんだこれ?何に使うんだ?

 

 

なんかコレを買った俺は、当日に、ガンダムハンマーみたいに振り回して遊んでいた気がする。(なんか左のやつ、持ってるとターンエーガンダムのゴールドスモーみたいでかっこいい)

 

 

病気の人にお金をあげると、こういうことになるのか〜という知見が得られましたね。良かった。

 

 

 

 

だが、マジでこれはまだ、この30万分のリボで済めばマシな方だと思うのだ。この後に更に悲劇が俺を襲う…

 

 

 

②『ゲームがしたい』との理由で、ゲーミングPCの王道エイリアンウェアを、あろうことか夏のボーナス一括払いで購入

 

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図2.現在では3万円ほど値引きされているのがわかるが、値引きされてこの値段である

 

 

 

 

 

待ってくれ

 

 

頼むから、待ってくれマジで

 

 

なんで?何がしたかったん?ゲームしたいならその値段じゃなくてよくない?SSDが1TBもあるよ。何に使うのそれ?

 

 

俺は、明らかに、踏み出してしまっていた。間違った道へ。奈落の底へ。

 

 

思えば俺は、学生時代、ずっと貧乏であった。

 

 

中学生の時、皆んながPS3とかPSPで遊んでいる頃、1人だけ俺はゲームボーイアドバンスで、マザー1+2を繰り返し遊んでいた記憶がある。もう1も2も20周ずつくらいクリアしたせいで、1の比較的難易度が高い造り、堅牢な敵に対しても、どう立ち回ればいいのか今でも大体覚えているくらいだ。

 

大学生の頃から、更に俺の貧困は加速した。今の日本の大学というのは、学費が決して安くない。例え国立といえども年に52万ほどかかるのだ。私立なら、理系では180万にものぼる。だから、お小遣いなど貰う余裕はなく、大学生というのは必然的にアルバイトを強いられる悲しい生き物となる訳だが、こと俺に限っては、そもそもうつ病であったせいでバイトのシフトを休みがちだったりしたのだ。

 

今でも覚えている。寒い雪の日、一人暮らしの居間で、近所のBOOKOFFで200円で売っていたスパロボを遊んでいたら、雪による窓の結露で、窓際に置いていたPS2が濡れて壊れてしまったことを。

 

その頃世間では、PS4が発売され、ブラットボーンとかの実況動画を妙に声のいい弟者(おとじゃ)とかいうyoutuberがやってたのを、僕は当日入学祝いで買ってもらった7万のPCで楽しく、羨望の眼差しで見ていた記憶がある。

 

 

愚痴が長くなっちゃった。

 

 

要するに、俺は、長い貧乏生活の中で、思ってしまったのだった。

 

 

『ああ〜いつか自分の欲しいものを自分の金で買いてえ〜』と

 

 

 

そして紆余曲折あった今、遂にそれを実現するだけの経済力を得て、更には自分が想像していたよりも社会人という生き物の貰いが良かったせいもあり(俺は学生時代、月に4万も使えれば豪勢な暮らしができると考えていた。酷い時は月8000円とかで暮らしていた。が、社会人になれば手取りは年金を引いても17万なのだった)、

 

俺は間違った確信をしてしまったのだ

 

 

『ああ〜…俺今、欲しいものなら、なんでも買えるな…』

 

 

 

 

 

その確信を境に、まるで俺は手塚治虫作品で、奪われた自分の肉体を取り戻す百鬼丸の如く、服を買ってはリボ払いし、靴を買ってはリボ払いし、豪勢な食事をしてはリボ払いをしていた。

 

 

 

 

 

前置きが長くなったが、どうだろう?このような貧困が重なった結果、この社会に1人の悲しいブルーアイズリボリボドラゴンが召喚されてしまったのだ。攻撃力は3000。キャッシング額は30万。

 

いや、同情してくれとは言わないし、別に応援のお便りをくれとも言わないんだが、要するに『哀れな犯罪者にも罪を犯すだけの理由があったんだよ』という弁明を俺はしているのだ。

 

 

しかし、まあ、ここまでなら、ここまでならまだ65万の借金で済んだであろう。しかし、忘れてはならない。既に俺は『貧困』という土壌に全てを奪われた悲しいモンスターである。子供の頃家にやたらとゴキブリが出たし、通ってる中学はヤンキーみたいのにいじめられるしで、よく考えたら僕はスラムの生まれなのではないのかなとか最近考えはじめたが、ともかくも、スラムのいじめられっ子が、度重なる病を経て、遂に自らを怪物と化し、更なる禁忌の扉、追加に追加のリボ払いをしてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

③『仕事でAIが完成したから』という謎の記念に、もう一台PCを購入し、ドルガバの靴や、様々なものを買った

 

 

 

(もう写真を載せられない。買った物品が多すぎて、余りにも酷いので)

 

 

 

 

 

擁護不能。理解不可能。古今東西。摩訶不思議。舐めてんのか俺は。

 

 

はい、追加リボ払い45万。

 

 

めでたく小計110万の出費である。中古車なら買えるね。あはは。

 

 

はい、ここで冒頭に戻るわけなんですが、僕の賞与の評価はB+なんです。具体的にどういうことかと言えば、同僚より1.5ヶ月分(=約30万円分)ボーナスが低い訳なんですね。

 

 

 

 

30万低い…???

 

 

 

 

ー大体気付いてた、大人には、『曖昧と嘘』が、必要で、『間違い』を見つけても、知らないフリを、するんだー

 

 

 

っていう、ダイナゼノンのちせちゃんのキャラソンが頭をループしましたね、この時ばかりは。

 

 

 

もう、いいんだ…もう、静かに眠らせてくれ…

 

 

 

その後、なけなしの貯金となんとか低いながらも貰えたボーナスで、半額の55万は返せたんですが、21年8月の時点で、僕は残り半額の55を丸々リボに抱えていた訳です。頭おかc

 

 

何の為に生まれて、

何をして喜ぶ

分からないまま終わる

そんなのは嫌だ!

 

 

8月、まさに、自分は手塚治虫作品の『リボンの騎士』ならぬ『リボの騎士』として、新しく生まれ変わるのでした…

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

21年 12月現在

 

 

なんとかリボを返済しました…

 

その間、何か色々な物を売ったり、節約に節約を繰り返したり、親が倒れたから家事全般をこなしたり、色々あった訳ですが、詳しく書くと悲しすぎて俺が泣いてしまうので割愛します。

 

 

 

ともかくも、ともかく、リボは返せた。

 

 

やったー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じゃあまた何か買えるね!?(無邪気)

 

 

 

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図3.靴。らしい。よく分からない。もう誰も分からないんじゃないかな?

 

 

えへへへ

ぐへへへへ

 

 

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図4.僕の靴のコレクション。僕はもう、手遅れなんだ。

 

 

 

 

 

 

最後に、この記事の結論を述べましょう。

 

 

 

 

『今更どんなに金を得ても

 

 

狂ってしまった心は治せん』

 

 

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図5.今僕まさにこれ

 

 

はい、終了!読んでくれてありがとう!

 

H A P P Y   E N D