さて、23日の記事でお知らせしたNHKスペシャル「食の起源」の概要記事はこちら
をご覧いただければ、と思う。
世の中には「農耕が始まる1万年前まで、人類700万年の食事は糖質制限食であった」
などと宣う医者が棲息しているようだ。
果たしてそれが正しいのかどうか、この概要記事などを参考に判断いただければ、と思う。
今回はこの件はスルーして、「糖尿病ずれずれ日記」第2弾である。
前回まで私の方でも概要を述べてきたNHK番組「あさイチ」
に対して、ずれまくった反応を示した医者がいたので、取り上げてみた。
これがなんと、偶然にも 「糖尿病ずれずれ日記第1弾」と同じ医師が対象となった。
この医師(江部康二氏)は、読者から「糖質制限を長く続けると死亡率が高まると
放送されたが、これに対してどう思われるか」という主旨の質問を複数受けている。
江部氏はこれについて、11月21日に記事として取り上げて回答している。
回答要旨は以下のとおり。
1.NHKに出演した医師の根拠は、コホート研究に基づくものだった。
コホート研究はエビデンスレベルはレベル2と低い。
2.コホート研究にも糖質制限食に有利な結論の論文もある。
3.エビデンスレベルのもっとも高い論文に糖質制限食の有効性を示すものがある。
4.追加で<米国糖尿病学会と糖質制限食、その変遷。>について記載
えーと、全般にそこはかとなく香ばしく、ツッコミどころ満載である。
全部真面目にコメントすると長文になるので、わかりやすい所から述べていきたい。
残りの部分は、いずれ元気が出れば、コメントすることとしたい。
ということで、今回は3.について述べる。
江部氏が例に挙げた、これらの糖質制限の有効性を示す論文は、
NHKの番組とは違って、エビデンスレベルが最も高いそうだ。
しかし、江部氏が出してきたこれらの論文は、
いずれも死亡率について調査したものではない。
延々と論文を紹介しているが、調査の対象となった項目は、体重減少効果が最も多く、
その他は、脂質データ、血糖値、血圧、心血管疾患、糖尿病改善などであった。
物事にはプラス面とマイナス面がある。
体重が減ろうが、血糖値が改善しようが、(不自然なことをするなどして)
他の面でマイナス面が出ている可能性がある。
その結果、寿命を縮めていては何にもならない。
NHKの今回の番組でも、糖質制限は減量効果はあるが、長期にわたると
大きなリスクがあり、死亡率が上がる と言っているのだ。
読者はこれに対してコメントを求めている。
それに回答するのに減量効果を出してきてどうする?
死亡率増加についてコメントを求められているのに、別の調査結果を
出してきてどうする?
エビデンスが高かろうが、アデランスが高かろうが、関係のない論文を
持ち出してきても意味はない。
で、江部氏はそんな事はどこ吹く風、糖質制限にはこういうエビデンスの高い論文が
あるから、「糖質制限食論争」に明白な決着がついた、として話を終えている。
信者には、こういうのがまかり通るのだから、なんとも不思議なブログである。
まあ、この人にかかったら、反論はもみ消せば済むことなんだろうが