人生初のコンサートに行ってきました。
個人的には、玉置浩二は日本で一番歌唱力のある歌手だと思っています。
「玉置浩二 CONCERT TOUR 2019~LA VIE~」
玉置浩二が登場するまで、会場にアップテンポのインストゥルメンタルが流れて会場を盛り上げます。メンバーが徐々にステージにそろっていく中で、最後に玉置浩二が登場。1曲目はアップテンポな曲「正義の味方」です。
わたしの記憶の玉置浩二は、1996年にフジテレビ系で放送された缶詰工場を舞台にしたドラマ「COACH(コーチ)」が最後なのですが、23年ぶりに見た玉置浩二は2階席からもくっきりとわかるきれいな白髪になっていました。
けれど、歌声はまったくといっていいほど変わっていません。
むしろ年齢を増して歌声の奥深さが増したようです。
アップテンポの曲、じっくり聞かせるスローバラードとあっという間に9曲目の「オレンジ」。一端バックステージに下がった玉置さんが再び登場してからはあっという間に14曲目の「しあわせのランプ」を迎えました。
そのままステージ上でアンコール。
ギターを変えて「田園」のイントロが流れると、会場が大きく盛り上がります。
バックバンドのメンバーがバックステージに下がっても拍手は鳴りやみません。ステージ上の玉置浩二に、また別のギターが渡されます。
静かに流れるイントロ「メロディー」。
途中からギターを弾くのを止めて、アカペラで歌う玉置浩二のやさしい歌声が会場に響き渡り、みんな身動きも忘れて聞き入ります。
涙を流している人も。
アンコール2曲目が終わっても拍手は鳴りやまず、玉置浩二がマイクを会場に向けます。「今日のささ~や~きと」
「昨日の争う声が」玉置浩二が促すと、観客の歌声が後に続きます。「ふ~たり~だけの~恋のハーモニー~」そのまま一曲目のサビまで、玉置浩二と会場全員がアカペラで歌い上げました。
人生初コンサート「玉置浩二 CONCERT TOUR 2019~LA VIE~」感想
玉置浩二のコンサートを聴きながら、ふと宮沢賢治の「虔十公園林」を思い出しました。玉置浩二の歌詞のイメージは、なぜかいつも”泥だらけで転げまわるひと”です。
決してスマートでもかっこよくもない。けれどその泥だらけの言葉や姿が人の心を打つんですよね。
宮沢賢治の「虔十公園林」は、いつも「はあはあ」と笑っていてみんなからバカだと思われていた虔十という人が、あるときにスギの木を買って町に植え始める話です。みんなは、「あんな固い土地に木が育つものか」とか「樹なんて植えても何の役にも立たない」と口々にバカにします。しかし、何十年もたち町の様子がすっかり変わって何もかもなくなっていっても、あの時にみんなが「何の役にたつものか」とバカにしていたスギの林だけは大きく育ち残って子供たちの遊ぶ公園になりました。
”ほんとうに誰が賢いか賢くないかなんて、だれにもわからない”という話です。
歌の力って、人の心を癒したり鼓舞するところにもあるけれど、一番は「人の心に呼びかける」力だと思っています。その人の心に眠っている、自分でも忘れていたような記憶が、歌を聴いているとふと呼び覚まされます。
自分には「何もない」と思っていたひとも、そういう歌を聴くことで記憶の奥底に沈んでいた自分を取り戻していけるのではないでしょうか。
いいコンサートでした。
「玉置浩二 CONCERT TOUR 2019~LA VIE~」【鹿児島】
セットリスト
- 正義の味方
- CAFE JAPAN
- She don`t care
- 愛してんじゃない
- MR.LONELY
- 青い”なす”畑
- このリズムで
- からっぽの心で
- オレンジ
- HoneyBee
- I`m Dandy
- キ・ツ・イ
- JANK LAND
- しあわせのランプ
アンコール
15. 田園
16. メロディー(途中からアカペラ)
17. 夏の終わりのハーモニー(会場とのアカペラ)
玉置浩二さんは、3時間で30曲作るという驚異的な集中力や天才的な歌唱力といったエピソードもある中、自著「幸せになるために生まれてきたんだから」で自身が精神病を患っていることを書かれています。人には言えない苦しみを抱える中で生まれた曲だからこそ、より深く人のこころに届くのかもしれません。
10月26日(土)には2年ぶりの出演となるNHK総合の「SONGS」でその姿を見ることができます。
【玉置浩二 出演情報】
NHK総合「SONGS」第512回
初回放送< 2019年10月26日(土)午後11:00 ~ 午後11:30>
再放送<2019年11月2日(土)午前1:40 ~ 午前2:10※金曜深夜>